イスラエルの培養肉企業フューチャーミート(Future Meat)は25日、培養羊肉(ラム肉)を生産したことを発表した。フューチャーミートによると、同社の培養羊肉は従来の羊肉と同様に調理でき、見た目・味でも遜色なく、ハンバーガーやケバブなどに最適だという。
動物の体外で細胞に栄養をあたえ、成長させて肉とする培養肉は国内外で開発が急速に進んでいる。さまざまな企業が鶏肉、牛肉、豚肉を開発しているが、羊肉を生産したのはフューチャーミートが初となる。
フューチャーミート、世界で初めて培養羊肉を生産
EUは世界最大の羊肉消費地域とされる。羊肉は主に、中東、北アフリカ、アジアの一部の多くの国において主要な食肉源となっている。OECDによると世界最大の消費国はカザフスタンで、これにオーストラリア、トルコ、サウジアラビア、ノルウェー、イラン、イギリスが続いている。
ヒツジ細胞株で培養羊肉を生産したことは、フューチャーミートが「培養羊肉を大量生産でき、イノベーションの焦点をさらに多くの動物種に拡大できる」ことを意味する。
同社ゼネラルマネージャーのMichael Lenahan氏は、「フューチャーミートの培養羊肉が従来の羊肉と区別できない理由は、何よりもまず、これが本物の肉だからです。人々が期待するようにジュージューと焼け、期待通りの味がします」とコメントしている。
フューチャーミートは昨年、世界で初めて培養肉の生産施設をイスラエルでオープンした。プレスリリースによると、同社はアメリカ市場参入を進めており、年内に着工予定のアメリカの生産施設で、羊肉や鶏肉を含む培養肉製品の大量生産に移行する。
アメリカでは2024年の生産開始を目指しているが、Foodnavigatorの報道によると、イスラエルで認可を取得次第、2023年にイスラエルでの上市を考えているという。
今回の発表は、3月のタイ食品大手CPフーズとの提携に続くニュースとなる。フューチャーミートはネスレとも植物肉とブレンドした培養ハイブリッド肉の開発を進めており、規制当局の承認を待つ中、さまざまな市場におけるパートナーシップを拡大している。
線維芽細胞から培養羊肉を生産
フューチャーミートは2019年に培養羊肉の開発を開始した。同社は中東やアフリカに生息するアワシという品種の羊から線維芽細胞を単離し、無限に分裂する2つのヒツジ細胞株を生成した。
フューチャーミートの創業者兼CEOであるYaakov Nahmias教授は、「フューチャーミートのアプローチは、遺伝子組換えではなく、線維芽細胞が自発的に不死化することを活用しています」とコメントしている。
同社は独自に開発したプロセスで線維芽細胞を脂肪と筋肉細胞に分化させる。最終製品で重要な風味をもたらす脂肪を生産するためのプロセスには24時間かからないことを、Nahmias教授はFoodNavigatorのインタビューで回答している。
フューチャーミートは線維芽細胞の使用、動物成分を含まない増殖培地の開発、培地のリサイクルによりコスト削減を実現してきた。昨年12月には110グラムあたり1.7ドルまでコスト削減したことを発表している。
今回の報道では、最終製品を形成する独自プロセスについても言及された。
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アイキャッチ画像の出典:フューチャーミート