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ネスレがFuture Meatと協業して培養肉参入に向けて準備

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ネスレが培養肉事業に参入する準備を進めている。

ネスレが培養肉と植物肉をブレンドした商品開発に取り組んでいることが報じられた。使用する培養肉は、イスラエルの培養肉企業Future Meatのもの。Bloombergが第一報を報じた。

ネスレはこれまでプラントベースブランドGarden Gourmetを欧州で展開してきた。Future Meatは動物から採取した細胞を体外で培養して、動物を殺すことなく培養肉を開発している。

ネスレは既存の植物肉に、Future Meatの培養肉を組み込み、培養肉市場への早期参入を目指すと考えられる。

Future Meatは先月、イスラエル、レホヴォトに培養肉工場を開設した。この工場では、1日に500kgの培養肉(5000個分のハンバーガーに匹敵)を生産できる。

出典:Future Meat

同社は培養肉と植物性タンパク質をブレンドした培養ハイブリッド肉の開発で、今年になってから2回のコストダウンに成功しており、現在の生産コストは約110gあたり約400円となっている。

今回のBloombergの第一報は匿名の関係者が明らかにしたものだが、ネスレは、Future Meatと協業していること、科学的トレンドを注意深くモニタリングして、新興技術の可能性を調査していることをプレスリリースで認めている

さらに、Future Meat以外の培養肉企業数社との協業も明らかにしている(社名は非公開)。

Foovoの認識では、世界的な大手食品メーカーが培養肉へ参入する可能性を報じられたのはネスレが初(日本では日清食品が培養肉の開発に着手している)。

培養肉スタートアップと大手が手を組むことは、培養肉業界全体にとって大きな追い風となる。

さらに、Future Meatの最終的な「狙い」を考えると、ネスレとの提携は業界に計り知れないインパクトをもたらすことが予想される。

出典:Future Meat

Future Meatは2段階のビジネス戦略を考えている。

まず、培養ハイブリッド肉で市場に参入する。同社は2022年にアメリカで外食産業へ培養肉の提供を目指している

2段階目の戦略として、培養肉を作るための設備、技術、原料を大手食肉業者や農家に販売したいと考えている。培養肉生産に必要なすべてをサービスの形で提供するもので、培養肉の社会実装を目指す、川上を狙う「Cultured meat as a Service」といえる。

以前の報道で、Future Meatは培養肉生産に必要なプラットフォームのB2Bビジネスの実現時期を2023年とコメントしていた。

実現時期は各市場でどれだけ早く許認可を取得できるかにかかっているが、ネスレとの提携、アメリカ販売をきっかけに、川上を狙うビジネスが本格始動する可能性がある。

現にFuture Meatは食肉加工大手のタイソンフーズから出資を受けているため、ネスレに続き、タイソンとの提携も考えられる。

Future Meatが作った培養チキン(下)と本物のチキン(上) 出典:Future Meat

もう1つ、今回の報道で押さえておきたいのは、ネスレが培養肉に限らず、培養母乳にも参入を考えていること

ネスレは春に乳腺発達と授乳生物学の専門家を募集していた。これはネスレが細胞培養により乳児用調整乳産業に参入する可能性を示している。

細胞農業による代替タンパク質のアプリケーションでは、培養肉が圧倒的に多いが、乳児用調製乳産業は2026年までに1030億ドル規模になると予想されており、環境に優しく、栄養面で本物の母乳に近い代替母乳のオプションにはさらなる需要が見込まれる。

細胞農業技術を使えば、培養母乳のみならず培養牛乳も可能となり、動物農業から細胞農業への移行は加速していくと考えられる。

上記およびFuture Meatとの協業から、ネスレが大手食品メーカーとしていち早く細胞農業市場への参入を考えていることは間違いない。

世界的に有名ブランドのネスレが培養肉に参入すれば、培養肉の認知度向上にも大きく寄与する。

GFIによると、2020年には新たに23社の培養肉企業が登場した。同年、培養肉企業には3億6000万ドルの投資額が集中し、これは2019年の6倍となる。

今年になってからも、イート・ジャストが200億円以上、GOOD Meat(イート・ジャストの培養肉部門)、アレフ・ファームズが100億円以上という巨額の資金調達を実施している。

これまでに培養肉を販売したのは米イート・ジャストのみで、販売を認めた国はシンガポールのみとなる。シンガポールの事例に続こうと、各培養肉企業は規制当局との協議を続けている。

Upside Foodsは年内にアメリカで培養肉の販売を目指しており、日本のインテグリカルチャーは年内に日本で培養フォアグラのレストランへの試験提供を目指している。

アレフ・ファームズ(イスラエル)、Future Meat(イスラエル)、SeaWith(韓国)、モサミート(オランダ)など、来年の市販化を目指すプレーヤーも複数いる。

ネスレの培養肉がいつ市場へ出るのか、ネスレが本当に培養肉事業への参入を決めるか、まだ明らかではないが、ネスレが本格参入すれば、培養肉業界全体が勢いづくのは間違いないだろう。

 

参考記事

Nestlé explores emerging technologies for cultured meat

‘We are excited to understand its potential’: Nestlé confirms move to explore cultured meat sector

Nestle Eyes Lab-Grown Meat Market to Tap Future Growth

Report: Nestlé Is Getting Into Cultivated Meat Through Deal With Israel’s Future Meat

 

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アイキャッチ画像の出典:Nestlé

 

 

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