オランダの培養肉Meatableは、世界で最初に培養肉製造認可を取得したシンガポールのESCO Asterとの提携を発表した。二社は、2024年にレストランで培養豚肉を発売するために、培養豚肉の生産で協力する。
Meatable、シンガポールへ培養豚肉餃子の導入を目指してESCO Asterと提携
2018年設立のMeatableは、今回の発表により最初の海外進出先としてフードテックのハブとされる、シンガポールをターゲットとしていることを明らかにした。
シンガポールは2030年までに食料自給率を30%まで引き上げる「30×30計画」の一環として、2021年に世界に先駆けてESCO Asterの生産施設に培養肉の製造を認めた。2020年には世界で初めて培養肉の販売を認可した。
シンガポールは現在、食品の90%を輸入に依存しているが、2030年までに食料の30%を地元生産でまかなうため、アグテック・フードテックに力をいれている。シンガポールは国の目標達成に役立つ可能性のある技術に対してオープンであり、Meatableを始め、複数の細胞農業スタートアップが最初の進出先としてシンガポールを目標とするのは理にかなっている。
Esco Asterは2017年にシンガポールに設立された。現在、シンガポールで培養肉の製造認可を取得した世界で最初かつ唯一の受託製造施設となる。
MeatableとESCO Asterは、2025年までのスーパーマーケット導入を目標に、2024年までにレストラン向けに培養豚肉の小規模生産を計画している。
世界初の培養豚肉餃子をシンガポールへ
Meatableは動物を傷つけない方法で動物から1つの細胞を採取し、筋肉、脂肪に成長させて培養肉を作製している。数日でほぼ同一の細胞を数百万個生成する独自のOPTi-OX技術により、Meatableはソーセージや餃子用の豚肉の成長では「この分野で最速のプロセス」だと考えている。生産プロセスではFBS (ウシ胎児血清) は使用しない。
Meatableの最初の製品は培養豚肉を使った餃子になる可能性が高く、現在、培養肉業界では世界初となる培養豚肉餃子を含む複数の豚肉製品の開発に取り組んでいるという。
プレスリリースによると、世界の餃子市場は、2021年から 2025年にかけて40億1000万ドルに成長すると見込まれている。この需要に応えるため、Meatableは特にアジア市場向けに、シンガポールのシェフと協力して豚肉を開発している。
同社チームは、「顧客におなじみで人気のある豚肉と同じ構造、食感、ジューシーさ、豚肉らしい際立った風味を備えた培養肉製品を作製するために、この数か月で大きな一歩を踏み出した」としている。
Meatableは昨年3月にシリーズAで約50億円を調達した。9月には安価な培地の共同開発でオランダの総合化学メーカーDSMとの提携を発表した。今年7月にはすぐに試食できる培養豚肉ソーセージ製品を発表している。
「Meatableは、持続可能な方法で、可能な限り地元で肉を生産するには、培養肉こそが食の未来であると強く信じています。そのためには、世界中のあらゆる料理に対応するさまざまな製品の提供が不可欠です。シンガポールが培養肉のパイオニアであることを考えると、ESCO Asterと提携して、2024年のレストランでの発売を目指して培養豚肉製品の生産を開始できることを嬉しく思います」。
(Meatable共同創業者兼CEOのKrijn de Nood氏)
参考記事
関連記事
アイキャッチ画像の出典:Meatable