アジアに新たな精密発酵企業が登場した。インドのPhyx44は、シードラウンドで120万ドル(約1億7000万円)を調達した。
Phyx44は精密発酵によりホエイタンパク質、カゼインタンパク質、乳脂肪の開発に取り組んでいる。ホエイやカゼインに特化して乳タンパク質を開発する精密発酵企業は増えているが、乳タンパク質に加え脂肪というカテゴリーに着目する企業は少ない。
この点で、Phyx44は1社で乳製品に必要な成分をカバーする「フルスタックプレーヤー」といえる。今回のラウンドにはシンガポールの培養シーフード企業Shiok Meatsの共同創業者Sandhya Sriram氏も参加した。
「脂肪」を含む乳成分開発に取り組む独自アプローチ
Phyx44創業者のBharath Bakaraju氏は、「脂肪には十分な関心が寄せられていません。私たちは主要な乳タンパク質と共に主要成分である脂肪に取り組む数少ない企業の1つです。これは、素晴らしい製品を作成する当社の能力に大変役立つものだと考えています」とコメントし、自社の独自性として「脂肪」の開発を強調している。
微生物を活用して動物由来と同一のタンパク質生成を可能とする精密発酵は、畜産由来のタンパク質と比べ、温室効果ガス排出量、土地利用、水消費を大幅に削減できることから、気候変動対策・食料危機対策として、急速に研究開発が進む代替タンパク質の1分野だ。
早期から精密発酵のポテンシャルに注目しているRethink Xは2019年のレポートで、精密発酵を含む細胞農業の普及により、2030年までに家畜牛数が半減すると予想。同レポートはさらに、2025年頃には精密発酵タンパク質の生産コストと、牛由来の乳タンパク質の生産コストが逆転すると予想している。
インドで2社目の精密発酵プレーヤー
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アイキャッチ画像の出典:Phyx44