代替プロテイン

FDA、GOOD Meatの培養鶏肉の安全性を認める Upside Foodsに続き世界で2社目

 

米イート・ジャストの培養肉部門GOOD Meatは21日、同社の培養鶏肉について、市販前協議の一環としてアメリカ食品医薬品局(FDA)から「異議なし」のレターを受け取ったことを発表した

FDAによる「異議なし」のレターは、GOOD Meatの培養鶏肉が安全に食べられるという同社の結論をFDAが認めたことを意味する。

GOOD Meatは2020年12月にシンガポールで培養肉を販売した。同社がシンガポール以外の国で規制当局から安全性を承認されるのは今回が初となる。

GOOD Meatの培養鶏肉がFDAの安全性認可を取得

出典:イート・ジャスト

アメリカでは昨年11月、米Upside Foodsも自社の培養鶏肉の安全性について、FDAから「異議なし」のレターを受け取っている。GOOD MeatはFDAから安全性を認められた2社目の企業となった。

アメリカでは、培養魚はFDA単独の規制を受けるのに対し、培養肉はFDAとアメリカ農務省(USDA)の規制を受けるため、GOOD Meatが現時点で培養肉をアメリカで市販できるわけではない

GOOD Meatが培養肉を販売するためには、アメリカ農務省食品安全検査局(USDA-FSIS)による生産施設の検査済み証明(grant of inspection)や食品自体の検査済みマークの取得、施設登録を含むFDAの要件を満たす必要がある

しかし、培養肉の安全性が複数の国で認められたことは、培養肉の社会実装に向けた大きな前進といえる。Upside FoodsとGOOD MeatがFDAから「異議なし」のレターを受け取ったことで、アメリカで今後1、2年以内に培養肉が販売される可能性がある。

プレスリリースによると、GOOD Meatの培養鶏肉は微生物学基準、純度基準を満たしており、微生物学的レベルでは従来の鶏肉よりも「大幅にクリーン」であることが実証された。また、タンパク質を多く含み、バランスのとれたアミノ酸組成であることが実証されている。

「食料システムの変革が起きている」

出典:GOOD Meat

代替タンパク質を推進する非営利団体Good Food Institute(GFI)代表のBruce Friedrich氏は、「本日のニュースは、単なる規制上の決定ではなく、食料システムの変革が実際に起きているということです。GOOD MeatはFDAから培養鶏肉の青信号を取得した2社目の企業となりました。アメリカの消費者にとって、培養肉は真の選択肢になりつつあります」と述べている

GFI副代表のJessica Almy氏は、「消費者はまもなく、GOOD Meatがシンガポールで2年間提供してきたものと同じく美味しい培養鶏肉を、外国へ行くことなく食べられるようになります。世界中の政府が、食料生産の気候・グローバルヘルスへの影響を解決する方法を模索しているなか、培養肉に関する明確かつ効率的な規制審査は、正しい方向に向けた重要な一歩です」と述べている

GOOD Meatは2020年以降、シンガポール当局からいくつかの認可を取得しており、消費者に培養肉を販売できる唯一の企業となる。今年1月からは、シンガポールの高級精肉店で培養鶏肉の販売を開始した

海外のコンサルティング会社が実施した調査によると、GOOD Meatの培養鶏肉を食べた人の70% が、従来の鶏肉と同じか、それを上回る味がすると回答している。うち約90%が、従来の鶏肉の代わりに培養鶏肉を選ぶと回答しており、レストラン経営者の約90%も、培養肉の販売に前向き姿勢を示しているという。

 

参考記事

GOOD Meat, the World’s First-to-Market Cultivated Meat Company, Receives U.S. FDA Clearance

GFI celebrates FDA’s second greenlight to a cultivated meat company in a matter of months

★GOOD Meatの市販前協議に関するドキュメントはFDAの「Human Food Made with Cultured Animal Cells Inventory」からダウンロードできる。

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:GOOD Meat

 

関連記事

  1. 中国発の植物代替肉スタートアップHero Proteinが登場!…
  2. 英培養肉企業Ivy Farmとバイオテック企業BSF Enter…
  3. 中国の細胞性食肉企業Joes Future Food、中国・シン…
  4. 培養肉セミナー開催レポート【岡田健成氏講演】-2022年8月-
  5. 【現地レポ】シンガポールの精肉スーパーHuber’s Butch…
  6. 菌糸体生産のB2Bソリューションを開発するKyndaがドイツ政府…
  7. 米イート・ジャスト、新しい培養鶏肉製品で再びシンガポール当局の販…
  8. DSM・フォンテラが設立した精密発酵企業Vivici、資金調達を…

おすすめ記事

ベルギーの精密発酵企業Paleoが約2.5億円のシード資金を調達

ベルギーのフードテック企業Paleoはシードラウンドで200万ユーロ(約2億57…

EFISHient Proteinが目指す持続可能な魚生産:培養ティラピアの切り身開発に成功

細胞培養によるティラピアを開発するイスラエル企業EFISHient Protei…

植物性の全卵を開発するYo Eggが米国進出を実現、ビーガン落とし卵をレストランで発売

イスラエルの代替卵企業Yo Eggが今月、アメリカ進出を実現した。ひよこ…

米IngredientWerksがトウモロコシでウシのミオグロビン生産に成功

アメリカの分子農業スタートアップIngredientWerksは7月、ウシのミオ…

イスラエルのWanda Fish、初となる培養マグロの試作品を発表、2025年に承認申請へ

イスラエルの培養魚企業Wanda Fishは、同社初となる培養マグロによる刺身・…

バイオテック企業が培養ペットフードを開発するGood Dog Foodを設立

スコットランドのリーディングバイオテック企業Roslin Technologie…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(12/11 16:23時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(12/12 03:03時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(12/12 06:38時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(12/11 22:23時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(12/12 14:22時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(12/12 01:43時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP