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英Meatlyがイギリスで培養ペットフードの販売認可を取得、年内に販売へ

2024年7月18日 記事・スライドを一部修正

 

培養ペットフードの製造販売がイギリスで認められた。

イギリスの培養ペットフード企業Meatly(旧称Good Dog Food)は今月10日、イギリス当局から同国で培養肉を販売するための販売認可を取得したことを発表した

イギリス、そして欧州で培養ペットフードの販売が認められたのはMeatlyが初となる。

イギリスが培養ペットフードの販売を承認

出典:Meatly

培養肉はこれまでシンガポール、アメリカ、イスラエルで販売が認められている(記事最後に図解あり)。イギリスではペットフード向けの認可が人向けよりも先に認可を取得したこととなる。

販売認可を受けてMeatlyは、年内に最初のサンプル製品を発売すると発表。サンプル発売後はコスト削減に注力し、3年以内に工業規模の実現を目指して生産をスケールアップしていく。

同社CEOのOwen Ensor氏は、「イギリス当局と積極的に協力し、Meatlyの鶏肉がペットにとって安全で健康的であることを示すことができました。ペットの飼い主は、猫や犬に与えるより良い肉を望んでおり、当社がこの需要に応えられることを嬉しく思います」とコメントしている。

欧州では昨年、Bene Meat Technologies欧州飼料材料登録局への登録(※)を発表しており、Meatlyは欧州で培養ペットフードを販売できる状態となった2社目の企業となる。承認プロセスを経て認可を取得した企業では、Meatlyが欧州で最初の企業となる。

※最初、下線部分を「欧州で認可取得」と記載していましたが、Bene Meat Technologiesの場合、市販前承認を経ないプロセスで、欧州飼料材料登録局に動物飼料として登録しているため修正しました(2024年7月18日 参考記事はこちら)。

 

Meatlyへの承認は、英国食品基準庁FSA)、動物飼料を規制する動植物衛生庁(APHA)、環境・食料・農村地域省(DEFRA)の共同プロセスによるものとなる。

イギリス当局はMeatlyが必要な規制を遵守していることを確認し、同社生産施設はDEFRAAPHAから培養鶏肉の製造・取扱いを認められた。

Meatlyによると、同社は培養鶏肉の安全性を実証する広範な試験を実施し、細菌やウイルスを含まないこと、細胞を成長させるために使用する栄養素が安全であること、最終製品が安全で栄養価が高く、遺伝子組み換え作物、抗生物質、有害な病原体、重金属や不純物を含まないことを確認した。

事業開始から2年の快挙

出典:Meatly

Meatlyは、バイオテック企業Roslin Technologiesと、多くの細胞農業企業に出資するベンチャーキャピタルAgronomicsとの合弁会社として、2022年に設立された

事業をスタートしてから2年以内で規制当局の承認を得たこととなる。

生産プロセスでは1個の鶏卵から採取した細胞を除き、ウシ胎児血清(FBS)、動物血清など動物由来成分は使用していないこれまでに1Lあたり1ポンド未満のタンパク質を含まない培地を開発し、生産コストを削減している。

今年3月には持続可能なペットフードを開発するOmniと提携し、培養鶏肉を使用した培養ペットフード缶の開発を発表していることから、Omniの製品として今後販売される可能性がある。

同社はまた、イギリスの大手ペット用品小売業者Pets at Homeから出資を受けているため、Pets at Homeが培養ペットフード製品を販売する最初の小売業者になる可能性もある

Green queenの報道によると、大手ドッグフードメーカー(社名不明)数社と提携し、発売に向けて協業しているようだ。

培養ペットフードの現状

Foovoの調査では、培養ペットフードを開発する企業はMeatlyを含め6社が確認されている。各社の現状をまとめると次のようになる。

各社ロゴをもとにFoovoが作成(パートナーは培養ペットフードに関するもの・かつ社名公開のものに限定)

アメリカ・オーストリアに拠点を置くBioCraft Pet Nutrition(旧称Because Animals)は今年5月、犬・猫向けの培養マウス肉を高級ペットフードと同等価格で製造できることを発表した

チェコのBene Meat Technologiesは昨年11月、ÚKZÚZ(チェコ共和国の国家組織)による承認と欧州飼料材料登録局(European Feed Materials Register)への登録により、培養ペットフードの認可を取得したことを発表した。

(注:当時は公式サイトにÚKZÚZの記載があったが、現在の公式サイトには記載はなく、欧州飼料材料登録局のみ記載されている)。

同社は今年、培養ペットフードの最初のサンプルを発表し、年内の発売に向けてパートナーを探していることが報じられている

韓国でも培養ペットフード企業が登場している。

韓国初の培養ペットフード企業Everything Butは昨年8月、世界に役立つ食品ブランドの構築と細胞農業企業への投資の2分野に注力するCULT Food Scienceとの提携を発表した。CULT Food ScienceのペットフードブランドにEverything Butの培養鶏肉を使用するための提携となる。Everything Butは韓国の培養肉企業SeaWithに勤めていたYoonchan Hwang氏立ち上げた

シンガポールのUmami BioworksもCULT Food Scienceとの提携で培養フエダイを使用した培養キャットフード「Marina Cat」を開発しており、2024年の上市を目指している

Wild Earthは2022年、細胞由来のミートブロススープを開発したが、発売は実現していない。

以上のように、培養ペットフード業界は、特化企業が5社、人向けと並行する企業が1社と企業数は少ないが、製品に複雑な構造化を必要としないことや、ペットフード市場の拡大により、今後も参入する企業が増えていく分野だといえる。

参考に、人向けの培養肉の認可状況は次の通りとなる。

Foovo作成(点線は申請状況、実践が認可状況)

 

 

参考記事

Press Release: World-first regulatory approval

 

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アイキャッチ画像の出典:Meatly

 

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