菌糸体由来の代替肉を開発する米Meati Foodsは、アメリカのスーパーマーケットチェーンSprouts Farmers Marketとの小売パートナーシップを拡大し、全米で販売を開始したことを発表した。
同社代替肉シリーズ「Eat Meati」のカツレツ、ステーキは現在、アメリカ23州にあるSprouts Farmers Marketの全店舗(380店舗)で販売されている。
Meati Foodsは昨年、オンラインストアや、コロラド州・アリゾナ州のレストラン、小売で販売を開始した。初期の販売では供給量が限られていたが、今年1月、コロラド州に工場を開設したことで、小売業での流通拡大につながったと思われる。
Meati Foods、菌糸体由来肉を全米展開
「Eat Meati」シリーズにはクラシックカツレツ、クリスピーカツレツ、クラシックステーキ、カルネアサダステーキの4種があり、Sprouts Farmers Market全店舗の冷凍肉コーナーで販売されている。
キノコの根に相当する菌糸体の95%を使って作られたMeati Foodsの製品は、従来の代替肉より優れた味・食感を提供すると同時に、肉に匹敵する完全なタンパク質を有するという。食物繊維は多く、コレステロールは含まれていない。
Meati Foodsの社長兼COO(最高執行責任者)のScott Tassani氏は、「初期にMeati製品を導入したコロラド州のSprouts店舗で高い需要があったことから、おいしくて素晴らしく栄養がありながら、差別化されたアニマルフリーなタンパク質を人々が求めていることがわかりました」と述べ、Meati Foodsの代替肉製品の全米展開の背景に、試験販売の成功があったことを言及している。
タンパク質を効率よく大量生産できるバイオマス発酵
Meati Foodsの技術は、植物肉、培養肉に次ぐ、代替タンパク質の第3の柱として注目される「微生物発酵」に分類される。微生物発酵には精密発酵、バイオマス発酵があるが、Meati Foodsは後者に属する。
微生物を生産工場として活用し、タンパク質や着色料など特定成分を生成する方法を精密発酵という。精密発酵の場合、微生物は最終産物から除去される。
これに対し、微生物を培養、成長させたものを食用タンパク質にする方法をバイオマス発酵という。
バイオマス発酵でタンパク質を生成する米Calystaの共同創業者兼CEOのAlan Shaw氏は、特定成分を正確に再現する精密発酵に対し、バイオマス発酵の特徴は、タンパク質を効率的に大量に生成できることだとしている。
Meati Foodsも過去の報道で、大量生産を実現すれば、1日に4500頭の牛に相当する量の代替肉を生産でき、使用される水と土地は従来の畜産の1%未満になるとしている。
Meati Foodsは既存工場に加え、年間数億ポンドの生産能力となる「ギガランチ」の工場建設も計画している。「ギガランチ」の建設時期は不明だが、今回の全米展開を機に、販路拡大に向けて加速していくと予想される。
参考記事
Eat Meati™ Begins Major Year of Expansion with Sprouts Farmers Market
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アイキャッチ画像の出典:Meati Foods