今年、シンガポールで食品に特化した精密発酵施設が2施設オープンする。
食品成分を開発する精密発酵企業が近年急増しているが、スタートアップの多くは食品向けではない環境で、製薬業界向けなど高価な実験設備に頼らなければならない状況にある。
アイディアを製品にして、市場投入まで導くための理解、知見、インフラが不足していることに着目したシンガポール企業ScaleUp Bioは、食品グレードの専用施設を開設することで、シンガポールに限らず世界中の精密発酵企業を支援したいと考えている。
同社はまもなく、最大100リットルのバイオリアクターを備えた研究開発施設と、最大10,000リットルのバイオリアクターを備えた施設を開設する予定だ。9月末に研究開発施設を、10月初旬には10,000リットルの大型施設を開設する。
ScaleUp BioのCEO(最高経営責任者)Francisco Codoner氏は、「これらの量は大きくありませんが、企業がテストを行い、一方から見た市場の受容性を確認するには十分な容量です。また、製品の反復性、再現性、安全性に基づいて規制当局の承認を得るのに十分な量になります」と語る。
アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)とNurasaによる合弁会社であるScaleUp Bioは、食品用途の精密発酵業界が抱えるギャップを埋めようとしている。
「通常、企業は資金を調達しますが、ベンチャーキャピタルはアセット・ライトを意識します。つまり、アイディアは面白いので投資はしますが、成功するまでは大きな施設や大容量は作りたがらないということです。このような状況下で、ADMと(テマセクが完全所有する)NURASAは共同でこのギャップを埋めようとしています」
第5回細胞農業会議への登壇で来日したCodoner氏に話を聞いた。
第1段階はシンガポール、第2段階は国外
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アイキャッチ画像の出典:ScaleUp Bio