ロボット

Moley Roboticsが全自動調理ロボットのショールームをロンドンにオープン

 

イギリスの調理ロボットスタートアップMoley Roboticsが、ロンドンにモーレイ・ロボット・ショールーム(Moley Robotics Showroom)をオープンした。

モーレイ・ロボットは、2015年に話題を呼び、2年前に発売が発表された全自動調理ロボットキッチン。同社は9年を経て今月、ロンドン、ウィグモア・ストリート16Aにショールームをオープンした。

リンクトインの発表によると、300㎡のスペースで開催された除幕式にはアメリカ、欧州から招待されたゲストが参加した。

Moley Roboticsがショールームをオープン

出典:Moley Robotics

モーレイ・ロボットは、料理だけでなく、料理後の片付けまでやってくれる全自動調理ロボット。2つのロボットハンドと数種類のセンサーで構成されている。ロボットハンドは専属パートナーであるドイツ企業SCHUNKとの協力により開発・製造された。

ロボットハンドがキッチンの上を右に左に動き、鍋や材料の取り出し、混ぜる、切るのほか、蛇口をひねる、材料を注ぐ、皿に盛りつけるなどの作業をこなす

アームに搭載されたカメラ・センサーで、食材がこぼれていないか常にチェックし、汚れを発見すると、内蔵されたUV光で滅菌する。

ショールームの様子を撮影した動画からは、モーレイ・ロボットがターナーで鍋を混ぜている時、ターナーに付着した具材を鍋の側面を利用して鍋内に落としたり、具材が入った容器を鍋に投入する時、具材を残らず投入できるように鍋に容器を軽く打ち付けたりなど、まるで人間がするような動作をしていることがわかる。

長期目標はマスマーケットにロボットキッチンを導入すること

出典:Moley Robotics

Moley Roboticsが販売しているのは、ボタンでキッチンのプロセスを操作できるX-キッチンと、X-キッチンにロボットハンドが付属されたR-キッチン。

11回の開発サイクルと10万回の動作サイクル試験を経て開発されたロボットハンドは、5本の指からなり、アームの端にあるセンサーにより、さまざまな方向から手にかかる圧力を感知し、物体や食材を正しく保持することができる。適応型オペレーションシステムにより、新しい機器の使い方も学習できるという

公式サイトによると、現在の販売対象地域はEU諸国、スイス、アンドラ、モナコ、リヒテンシュタイン、ノルウェー、ロシアとなる。製作期間はX-キッチンで半年間、R-キッチンはそれ以上かかるようだ。

Moley Roboticsは、革新的な技術と栄養を組み合わせることで、生活の質と健康を向上させることを目指している。同社の目標は、忙しいときに調理をサポートするソリューションを提供することで、人々が作りたての家庭料理を簡単に楽しめるようにすることだ

以前の報道ではロボットハンド付きのR-キッチンは24万8000ポンド(当時約3000万円)とされていた。現在の価格は不明だが、一般普及を期待できる価格とは言い難い。

これについて、Moley Roboticsは長期的には、手頃な価格でマスマーケットに提供できるロボットキッチンの設計を目指したいと考えている。この実現にはまだ時間がかかるが、モーレイ・ロボットが一般普及すれば、老人ホーム、子育てや仕事で忙しい家庭、ホテル、レストランなどで料理のサポートをするツールとして活躍するだろう。

 

参考記事

Moley Robotics Linkedin

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Moley Robotics

 

関連記事

  1. ピザ自販機のBasil Streetが操業停止
  2. Numilkが家庭用植物ミルクメーカーを発表、クラファンの累計支…
  3. 中国OrionStar(猎户星空)がバリスタロボットRoboti…
  4. 家庭用調理ロボットのNymbleが予約注文を受付中
  5. 食品業界の共通課題に挑む 「未来型食品工場コンソーシアム」、原料…
  6. 1時間に350杯のカクテルを作るバーテンダーロボット「Backb…
  7. インド発!ドーサ、ロティ、ビリヤニを作るMukunda Food…
  8. 最短30秒で調理する自律調理ロボットを開発したRoboEatz、…

おすすめ記事

精密発酵カゼインを開発するThose Vegan Cowboys、大手チーズメーカーHochlandと提携

精密発酵カゼインを開発するベルギーのThose Vegan Cowboysは先月…

スピルリナ由来の代替肉、スナックバーを開発するインド企業Naka Foods

インドのフードテック企業Naka Foodsは、スピルリナ由来の栄養スナックバー…

廃水を活用して菌糸体タンパク質を開発するHyfé Foods、スケールアップを前倒しで完了

代替タンパク質などの必需品を持続可能な方法で生産するアメリカの気候テック企業Hy…

TurtleTreeが精密発酵によるラクトフェリン生産を発表、2023年の上市を目指す

シンガポール、アメリカに拠点を置くTurtleTreeは17日、精密発酵により世…

筑波大学の萩原大祐准教授、麹菌による代替肉の事業化に向けてクラウドファンディングを開始

麹菌を使った代替肉開発に取り組む筑波大学の萩原大祐准教授が100万円の調達を目指…

QuornとPrime Rootsが菌糸体由来肉の市場拡大に向けて提携

Quornと米Prime Rootsは、アメリカ市場における菌糸体由来の代替肉の…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(07/09 15:27時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(07/10 01:26時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(07/10 05:24時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(07/09 21:30時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(07/09 13:30時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(07/10 00:36時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP