Foovo Deep

Nature’s Fyndが菌類由来のヨーグルトを開発、来月から米スーパーで販売

 

微生物を使用したバイオマス発酵で代替タンパク質Fyを開発する米Nature’s Fyndが、来年1月よりFyを使用した「世界初」の菌類由来ヨーグルトを米ホールフーズで発売予定であることが明らかになった。

VegconomistGreen Queenが報じた。

Nature’s Fyndはイエローストーン国立公園の熱水泉に生息する極限環境微生物を使用して、代替タンパク質Fyを開発している。Fusarium strain flavolapisと呼ばれる菌類(真菌)から生成されたタンパク質Fyは、固形、液体、粉末に形状を変えることができる

同社はこれまでFyを使用したパティを米ホールフーズで販売してきた。今年7月にはドレッシングの限定販売を実施し、8月にはナダ保健省からFyの販売認可を取得した。

同月、それまでの中西部10州で70店舗を展開するFresh Thyme Marketなどで販売していたクリームチーズを一部のホールフーズマーケットにも導入した

今回報道されたヨーグルトは小売に導入されるNature’s Fyndの3つ目の製品となる。

Nature’s Fyndが菌類由来のヨーグルトを開発

出典:Nature’s Fynd

Fyを使用したヨーグルトは、ストロベリーピーチバニラの3フレーバーがあり、1個あたりタンパク質を8グラム、食物繊維を4グラム含んでいるという。ナッツ、大豆、グルテンなどのアレルゲンは含んでいない。

Fyという同じタンパク質から、代替肉、クリームチーズ、ヨーグルトなど幅広い食品を生成できるのは、Fyが「ニュートラルな風味を持つため、食品に幅広く使用できる」特性が関係しているだろう。

Nature‘s FyndはFyの開発にあたり、独自の気液界面発酵Liquid-Air Interface Fermentation)という技術を開発した

同社のブログ記事によると、同技術は準備、播種、発酵、収穫、失活、脱水の6工程からなる。最後の脱水工程で、用途に応じて水をすべて除去して乾燥粉末にしたり、水を加えて牛乳のような液体にしたり、代替肉製造に適した湿ったバイオマスの状態を保持させたりすることができるという。

Fusarium strain flavolapisは前述のとおり極限環境微生物だ。これは他の生物は生息できないような極限環境で生息する微生物を意味する。

同社ブログによると、極限環境で培われた微生物の回復力は、Fyの発酵全体を通して食品安全基準を持続的に維持するのに役立つという。

菌類を発酵させてFyプロテインを作る 出典:Nature‘s Fynd

食中毒を引き起こす可能性のある細菌は、Fusarium strain flavolapisが自然に繁殖する酸性条件では生存できない。これはつまり、殺虫剤、ホルモン剤、抗生物質、保存料を使わずに、自然と同じように増殖させることが可能になるわけだ。

Fyの発酵は積み上げ可能なトレイで行われるため、垂直方向にスケールアップが可能となる。これにより年間を通じて効率の良いタンパク質生産が可能となる。Fy生産では、牛肉と比較して土地利用を99%、水使用を99%削減できるという

研究では、意図された用途で毒性、遺伝毒性、病原性、アレルギー誘発性の可能性が低いことが示されている

特許から今後上市される製品を予想

出典:Nature’s Fynd

ここから先は有料会員限定となります。

読まれたい方はこちらのページから会員登録をお願いします。

すでに登録されている方はこちらのページからログインしてください。

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Nature’s Fynd

 

関連記事

  1. 北里大学、ニホンウナギの筋芽細胞株の樹立に成功|持続可能なウナギ…
  2. 菌糸体由来肉の米Meati Foodsが約199億円を調達、今年…
  3. ビヨンドミートが代替鶏肉ビヨンドチキンテンダーを北米で発売
  4. ネスレがマレーシアに植物肉工場を建設&乳製品フリー「ミロ」を発売…
  5. Forsea Foodsが初の培養うなぎ試食会をイスラエルで開催…
  6. 培養肉の進展と課題-タフツ大学デイビッド・カプラン教授が都内で講…
  7. 細胞性魚脂肪のImpacFatが日本に拠点設置|2026年に化粧…
  8. 携帯可能なアレルギーセンサーを開発するAllergy Amule…

おすすめ記事

オランダの大手スーパー売り場で見る代替乳製品の今|現地レポート

前回の記事ではオランダ大手スーパーマーケットであるアルバート・ハインが植物性食品…

アニマルフリーな乳タンパク質を開発するイスラエルRemilkが約11億円を調達

イスラエルを拠点とするRemilkがシリーズAラウンドで11…

世界の培養肉・培養魚企業の工場開設と販売状況の今をクローズアップ──Foovo独自調査【2025年8月】

出典:Wildtype培養肉の量産に向けた動きが活発化している。2025年7月にはBelieve…

オランダ政府が細胞農業に約82億円の出資を発表、国の成長計画として培養肉産業を支援

オランダ政府は、国家成長基金(National Growth Fund)の一環と…

Revo Foodsが3Dプリンターで作製した代替サーモンを初発売、スーパーでも販売開始

オーストリア企業Revo Foodsが3Dプリンターで作製した代替サーモンを発売…

ユニリーバが精密発酵によるアイスクリーム発売計画を発表

食品・日用品大手のユニリーバが、精密発酵により作成したアイスクリームを約1年以内…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

最新記事

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(11/05 16:13時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(11/05 02:47時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(11/05 06:20時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(11/05 22:12時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(11/05 14:13時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(11/06 01:31時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP