アグテック

果物の鮮度保持シールStixFRESHを開発する米Ryp Labs、ベリー向けに商用化を発表

 

果物の鮮度を2倍に伸ばす独自シールを開発する米Ryp Labsが、ベリー向けの鮮度保持シールStixFRESHの発売・商用化を発表した

2017年設立のRyp Labsは、果物の鮮度と保存時間を延長するソリューションの開発に取り組んできた。

同社は、植物が自身を保護するために生成する揮発性化合物に着目し、この化合物を特定し、果物の鮮度を保持する製品として開発した。それが、農産物や包装に直接貼り付けて、塾しすぎや腐敗から農作物を守る独自シールStixFRESHだ。

StixFRESHを農作物に貼ると、農作物の周りに保護層が生成され、塾しすぎや腐敗から農作物を守る仕組みとなる。

今回の発売に関する詳細は発表されていないが、同社シールは、果物に直接貼り付けたり、小さな果物をいれた包装に直接貼り付けたりすることで、賞味期限を2倍に延長することが示されている

シンプルな食品ロス削減ソリューション

出典:Ryp Labs

食品廃棄物はサプライチェーンのあらゆる段階で発生している。米国農務省の2022年の発表によると、アメリカで毎年発生する食品廃棄物に由来する二酸化炭素排出量は、石炭火力発電所42箇所の年間排出量に匹敵するという。

そのため、食品の賞味期限を安全に延長できる、シンプルで拡張可能なソリューションが切実に求められている。

これまでにも果物や野菜に吹きかけることで鮮度を保持するApeelのスプレー、農産物や包装に貼り付けるFresh Insetの鮮度保持シール、農産物の箱に入れて保存期間を延長するHazel Technologiesの小袋など、シンプルなソリューションが開発されている。

Ryp Labsの鮮度保持シールもその1つだ。同社シールは、生産者、流通業者、小売店から消費者まで、サプライチェーンのどこにでも適用可能なものとなる。

長期目標は食品・農業全体のフードロス削減

出典:Ryp Labs

Ryp Labsは昨年11月、シリーズAラウンドで810万ドル(約12億円)を調達した。CEO(最高経営責任者)のMoody Soliman氏はこの時、長期目標として、果物や野菜に加え、魚介類、肉、家禽、卵、乳製品など食品・農業業界にフードロス削減ソリューションの提供を目指していると述べていた。

Soliman氏は過去の報道でも、肉の腐敗を防ぐためのソリューションの構想について言及していた

Soliman氏はさらに、「この技術は食品業界を超えて、家庭用品、ヘルスケア、バイオテクノロジーなど他の業界に拡大し、これらの業界全体に蔓延する微生物関連の課題に対処できる可能性があります」と述べ、食品業界に留まらないビジョンにも言及している。

Ryp Labsは食用スプレー製剤でも特許を出願しているため、食品用途でシールに続き、吹きかけるだけのスプレータイプの製品開発も行うかもしれない。

 

参考記事

Ryp Labs LinkedIn

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Ryp Labs

 

関連記事

  1. 漁業者と消費者をダイレクトにつなげるE-Fish、48時間以内に…
  2. ドバイが次のフードテックハブになる?UAEがドバイにフードテック…
  3. 多様な植物から葉タンパク質を抽出するThe Leaf Prote…
  4. 機械学習でフードロス削減に取り組むFloWasteが約1億240…
  5. Colloが開発した、電磁場を利用して牛乳工場の損失を防ぐ「液体…
  6. グリラス、国産食用コオロギを使用したプロテインバー等をコンビニで…
  7. 昆虫で食品廃棄物をアップサイクルするLIVIN Farmsが約8…
  8. Pairwiseがゲノム編集野菜を上市するためConscious…

おすすめ記事

米Voyage Foods、豆不使用コーヒーをフードサービス・CPGブランド向けに販売開始

米Voyage Foodsが今月16日、フードサービス・食品業界の商業パートナー…

肉屋出身者が立ち上げたIvy Farm|2023年までに英国で培養ソーセージの市販化を目指す

イギリスの培養肉スタートアップIvy Farmは、2023年までにイギリスの小売…

スピルリナ由来の代替スモークサーモンを開発するSimpliiGood

2024年8月13日修正・追記スピルリナを活用して代替タンパク質を開発す…

ポーランド企業NapiFeryn Biotech、菜種油粕由来のタンパク質で米国GRAS認証を取得

ポーランドのフードテック企業NapiFeryn Biotechが、菜種由来のタン…

二酸化炭素、水素、微生物からタンパク質を作る米NovoNutrientsが約5.1億円を調達

工業的に排出された二酸化炭素、水素、微生物を活用して代替タンパク質を開発するNo…

ドイツのAlife Foodsがアニマルフリー培養培地を用いて培養シュニッツェルを開発

ドイツのフードテックスタートアップAlife Foodsは、欧州のスパイス大手F…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

最新記事

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(08/08 15:33時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(08/08 01:41時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(08/08 05:33時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(08/07 21:37時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(08/08 13:35時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(08/08 00:45時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP