オレオゲル技術で代替脂肪を開発するフィンランドのPerfat Technologiesは今月10日、シリーズAラウンドで250万ユーロ(約4億3,500万円)を調達した。
昨年3月のシードラウンド(100万ユーロ/約1億7,400万円)に続く資金調達となる。
本ラウンドはNewtree ImpactとBeyond Impactが主導し、Nordic Science Investments、ヘルシンキ大学基金(University of Helsinki Funds)、Big Idea Venturesが前回に続いて参加した。
Beyond ImpactのSagar Tandon氏は、「人間とペットの栄養に関わる原料プラットフォームへの投資家として、私たちはPerfatがオーダーメイドの固体機能性脂肪を生産する能力に非常に感銘を受けています」と技術を高く評価している。
Perfat Technologiesは調達した資金で生産の拡大、チームの拡充、脂肪ソリューションの市場投入を図る方針だ。
飽和脂肪酸を抑え、食物繊維を含む代替脂肪

出典:Perfat Technologies
同社によれば、菜種油やヒマワリ油などの健康的な植物油脂は技術機能面の制約から食品生産での使用が限定されてきた。同社の技術により、バター、パーム油、ココナッツオイルなどの従来の脂肪に代わる、より健康的で持続可能な代替品を提供できるとしている。
2023年に設立されたPerfat Technologiesは、オレオゲル技術と材料物理学の知見を活用し、健康に良い植物油脂の脂肪酸プロファイルを変えることなく、固体/半固体の代替脂肪を開発している。
オレオゲルとは、ゲル化剤が形成する三次元構造に液状油脂を取り込ませ、全体として固体脂肪のような形状をとっている状態をいう。ゼリー中の水を油に変えたイメージだ。
これにより、身体に良いとされる不飽和脂肪酸を豊富に含む植物油脂を、動物脂肪のような固体形状にできる。
共同創業者兼CEO(最高経営責任者)のJyrki Lee-Korhonen氏は以前、Foovoのインタビューで「当社は食品用途に応じて構造を変えることが可能で、クライアントの製造要件に合わせて、より硬くすることも、より柔らかめにすることも、流動性の状態にすることもできます」と述べた。

出典:Perfat Technologies
また、Perfat Technologiesの代替脂肪は、心疾患リスクとの関連が指摘される飽和脂肪酸を80%、そしてカロリーを30%抑えながら、腸内環境の改善に寄与する100g中食物繊維を30g含んでいることも特徴だ。これにより、脂肪に”健康メリット”という付加価値をもたらすことが可能となる。
同社は自社脂肪について「世界初の食物繊維を強化したゲル化植物油脂」だとプレスリリースで表現している。
事業進捗について、Perfat Technologiesは2024年の売上が1070%成長したと公表している。同社はB2B供給を目指しており、顧客による採用など正式販売の発表は確認できていないが、評価用・試作品向けの有償提供が行われている可能性が考えられる。この点は、Jyrki氏に照会中のため、回答を得られ次第、記事を更新する。

Foovo調査により作成 2024年12月時点
オレオゲルは、飽和脂肪酸を抑えながら固体/半固体の構造化された脂肪を作る技術として近年注目されている。
Foovoの調査(2024年12月時点)でも関連論文は増加傾向にあり、Paragon Pure、Fattastic Technologies、Gavan Technologiesなどのスタートアップが登場している。
米Paragon Pureは、今年初頭の時点でパイロット工場の稼働を発表している。
※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。
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アイキャッチ画像の出典:Perfat Technologies