スウェーデンのフードテックHookedは、シードラウンドで17万5800ドル(約1800万円)を調達した。
Hookedは2019年にストックホルムに設立された水産物に特化したフードテックスタートアップ。今回のラウンドにはオスロを拠点に海洋の持続可能なソリューションに取り組むアクセラレーターKatapult Oceanが参加した。
調達した資金は、大豆由来のツナ「Hooked Toona」を北欧市場に展開するために使われる。
Hookedはベルリンを拠点とするインキュベーターProVegにも参加している。ProVegは、植物由来食品や栽培食品のフードテック企業を支援するインキュベーターで、ここでは「Hooked Salmoon」を準備中だ。
欧州では水産食品の中でサケとツナの消費量は特に多い。欧州では65%の魚が過剰消費されているとされ、30年以内に水産物がほとんど入手できなくなるといわれている。過剰漁獲と海洋生態系への影響をなくしたいのがHookedの願いだ。
創業者Emil Wastesonによると初年度で二酸化炭素1千トンとサケ・マグロ5000匹を節約できる見込み。「Hookedの商品を食べることで、海洋生態系に負の影響をもたらすことなく水産物を味わうことができる」と語る。狙いは欧州最大の魚代替品プレーヤーだ。
Hookedの商品は、細長く裂かれたサケとツナ。サケは開発の最終段階にある。
どちらも大豆由来のプロテインを使い、本物に似た匂いを再現するために、DHAやEPAが豊富な藻油(algae oil)も使っている。口当たりは湿式押出成形(wet extrusion)という手法で再現した。
代替肉とギャップのある代替魚市場
グッド・フード・インスティテュート(GFI)によると、植物由来代替肉の年売上高は10億ドルであるのに対し、植物由来の海産食品代替品はわずか1000万ドルしかない。このギャップを埋めるために、さまざまなスタートアップが登場している。
Good Catchはえんどう豆、ヒヨコマメなどからツナを作り、アメリカのオハイオに約4000㎡の施設をオープンしている。また、カジュアルなヴィーガン向けレストランVeggie Grillと提携を発表したばかり。
ネスレもGarden Gourmetのブランドで植物性ツナをリリースするなど、代替食品に進出している。
サンフランシスコを拠点とするKuleanaは寿司にできる「切り身」にそっくりな代替魚を開発中だ。
そして、Legendary Vishは3Dプリンタでサケを開発している。味、匂い、見た目もそっくりに再現した人工サケを、2022年までに欧州でリリースするのを目指している。
魚代替食品には、
●水銀を含まない
●海洋生態系への負の影響がない
●過剰漁獲を避けられる
●食材を常温保存できる
といったメリットがある。海洋生態系への罪悪感を感じることなく食を楽しめるうえ、食糧危機への備えにもなる。
Hookedをはじめとするプレーヤーの今後の動きに注目したい。
参考記事
Plant-Based Seafood: Hooked Secures First Funds To Launch Vegan Tuna In Nordic Market
Hooked on salmon:’World’s first’ shredded plant-based alternative eyes European market
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