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ラーメン自動販売機で有名なYo-Kai Express(ヨーカイ・エクスプレス)が、新たに家庭用調理機Takumiを発表した。
Yo-Kai Expressは24時間、熱々のラーメンを提供する自動販売機を開発することで知られる。
自販機のタッチパネルから好きなラーメン(豚骨ラーメンからチキンフォー、ヴィーガンラーメンまである)を選び、決済して待つだけ。
待ち時間はわずか45秒。
完成されたラーメンにはプラスチックカバーで封がされ、蓋もついており、こぼれない配慮がされている。
動画を見れば、自動販売機で作られたとは思えないほど、チャーシュー、メンマ、コーン、ネギなどの具材が適切に配置されていることに驚く日本人も多いだろう。
社名のYo-Kaiは日本の「妖怪」を意味する。いつでも、どこでも出現する妖怪の神出鬼没ぶりをイメージしている。
このYo-Kai Expressがこのほど発表したのが、家庭用の調理機Takumiだ。
家庭用調理機Takumi
TakumiはYo-Kai Expressが昨年始めた自宅に配達されるラーメンキットと連動している。
現在のラーメンキットは、届いたら自分で手を動かす必要があり、料理が完成するまで約15分かかる。
今回発表されたTakumiでは、自宅での調理をよりスマートにしたもの。
ラーメンは1つの容器に入った冷凍された状態で自宅に届くので、ユーザーはTakumiに容器をセットして、ボタンを押すだけだけ。わずか3分でラーメンが完成する。
Takumiは昨年開催されたスマートキッチンサミットジャパン2020(SKSJ2020)で披露された。
Takumiはラーメンだけでなく、うどん、フォー、丼物、点心、餃子、パスタなどのメニューも用意している。
さらに、あらかじめ用意されたレシピだけでなく、コーヒーメーカー、調理器具、スチーマー、器具・哺乳瓶の消毒器としても使える。
TakumiをレシピがプログラムされたアプリにRFIDで接続したり、水が足りない時はアラートを送ってもらったりすることができる。
調理器具、哺乳瓶、おしゃぶりなどTakumiに入るものであれば、ボタンを押すだけで消毒できる。
調理をより簡単にスマートにするだけでなく、調理機にほかの機能を加えている点が特徴的だ。
「Amazonのようなプラットフォーム」
Yo-Kai Expressはさまざまなラーメン店のラーメンをユーザーに提供するため、プラットフォームをオープンしている。
現在、日本の著名なラーメン店と共同ブランディングや食事販売で交渉しており、これらの店のラーメンを自社プラットフォームを通じてユーザーに届けたいと考えている。
SKSJ2020では自社のビジネスモデルをAmazonになぞらえ、Yo-Kai Expressのプラットフォームを通じて、さまざまな会社が収益を上げられる仕組みだと語っていた。
Yo-Kai Expressの最初の製品となるラーメン自販機は、ラーメン屋台を自動販売機にしたもので、オフィス、マンション、病院、スーパー、大学、寮、空港、ホテル、テーマパーク、工場などさまざまな場所に導入されている。
コロナウイルスの発生後は企業からの問い合わせがたくさんあったという。
ラーメン店にとっては、Yo-Kai Expressのプラットフォームに乗っかることで、自国を超えて、ほかの国でもラーメンを提供できる。
ラーメンはYo-Kai Expressのラーメン自動販売機で販売されるほか、ミールキットとして自宅に届く。ユーザーはTakumiを使って自宅で有名店のラーメンを食べられる。
今年リリースされる移動型屋台
SKSJ2020では、Takumiのほかに新しい自動運転するタイプの屋台が紹介された。
同社の自販機はこれまでは動かない静止タイプだったが、今回初めて、動くタイプの自動販売機を発表。
この移動型屋台は、アプリで呼ぶと道で止まってくれる。屋台が通り過ぎるときに人が手を振っても止まるという。
この移動型屋台はまだ試作段階だが、今年第1四半期の終わりから第2四半期の始め頃にリリースされるという。
現在、カリフォルニア大学バークレー校とアーバイン校のキャンパスで稼働してもらえないか交渉している。
最初の導入先として大学を選ぶのは理にかなっているという。というのも、公道を走る場合と比べて、大学への導入であれば自動運転に伴う規制を回避できるからだ。
移動型屋台がリリースされると、同社のプラットフォームは次の4つに増える。
● 静止タイプのラーメン自販機
● ミールキット
● 家庭用調理機Takumi
● 移動型屋台
4つのプラットフォームを活用することで、飲食店のメニューが店舗に限定されず、より多くの人にリーチできるようになる。
主要戦略となる共同ブランディング
Yo-Kai ExpressはAndy Lin氏が2016年に創業したカリフォルニアを拠点とするスタートアップ企業。
テスラの24時間工場やネットフリックスなどシリコンバレー企業にも設置されている(さらに知りたい人はこちらから)。
ラーメン自販機の設置は無料で、売上はYo-Kai Expressが回収するため、導入企業は、追加のコストをかけずに従業員に熱々の料理を提供できる。
Yo-Kai Expressのように共同ブランディング戦略を採用する自販機会社は増えている。
スムージーロボットを開発するBlendidは、アメリカでスムージーに特化した食品会社Jambaと共同ブランディングしたキオスクを展開している。
サラダに特化した自販機で知られるChowboticsはSaladworksとコラボしている。
ロボットや次世代自販機を展開する企業にとっては、自社のブランド構築に注力するよりも、すでにある企業ブランドと手を組む方が、自社のブランド認知にレバレッジをかけられる。
今後はこうした共同ブランディングが主な戦略となっていくと考えられる。
Yo-Kai Expressは次世代自販機の1つ。日本ではまだトレンドになっていない世界の次世代自販機の最新事例を特集したレポートはこちらから▼
参考
スマートキッチンサミットジャパン2020
Exclusive: Yo-Kai Express to Launch Autonomous Mobile Vending Machine and Countertop Cooking Device
めん類、丼もの、点心を作ってくれるYo-Kai Expressの家庭用スマート自動調理器「Takumi」
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