ドローンスタートアップFlytrexは800万ドル(約8億7000万円)を調達したことを発表した。
Flytrexは2018年から商用ドローンによる配送を実施しているイスラエルのスタートアップ企業。
2020年までの時点で、アイスランドの首都レイキャビクで1000のドローン宅配を実施している。アイスランドの最大のECサイトAHAと提携し、4分で個人宅の庭まで配送する。
米国ではノース・ダコタ州にあるKing’s Walkゴルフコースでエリア限定でのサービスを提供しており、昨年の報道ではノースカロライナ州のファイエットビルでも実証実験を準備しているとしていた。
King’s Walkゴルフコースでは、ゴルファーが希望のスナックやドリンクを注文すると、コース上の正確な場所に数分以内で配送され、飲み物のカートを待つ必要がなくなっている。
Flytrexは時速65キロ(40マイル)で約3kg(6.5ポンド)まで運べるヘキサコプターで、1回の充電で走行できる距離は約9.6キロ(6マイル)となる。
Flytrexのドローンは郊外用に開発されており、目的地に到着すると、ケーブルを使用して配達物を人々のところまでおろす仕組みとなる。
人間のドライバーだと1時間に2~3回しか配達できないところ、同社のドローンなら1時間に最大15回まで配達できるという。
ドローン運用の最大の懸念とされる安全性については、モーターの故障、バッテリーの故障、通信障害に耐えられる設計になっており、すべてがダメになっても、独立したパラシュートが搭載されているという。
アメリカ連邦航空局(FAA)が米国での運用を承認したドローン企業は、Alphabet’s Wing、アマゾン、UPSだけだが、FAAは2020年の終わりにドローンの安全性と夜間飛行について新たなルールを公布した。
これはドローン開発に求められる法規制の明確化に寄与するもので、リモートIDを義務付けることで、小型ドローンに特定の条件下で夜間の飛行と、人の上を飛行することを許可する内容となっている。これにより、Flytrexや、アラバマで食料品宅配を実施しているDeuce Droneなどのスタートアップ企業も承認される可能性がある。
Flytrexによると、同社はFAAが2017年から2020年10月まで実施していた無人航空機システム(UAS)統合パイロットプログラム( IPP)のプログラムの参加者である、ノースカロライナ州運輸省とパートナーシップを結んでいた。このプログラムでノースカロライナ州運輸省は、農村部、郊外、都市部での食品、医薬品を含むドローン配送に焦点をあてていた。
法規制や安全性の面でクリアにしなければならない課題がまだあるものの、世界中でドローン配送に取り組むスタートアップが立ち上がっている。
たとえば、アイルランドのMannaは食料品店と提携して、1日に50から100の食料品のドローン宅配を実施している。
ブラジルではiFoodが昨年8月にブラジル国家民間航空局(ANAC)からカンピーナス市で2つのドローン配送ルートを運営する承認を得た。
イスラエルではDragontail Systemsがピザハットと提携して、今年6月からピザのドローン配送を開始する。
Flytrexは2013年にAmit Regev氏とYariv Bash氏が設立したイスラエルのテルアビブを拠点とするスタートアップ企業。
今回のラウンドはコンバーティブル・ノート(将来、株式に転換する約束が付されたもので、その本質的な性質は負債となる)であり、カリフォルニアのBenhamou Global Ventures、テルアビブのTechAviv Founder Partnersなどが参加した。
これまでの調達総額は2030万ドル(約22億円)となる。
参考記事
Flytrex Raised $8M to Expand U.S. Drone Delivery Operations
Flytrex Trialing Delivery by Drone in North Dakota and North Carolina
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アイキャッチ画像の出典:Flytrex