代替プロテイン

Yコンビネーターが支援する米培養肉企業Orbillion Bioは高級肉開発で差別化を図る

 

培養肉スタートアップ企業Orbillion BioYコンビネーターのWinter21に参加することが発表された。

培養肉企業としてYコンビネーターに参加するのは同社が初となる。

Yコンビネーターは有名な企業を多数輩出してきた名門アクセラレーターこれまでにStripe、DoorDash、Airbnbなどの企業を生み出してきた。

代替肉企業への投資も行っているが、培養牛肉の開発に取り組む企業への投資は今回が初となる。

高級肉を開発するOrbillion Bio

Orbillion Bioは牛肉に代わる培養肉を開発するカリフォルニア発のスタートアップだが、他社ほどコストダウンのプレッシャーを感じていないだろう。

というのも、同社は最初からヘラジカ、子羊、和牛といった高級肉の開発を想定しているからだ。

同社の独自性は作る肉の種類だけではなく、その生産プロセスにも表れている。

出典:Orbillion Bio

Orbillion Bioは、小さなバイオリアクターのシステムで細胞をスクリーニングし、商用生産に最適な細胞を選別、単離する。

ハイスループットスクリーニングと機械学習ソフトを組み合わせ、最適な組織と培地の組合せに関するデータベースを構築する。

これによりサンプルから製品の完成までにかかる時間を他社の1/5にできるという。

ハイスループットスクリーニングとは、主に創薬の分野で使用される、

何百万もの試験を迅速に実施することを可能にする実験方法をいう。

ドイツ製薬大手の元研究者が立ち上げたスタートアップ

Orbillion Bioは最もおいしいステーキを作ることを目標としているが、最初の商品はステーキではなく、牛ひき肉となる予定。

レストランなのか小売なのかは不明だが、2023年中に市場へ出したいとしている。

出典:Orbillion Bio

共同創業者のパトリシア・バドナー(Patricia Bubner)氏は、ドイツの製薬大手ベーリンガーインゲルハイムの元研究者。

食通であり、食料システムに大きなインパクトを与える1人になりたいと思っていたバドナー氏は、培養肉開発を始めるための準備として、ベーリンガーに入社した。

共同創業者のSamet Yildirim氏はベーリンガー時代のバドナー氏の上市であり、最高執行責任者(COO)だった。そして、アメリカの化学工学会AIChEの元所長である、Gabriel Levesque-Tremblay氏が最高技術責任者(CTO)を務める。

畜産農家との協業も視野に

TechCrunchの報道によると、バドナー氏は、動物肉に似た大きな切り身を作るのに必要な足場や、風味を加えるのに必要な脂肪なども取り入れる必要性を感じており、Future FieldsMatrix Meatsなどの周辺技術を開発する企業との協業の可能性もある。

また、細胞の生産者となる動物のオーナーが普及と商用生産の報酬を受けられるように、農家やブリーダーとライセンス契約のような形で協業することも考えているという。

これが実現すれば、将来の農家は、培養肉を生産するために動物を飼育する人になる

出典:Orbillion Bio

Orbillion Bioは高級肉に焦点をあてているため、他社より早く、従来の畜産肉と同等価格になる可能性が高い

Yコンビネーターからの支援を得てさらに生産コストの削減を図るほか、2022年の終わりまでにパイロット工場を稼働させたいと考えている。

この実現には約350万ドルが必要になるとしている。

培養肉業界で進む差別化戦略

出典:Orbillion Bio

世界的に培養肉に取り組む企業が増えている今、Orbillion Bioのように他社との差別化が求められていく。

オーストラリアのVowもOrbillion Bioと似た差別化戦略をとっており、カンガルー、アルパカ、子羊などの珍しい培養肉開発に取り組んでおり、今年早々に約6億2000万円を調達している。

また、New Age MeatsFuture Meatのようにコストダウンしやすく、市場投入への時間を短縮しやすいハイブリッド肉の戦略をとる企業もいる。

イギリスのHoxton Farmsのように、さらに市場規模の大きい植物肉をターゲットに、植物肉をアップデートするのに不可欠な培養脂肪を開発するスタートアップも登場している。

畜産による温室効果ガスの排出、動物による感染症発生、集約畜産による抗生物質の使用、動物愛護、農業用地のための森林伐採、人口増加の観点から、培養肉が畜産肉に代わる手段として注目されている。

培養肉の市場規模予想についてはさまざまなデータがあるが、最新のデータによると、2030年までに945億ドル(約10兆円)になると予想される。

 

参考記事

This Y Combinator startup is taking lab-grown meat upscale with elk, lamb and Wagyu beef cell lines

‘Premium’ Cultured Meat Company Orbillion Bio Joins Y Combinator’s Winter 2021 Class

Y Combinator Backs Orbillion Bio In First Cell-Cultured Meat Investment

 

アイキャッチ画像の出典:Orbillion Bio

 

関連記事

  1. ジャガイモで卵白タンパク質を開発するPoLoPo、2026年の上…
  2. Biokraft Foodsが、インドで初の培養肉試食会を開催|…
  3. スピルリナ由来の代替肉、スナックバーを開発するインド企業Naka…
  4. 大豆を使ってチーズを開発するNobell Foodsが約82億円…
  5. スウェーデン企業Hooked Foodsがドイツのスーパー400…
  6. Upside Foodsが業界史上最大の約510億円を調達、年内…
  7. NoMy Japan、日本甜菜製糖などから約2億円を調達|てん菜…
  8. Veganzが開発したシート状の代替ミルク製品Mililk|環境…

おすすめ記事

マイコプロテイン由来の代替肉を開発するMycorenaが約30億円を調達

マイコプロテイン由来の代替肉を開発するスウェーデン企業Mycorenaが先月、シ…

精密発酵で始まった「見えにくい置換」ー米The EVERY Company、精密発酵卵白を全米Targetに導入

出典:The EVERY Company精密発酵で卵白タンパク質を開発する米The EVERY …

EUから出資を受けるドイツの微細藻類スタートアップQuazy Foodsが約1.3億円を調達

ドイツ、ベルリンを拠点とする微細藻類スタートアップのQuazy Foods(旧称…

【現地レポ】Perfect Dayの精密発酵乳タンパク質を使用したミルクを試食@シンガポール|精密発酵ミルクの現在地を確認

精密発酵技術で生成された食品がアメリカ、シンガポールなどで販売されている。…

単細胞タンパク質のCalysta、英米の研究開発ラボを閉鎖──中国工場を基盤に次の工場建設へ

出典:Calysta天然ガスに含まれるメタンなどの炭素源を微生物に与えて単細胞タンパク質「Fee…

食料品配達のパーソナライズ化を実現するHungryrootが約44億円を調達|AIで買い物を予測

AIを活用してパーソナライズ化された食料品デリバリーを提供するHungryroo…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

細胞性食品(細胞培養食品)レポート販売開始

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

精密発酵・定期動向レポート発売のお知らせ

代替カカオレポート・好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

会員サービスFoovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

PAGE TOP