ドローンデリバリースタートアップのMannaがシリーズAで2500万ドル(約27億円)を調達した。
Mannaはアイルランド、ダブリンを拠点とするスタートアップ企業。
同社は現在、アイルランド西海岸にある港湾都市ゴールウェイでドローンによる食品宅配の試験運用を実施している。
3分で個人宅までドローンが食品配送
Mannaは地元レストランチェーンなどと提携して、食品とドリンクのドローン宅配を実施している。
1日に実施するデリバリーは50~100件。ゴールウェイの住民8万人のうち1万人が同社のドローン宅配サービスを利用している。
ドローンがメインハブを出発し、ユーザー宅に到着するまでにかかる時間はわずか3分。
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ユーザーが提携レストランの料理を注文する場合、そのレストランのアプリを使い、配送方法に「ドローン宅配」を選ぶ。すると、Googleマップの画像が方眼付きで表示されるので、ユーザーはドローンの到着地点を指定する。
ドローンは指定の地点まで到着すると、高さ15メートルの空中で停止し、ケーブルを通じて商品をおろす。
Mannaによると1台のドローンは1時間に6~7件のデリバリーが可能。ドローン操縦者1人が操作する配送数は1時間に20件となる。
Mannaは今年7月までに10万人にサービスを提供できるだろうと考えている。
今年第2四半期にはアメリカでサービスを開始し、2023年までに世界で展開を拡大する予定。
現在のゴールウェイでの試験運用に加え、JustEat、サムスン、Ben & Jerrys、テスコとパートナーシップを結んでいる。
ドローン配送はレストランから小売へ
Mannaのようなドローンによるフードデリバリーは海外では現実のものとなりつつある。
イスラエルのFlytrexは、ドローン配送の試験運用で昨年9月にウォルマートと提携したほか、アメリカのゴルフコースでドローンによる配送サービスを提供しており、3月に約8億7000万円を調達した。
イスラエルのピザハットはDragontail Systemsと提携し、ドローンによるピザの試験配送を今年開始する。
日本では楽天が三重県志摩市でドローンによる食料品デリバリーを今年1月に期間限定で実施している。これはドローンを活用した食料品配送サービスの実用化に向けたものとなる。
楽天、Mannaのように、離島や郊外など自動車でのアクセスが難しかったり時間がかかったりするエリアでは、食料品デリバリーへのドローンの導入が期待される。
直近の例では、アメリカのスーパーマーケットチェーンのクローガーもドローンによる試験配送を発表した。
クローガーは今年の春、夏に2回の試験運用を実施するとしており、レストランだけでなく小売の配送にドローンを導入する事例が増えている。
日本もドローン実装へ向けて動き出す
日本の都市部でドローンが目視者なしで飛行できるようになるには、国が定める「レベル4」を実現する必要がある。
政府は、有人地帯での目視者なしでのドローン飛行実現のタイムラインを2022年に設定し、基本方針を策定したほか、航空法の改正案を閣議決定した。
レベル4が実現すると、食料品の高速配送、医薬品を含む生活必需品物資の迅速な輸送、通学中の子供たちの見守り、農業・林業の自動化・デジタル化においてドローンが活用される。
日本では日常生活でのドローン導入はもう少し先だが、規制が緩和され、ハード面が改良されていけば、数年後には日本でも食料品のドローン配送が日常化するだろう。
参考記事
Irish Drone Delivery Startup Manna Raises $25M Series A
Manna Now Doing 50 – 100 Drone Deliveries Per Day in Galway, Ireland
1小型無人機の有人地帯での目視外飛行実現に向けた制度設計の基本方針
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アイキャッチ画像の出典:Manna