アップサイクル

廃棄される果物の皮からドライフルーツを製造するRINDが約6.7億円を調達

 

廃棄される果物を活用してドライフルーツスナックを製造するRINDがシリーズAラウンドで610万ドル(約6億7000万円)を調達した。

Forbesによると、RINDの2020年の収益は前年比5倍を記録し、今年は年間売上は3倍になると予想される。

このラウンドはValor Siren Venturesが主導し、既存投資家であるMelitas Venturesが参加した。この調達により、RINDの調達総額は840万ドル(約9億2500万円)となる。

出典:RIND

RINDは、本来あれば廃棄される果物を原料にドライフルーツスナックを製造している。

RINDによると、果物の皮には、皮をむいた果物と比較して約3~4倍の食物繊維が含まれている。

果物の皮には、ほかの部分よりもビタミン、繊維、抗酸化物質が集中して含まれ、健康的な微量栄養素が含まれているにも関わらず、最も廃棄される生ごみとなっている。

公式サイトによると、2020年にRINDは果物の皮をアップサイクルすることで12万ポンド(約54トン)以上の食品廃棄物を節約できたという。

出典:RIND

アメリカでは毎年4000万トン近くの食料が廃棄されており、この大部分を果物と野菜が占めている。これは、農作物を5袋分買って、駐車場に2袋置いていくイメージとなる。

RINDは、果物や野菜には食用の皮があり、熟すことでおいしいドライフルーツスナックになるため、こうした食料廃棄物は発生する必要のないものだと考えている。

さらに、ドライフルーツスナックは栄養に富み、子供の飢餓や栄養不足のソリューションになると考えている。

創業者のMatt Weiss氏(左) 出典:RIND

RINDによると、アメリカの子供の6人に1人が、いつ食べ物を食べられるかわからない状態に置かれている。

同社は昨年、子供の飢餓と栄養不足問題に取り組むために、「Love isRIND」というキャンペーンを立ち上げ、恵まれない地域の子供たちに毎週、定期的にRINDのドライフルーツを届ける活動を行っている。

このプログラムは、子ども達に食品を届けると同時に、栄養価の高いスナックの重要性について教育する啓蒙活動も兼ねている。

「Love isRIND」のキャンペーン開始後、これまでに13,700袋以上のドライフルーツスナックを子ども達に寄付した。

出典:RIND

RINDはMatt Weiss氏が2017年に設立したニューヨークを拠点とするスタートアップ企業。2018年に販売を開始し、2019年には販売箇所は1000箇所を超えた。

RINDのドライフルーツは公式サイト海外Amazonのほか、アメリカでは、ホールフーズ、ウェグマンズ(Wegmans)、マイヤー(Meijers)など現在では、3000箇所を超える小売でも販売されている。RINDは、Imperfect Foods、HungryRootなどのデリバリーサービスとも提携している。

Weiss氏は「ドライフルーツは序章にすぎない」とクランチベースの取材に対してコメントし、今後は野菜バージョンの製品も開発予定であるとしている。

 

参考記事

RIND Raises $6.1M for Upcycled Fruit Snacks

Keeping The RIND On: Fruit Snack Company Chews On $6.1M Series A

 

関連記事

 

関連記事

  1. フードロス削減に取り組むオランダ企業OneThirdが約1億90…
  2. ポーランド企業NapiFeryn Biotech、菜種油粕由来の…
  3. 家庭生ゴミを鶏の飼料に変える米Millが開発したキッチンデバイス…
  4. Mycorenaのパイロット工場、拡張により欧州最大のマイコプロ…
  5. 極限環境微生物で代替パーム油を開発するシンガポール企業Biteb…
  6. アサヒ、日本初の酵母由来ミルク「LIKE MILK」を発売|海外…
  7. Fresh Insetが開発した食品鮮度保持技術Vidre+Co…
  8. 「食べられる」食品包装用フィルムをインド・ロシア研究チームが開発…

おすすめ記事

イート・ジャストの代替卵JUST Eggが欧州の安全性承認を取得

米イート・ジャストの代替卵JUST Egg(ジャスト・エッグ)の主要成分が、欧州…

Steakholder Foodsが台湾進出に向け、台湾の工業技術研究院と提携

独自の3Dプリンターで植物由来や細胞由来の代替肉・代替魚を開発するイスラエル企業…

中国代替肉企業Hey MaetがプレシリーズAで数百万ドルを資金調達

コロナ後に誕生した中国発の代替肉スタートアップ企業Hey Maetが再び資金調達…

アレフ・ファームズがイスラエルで培養牛肉の承認を取得|牛肉では世界初

イスラエルの培養肉企業アレフ・ファームズが、イスラエル保健省から培養牛ステーキ肉…

【2021年10月】代替シーフードの投資動向/大手、スタートアップの参入・提携状況

本記事は、2021年1月~9月までの代替シーフードの投資状況、大手×スタートアッ…

イスラエルの微細藻類スタートアップBrevel、シードラウンド拡張で約7.4億円を調達

微細藻類由来のタンパク質を開発するイスラエル企業Brevelがシードラウンドの追…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

リアルセミナー@東京のお知らせ【2025/6/18】

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(06/06 15:13時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(06/07 01:08時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(06/07 05:08時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(06/06 21:16時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(06/07 13:20時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(06/07 00:23時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP