代替プロテイン

培養肉企業インテグリカルチャーによる 「CulNetコンソーシアム」が本格始動、細胞農業の社会実装を目指す

 

日本を代表する培養肉企業インテグリカルチャーによる細胞農業オープンイノベーションプラットフォーム「CulNetコンソーシアム」が本格始動したことが発表された。

細胞農業を広く普及させるための各種プラットフォームを構築し、最終的に細胞農業が広く一般化する世界を目指す。

本コンソーシアムでは、インテグリカルチャーが独自に開発した細胞培養プラットフォームCulNet System™を食品、革に限らず、様々な分野で使用してもらうことを想定している。

出典:インテグリカルチャー

本コンソーシアムは、将来、誰もが使える細胞培養インフラとして普及することを長期ゴールに掲げる。培地、足場、装置など各分野の企業が参画し、培養液、培養機器、生産技術、品質管理、製品加工の5分野で共同開発を行う。

共同開発により、培養肉をはじめとする細胞農業製品の社会実装を目指す

CulNet System™は、動物体内に似た環境を構築することで、細胞培養の高コストの原因である成長因子を外部から添加する必要をなくしたインテグリカルチャー独自の汎用性の高い細胞培養プラットフォーム技術

共同開発の対象となるのは下記5分野:   

出典:インテグリカルチャー

 

  ●標準培養液:既存の培養液(基礎培地)とは根本的に異なる発想でのレシピ開発・規格化を進める。基礎培地はすべての培養細胞製品の原材料であり、製品(食品、素材、医療など)ごとに異なる種類の基礎培地が必要となる。

 

    ●実機(ハードウェア):CulNet System™の実機を構成する部品群および運用方法の開発・規格化を進める。CulNet System™は将来、プラットフォームとして大量生産や家庭での利用など幅広いスケールでのご活用を想定している。

 

    ●培養槽:可食部などの製品を製造する培養槽を構成する要素の開発・規格化を進める。ソースとなる細胞源は農業製品として用いる様々な動物を想定している。

 

    ●細胞製品加工:生成物(細胞構成物/培養上清)の加工と安全性を満たすためのプロセス管理要素の開発・規格化を進める。

 

    ●種細胞:畜産資源、漁業資源などから細胞を抽出し、培養を行うための加工プロセス開発・規格化を進める。食品用途や素材用途、動物種等、種細胞生産拠点で一連のプロセスを完結させるための開発を行う。

 

たとえば細胞製品加工では、フォアグラ等の「ペースト肉」を目指した開発テーマがあげられている。ハードウェアでは、月産1kgから1t以上までのスケール化やポンプ類など、培養槽では、ペースト肉、皮革など製品別の培養槽の設計などを開発テーマとしている。

本コンソーシアムについて、インテグリカルチャー代表の羽生雄毅氏は、培養肉を量産するには石油コンビナートなみのスケールが必要となるが、1社でやるには限界があるため、さまざまなテクノロジー企業を集めたコンソーシアムを設立したとSKSで語っていた

インテグリカルチャー社代表取締役の羽生雄毅氏 SKSJ2020にて

培養肉の標準化を目指して10のプロジェクトが進行中だが、この技術が世の中に広まれば「技術の提供先は個人もあり得る」と羽生氏は考えている。

本コンソーシアムに参画する企業は全13社。

  • インテグリカルチャー株式会社
  • 株式会社荏原製作所
  • 大倉工業株式会社
  • 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 
  • ダイダン株式会社
  • 大和製罐株式会社
  • 千代田化工建設株式会社
  • 日産化学株式会社
  • ハウス食品グループ本社株式会社
  • 株式会社浜野製作所
  • アクアティセル 他2社

参画団体の1社、ハウス食品グループは、細胞製品の加工や安全性基準を満たすためのプロセス管理要素の開発・規格化を目指して参画する。

荏原製作所は、ポンプを主とした同社の流体技術などで本コンソーシアムに参画し、同社製品のCulNetシステムへの貢献を目指す。さらに、本コンソーシアムへの参画を通じ、新規事業の創出にも取り組む。

インテグリカルチャーは、羽生氏が2015年に設立した日本を代表する培養肉企業。

汎用大規模細胞培養システム 「CulNet System™」を用いた有用成分、化粧品、食品、細胞培養肉の研究開発を行っており、これまでに11億円を調達している。

出典:Shojinmeat Project

インテグリカルチャーが細胞農業の産業化を目指す一方、羽生氏は自宅で培養肉を作るShojinmeat Projectの代表も務める。

Shojinmeat Projectの培養肉プロジェクトは、「おうちで培養肉」「DIYバイオ」とも言われ、有志のメンバーが個人宅で培養肉プロジェクトを実施し、毎週ミーティングを実施している。

細胞農業の普及を促進する産業団体はCulNetコンソーシアムのほかに、海外ではThe Alliance for Meat, Poultry & Seafood Innovation (AMPSイノベーション)が登場している。

AMPSイノベーションは、培養肉、鶏肉、水産企業による連合で、新しい産業について消費者と利害関係者に教育し、製品の市場化への道筋を提唱することに焦点をあてるもの。

世界で最初に培養肉を販売したイート・ジャストUPSIDE Foods(旧メンフィスミーツ)、BlueNaluFinless FoodsNew Age MeatsOrbillion Bioなど8社の培養肉企業から構成される。

 

参考記事

12事業体が参画する細胞農業オープンイノベーションプラットフォーム 「CulNetコンソーシアム」をインテグリカルチャー中心に本格始動 ~培養肉やコスメ、サプリ等、将来的な細胞農業一般化に向け標準化を目指す~

細胞農業統一基盤(Uni-CulNet)

Japan’s CulNet Consortium, an ‘Open Innovation Platform’ for Cell-Based Meat, Officially Launches

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:インテグリカルチャー

 

関連記事

  1. 細胞培養ミルクを開発するカナダのOpalia、大手乳業サプライヤ…
  2. Ÿnsectのミールワームタンパク質、アメリカでペットフード製品…
  3. 細胞培養によるカキを開発するアメリカ企業Pearlita Foo…
  4. ソーラーフーズ、米レストランでCO2由来の微生物タンパク質「ソレ…
  5. マレーシアの培養肉企業Cell AgriTechが2024年末ま…
  6. 培養魚のブルーナル、粗利率75%を達成するための技術開発を発表
  7. フィンランドのEnifer、マイコプロテイン「PEKILO」で米…
  8. Hevo Groupが代替卵製品OUVEGGをスペインのスーパー…

おすすめ記事

多様な植物から葉タンパク質を抽出するThe Leaf Protein Co.、ルビスコで生物多様性を強化【創業者インタビュー】

The Leaf Protein Co.のタンパク質使用のグルテンフリーケーキ…

東京農大、エリンギで代替ホタテ貝柱を開発 製品化へ向けパートナー模索

出典:東京農業大学ユキグニファクトリー(旧称雪国まいたけ)が昨年3月にまいたけを使用した代替肉「…

【世界初】The EVERY Companyが動物由来の卵と同等なアニマルフリー卵タンパク質を発表

微生物発酵を活用して卵タンパク質を開発するクララフーズが社名変更を発表した。…

機械学習でフードロス削減に取り組むFloWasteが約1億2400万円を調達

フードロス削減に取り組むFloWasteがシードラウンドで110万ドル(約1億2…

インテグリカルチャー、アヒル由来の細胞培養食品の試作品を発表-官能評価会で市場性を検証

インテグリカルチャーは、アヒル肝臓由来細胞を培養した試作品の開発に成功したと発表…

NotCoが約95億円を調達、食品業界向けのAIプラットフォーム構築へ

チリのフードテック・ユニコーン企業NotCoは12日、シリーズDラウンドで700…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

細胞性食品(細胞培養食品)レポート・予約注文開始

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

最新記事

精密発酵・定期動向レポート発売のお知らせ

代替カカオレポート・好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

会員サービスFoovo Deepのご案内

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

PAGE TOP