代替プロテイン

ビーガンチーズを開発するMiyoko’s Creameryが約57億円を調達

 

植物ベースのビーガンチーズを開発するMiyoko’s CreameryがシリーズCラウンドで5200万ドル(約57億円)を調達した

同社は調達した資金で、小売販売と製品開発の拡大を促進する。年内には新商品となるソースタイプのピザ用モッツアレラを新たに発売する。

Miyoko’s Creameryは、カリフォルニア州ペタルーマに、自身がビーガンであるMiyoko Schinner氏によって2014年に設立された。Miyoko Schinner氏は今年のフォーブスの50 Over 50に選ばれている。

Miyoko’s Creameryはバター、モッツアレラ、スライスチーズ、チーズスプレッドなどさまざまなアニマルフリーな乳製品の開発を手掛ける。

出典:Miyoko’s Creamery

いずれもカシューなどの植物を原料として、独自の発酵プロセスにより作られた100%ビーガンな乳製品となる。進出国はアメリカ、カナダ、南アフリカ、香港、シンガポールに及び、アメリカではホールフーズ、ターゲット、トレーダージョーズ、ウォルマートなど3万店舗で販売されている。

2020年にはMiyoko’s Creameryの従業員は200名を超え、売上は2000万ドルとなり、小売売上は70%増加した。

同社は昨年、ペタルーマの本社・生産施設を29,000平方フィートから48,000平方フィートに拡大し、従業員を25%増やしており、サンフランシスコ・ベイエリア最大の食品メーカーの1つとなっている。

出典:Miyoko’s Creamery

今回のラウンドはPowerPlant Partnersが主導し、4000万ドルを出資した。このほか、Cult CapitalObvious VenturesStray DogCPT Capitalが参加した。

Miyoko’s Creameryは調達した資金で、食料品店、クラブ、外食産業などでの販売を強化する。さらに、年内に液体タイプのピザ用モッツアレラをリリースするとしている。これは、ソースのように注ぎ、焼き上げて伸びるチーズにできるもの。

また、Medium CheddarPepper Jack2製品のリニューアルバージョンを発売する予定。

GFIによると、植物性バターの2020年の小売売上は、前年比約1.36倍に成長した。植物性チーズの2020年の小売売上も、前年比約1.42倍成長している

2020年にアメリカの植物ベース市場で最も伸びたカテゴリーは卵(前年比約2.7倍)、次いで代替肉(前年比約1.45倍)だった。代替チーズは約1.42倍と3番目に伸びたカテゴリーとなっている。

チーズは牛肉、羊肉に次いで温室効果ガスの排出量が3番目に多い動物製品とされ、畜産による環境負荷を減らすため、脱・動物性チーズの動きが進んでいる。

Miyoko Schinner氏 出典:Miyoko’s Creamery

こうした流れを背景に、今年になってから代替チーズに対する資金提供が続いている。

大豆を使ったチーズを開発するNobell Foodsは7月に約82億円を調達した。同社はビル・ゲイツ氏のファンドから出資を受けている。

精密発酵技術でビーガンチーズを開発するChange Foodsは約2.3億円、プロラミン技術により植物性でありながら溶けて伸びるチーズを開発するMotif FoodWorksは約249億円を調達している。

アメリカのSuperBrewed Foodは草食動物の腸に存在する微生物を使ったビーガンチーズを年内に発売する予定で、スウェーデンのStockeld Dreameryは5月に植物性フェタチーズを発売した。

クランチベースによると、Miyoko’s Creameryのこれまでの調達総額は5880万ドル(約64億円)となる。

 

参考記事

Miyoko’s Creamery increases funding seven-fold with new Series C

Miyoko’s Creamery Closes $52M in Series C Funding, Accelerates Distribution and Innovation of Vegan Dairy

Plant-based Cheesemaker Miyoko’s Creamery Raises $52M Series C

 

おすすめ記事

アイキャッチ画像の出典:Miyoko’s Creamery

 

関連記事

  1. 米Helaina、約65億円の調達で精密発酵ヒトラクトフェリンの…
  2. 代替魚・代替シーフードベンチャー企業25社まとめ【2021年版カ…
  3. 3Dプリンター肉のSavorEatが代替卵に特化したスタートアッ…
  4. 精密発酵ホエイ・カゼイン開発の最前線|精密発酵による乳タンパク質…
  5. 米The Better Meat Co.がマイコプロテインに対し…
  6. 【現地レポ】ソーラーフーズ、ソレインを商用生産する工場を稼働/ソ…
  7. 「競争よりも共創」代替肉で環境問題に挑むネクストミーツが目指すも…
  8. イスラエルのEver After Foodsが「破壊的な」培養肉…

おすすめ記事

米Upside Foodsが新たに培養鶏ひき肉製品を発表

カリフォルニア州を拠点とするUpside Foodsは、新たな製品として培養鶏ひ…

Zero Cow Factoryが約5.2億円を調達|カゼインタンパク質で上市を目指すインドの精密発酵企業

インド初の精密発酵スタートアップ企業Zero Cow Factoryがシードラウ…

米パーフェクトデイ、精密発酵による甘味タンパク質開発で市場参入か – FDAにGRAS通知済み【Foovo独自】

精密発酵で乳タンパク質を開発した代表企業であるパーフェクトデイ(Perfect …

培養脂肪の英Hoxton Farmsと三井化学、バイオものづくりの商業化に向け戦略的提携

イギリスの培養脂肪スタートアップHoxton Farmsと三井化学は今月19日、…

MeaTech、3Dプリンターによる培養シーフードの開発でUmami Meatsと協業

バイオ3Dプリンターで培養肉を開発するイスラエルのMeaTechは、3Dプリンタ…

スウェーデン企業Mycorenaが世界初となる菌類由来の代替油脂を開発

スウェーデンのスタートアップ企業Mycorenaは菌類由来の代替油脂を発表した。…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(12/14 16:23時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(12/14 03:04時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(12/14 06:39時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(12/14 22:24時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(12/14 14:23時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(12/14 01:44時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP