アメリカの代替肉企業インポッシブルフーズが、新たにインポッシブル・ソーセージを小売で販売した。
新商品インポッシブル・ソーセージは、クローガー、Ralphs、King Soopers、Fred Meyer、Safeway、Albertsonsなどアメリカ全土の小売で取り扱われる。インポッシブルフーズの新商品が小売に導入されるのは、インポッシブル・バーガー以来。
インポッシブル・ソーセージは塩味(Savory)、スパイシー(Spicy)の2つの味があり、1個約400gあたり5.99ドル。既存の豚肉ソーセージと比較して、カロリーは30%、総脂肪は47%、飽和脂肪酸は43%カットされている。
2020年CESで初発表されたのち、去年にはスターバックスやバーガーキングのメニューに採用されていた。競合のビヨンドミートもソーセージ商品を販売しているが、インポッシブル・ソーセージはひき肉タイプで、あらかじめ形状が整われていない。
製品名にソーセージとあるが、味付けされた「ひき肉」に近い。
同社は、ひき肉タイプのソーセージがないことが「市場の空白」であると考えた。製品の形状を限定しないことで、煮物やサンドイッチなどさまざまな用途が広がると考え、ひき肉形状にしたとしている。
インポッシブ・ソーセージは、畜産と比べ生産に使用する土地が41%、水が79%少なく、排出される二酸化炭素量は71%少ない。
インポッシブルフーズの代替肉には、「ヘム」という遺伝子組み換え技術を活用した独自成分が含まれている。「ヘム」は植物肉を「血の滴る」植物肉に変えるコア成分であり、同社の代替肉を本物に近づけるうえで重要な役割を果たしている。
しかし、製造に遺伝子組み換え酵母を使用しているため、欧州や中国など規制の厳しい市場への参入障壁となっている。こうした現状から、当面はアメリカ市場での展開に注力し、年末までにアメリカ国内の販売箇所を13,000店舗に増やす考えだ。
インポッシブルフーズは7月に新商品チキンナゲットを発表した。チキンナゲットは秋にレストランで提供された後、スーパーなど小売での展開を開始する。チキンナゲットは白身肉のため「ヘム」は使用されていない。年内には同社の商品ラインナップは、バーガー、ソーセージ、チキンナゲットとなる。
インポッシブルフーズは2016年にレストランで販売後、全国規模のハンバーガーチェーンであるバーガーキングのパテとして採用された。現在は、アメリカの2万箇所を超えるスーパーで販売され、5カ国に進出している。
オーストラリア、ニュージーランドへの進出準備も進めており、今後数ヵ月以内に上場すると予想されている。
インポッシブルフーズの創業者・CEOのパトリック・ブラウン氏は、独自成分「ヘム」を他社へライセンス供与する可能性もあることに以前、オンラインイベントで触れている。
現在、ヘムを他社へ販売しないのは余裕がないからであり、
「全体的に植物肉の入手のしやすさ、競争性を加速させるためにできることがあれば何でも喜んでやるし、今後数年以内にこの方向へ舵を切ったとしても全く驚きではない」
とコメントしている。
一方、培養肉についてブラウン氏は、否定的な見方を貫いている。
参考記事
Impossible Foods Launches its Plant-Based Impossible Sausage at Retail
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アイキャッチ画像の出典:インポッシブルフーズ