代替プロテイン

【世界初】Shiok Meatsが試食会で培養カニ肉料理を発表

 

培養シーフードを開発するシンガポール企業Shiok Meatsが、培養カニ肉の試食会を実施した。培養カニ肉の発表はこれが世界初となる。

この試食会は今月26日にシンガポール、ブキティマにあるレストランで実施された。試食会では、培養カニを使ったクラブケーキ、チリクラブの料理が披露された。

Shiok Meatsは昨年11月に世界で初めて培養ロブスターのプロトタイプを発表した。同社は今回のイベントを重要なマイルストーンだとみている。

2023年までに細胞ベースの甲殻類肉を消費者に届けることを目指しており、現在、シンガポールに培養シーフードの生産工場を建設している。

試食会の様子 出典:Shiok Meats

植物原料を使った代替肉や細胞培養による培養肉が求められるのは、畜産は大量の水と土地を必要とし、多くの温室効果ガスを排出するためとされる。動物性製品のなかで温室効果ガスの排出量が多いのは、牛肉、羊肉、チーズであり、カニは多くない。

しかし、甲殻類の漁業では、捕獲する量に対し、かなりの量の燃料を消費することが指摘されている。Natureに掲載された論文によると、ロブスター、カニ、エビなどの甲殻類で発生する温室効果ガスの排出量は、排出量全体の22%を占めている

シーフード需要の高まりとともに、甲殻類の漁獲による海洋環境への影響は、無視できないものになっている。

出典:Shiok Meats

Shiok Meatsは、エビ、カニ、ロブスターから幹細胞を独自技術で単離し、栄養を十分に含んだ条件下で成長させる。4~6週間で本物のシーフードと同じ状態にまで成長する。

同社は従来の4倍の速さで甲殻類を成長させる技術を有しており、特許を出願している。

以前の報道では、2020年中に1kgあたり50ドルまでコストダウンしたいと語っていたが、その後の報道では目標達成時期を2022年にずらしている。今回の報道では、将来的に1kgあたりさらに5ドルまでコストダウンを目指していることが報じられた。

今月、同社はシンガポールの培養肉企業Gaia Foodsを買収した。買収時にアジアの複数国をターゲットとしてあげていたが、工場の建設地がシンガポールとなることからも、同国で販売許可を取得し、ほかの市場へも進出していくと考えられる。

共同創業者Sandhya Sriram氏 (左)とKa Yi Ling氏(右)出典:Shiok Meats

Shiok Meatsが培養シーフードを市販化するには、シンガポールの規制当局Singapore Food Agency(SFA)から培養水産物の販売承認を得る必要がある。

シンガポールでは昨年12月に米イート・ジャストが培養鶏肉の販売許可を世界で初めて取得した。これまで培養肉が販売されたのはシンガポールのみとなる。

培養シーフードについてはまだ市販化された事例はないが、アメリカ企業Blue NaluWildTypeは実証プラントの建設を進めており、WildTypeは年内にアメリカのレストランで培養魚を販売することを目指している

Shiok Meatsは2018年にSandhya Sriram氏Ka Yi Ling氏が設立したシンガポール企業。これまでの調達総額は約3000万ドル(約33億円)となる。

41のベンチャーキャピタル、企業、エンジェル投資家から出資を受けており、日本の東洋製罐グループ、日本のベンチャーキャプタルリアルテックホールディングスも出資している。培養エビの開発では、日本の代表的な培養肉企業インテグリカルチャーと協業している。

 

参考記事

World First: Cell-Based Crab Meat Unveiled At Shiok Meats Tasting

 

おすすめ記事

アイキャッチ画像の出典:Shiok Meats

 

関連記事

  1. 昆虫で食品廃棄物をアップサイクルするLIVIN Farmsが約8…
  2. 動物を使わないチーズを作るChange Foodsが約9100万…
  3. アレフ・ファームズがアジアへの培養肉導入加速に向けてタイ・ユニオ…
  4. Alpro(アルプロ)の植物性ヨーグルト2種を食べてみた@フィン…
  5. ビヨンドミートとペプシコの合弁会社Planet Partners…
  6. Moolec Science、豚タンパク質を作る大豆「Piggy…
  7. GRAS自己認証に終止符か|米国FDA、通知義務化の規制案をアジ…
  8. 精密発酵で脂肪を開発するNourish Ingredientsが…

おすすめ記事

3Dプリンターを活用した培養肉の自動生産を目指して大阪大学・島津製作所が協業

大阪大学、島津製作所、シグマクシスは「3Dバイオプリント技術の社会実装」に向けた…

米Uprootによる大学向けの植物ミルクディスペンサー|植物ミルクを当たり前の選択肢に

アメリカで植物ミルクの選択肢が一般的になる一方で、大学キャンパスでの植物ミルクの…

細胞培養によるカキを開発するアメリカ企業Pearlita Foodsとは

細胞を培養して動物肉、魚肉を開発する企業が近年、増加している。培養肉の開発が進む…

インテグリカルチャーが培養フォアグラの開発に成功、官能評価会を実施

2025年11月20日:記事修正培養肉を開発する日本のインテグリカルチャーは今月、アヒル肝臓…

オーストラリアの代替肉企業v2foodが微細藻類由来のヘム様成分を発表

オーストラリアの植物肉企業v2foodは今月、シドニーで開催されたイベントSXS…

デンマークのPlanetDairy、橋渡し技術としてのハイブリッドチーズ・ミルクを欧州で展開|ハイブリッド乳製品の試金石となるか

出典:PlanetDairy欧州では植物成分をブレンドしたハイブリッドチーズが食料品店で存在感を…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(02/02 22:44時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(02/03 02:11時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP