代替プロテイン

代替肉の米インポッシブルフーズが約560億円を調達、調達総額は2000億円を超過

 

代替肉企業インポッシブルフーズが最新のラウンドで5億ドル(約560億円)を調達したMirae Assetがラウンドを主導した。

同社は2020年3月に5億ドル同年8月に2億ドルと、昨年に7億ドルを調達。今回の資金調達により調達総額は20億ドル(約2200億円)となり、評価額は競合のビヨンドミートを上回る70億ドルになるとアナリストは予想する。

インポッシブルフーズ、5億ドルを調達

出典:インポッシブルフーズ

インポッシブルフーズは2011年に設立された代表的なアメリカの植物肉企業。

同社の大豆を主成分とする代替肉は、「ヘム」という遺伝子組み換え技術を活用した独自成分を使用。「ヘム」は植物肉を「血の滴る」植物肉に変えるコア成分であり、同社の代替肉を本物に近づけるうえで重要な役割を果たしている。

遺伝子組み換え酵母を使用しているため、欧州や中国など規制の厳しい市場へは競合のビヨンドミートが先行しているが、この1年2か月でインポッシブルフーズは新たにオーストラリア、ニュージーランド、アラブ首長国連邦(UAE)、カナダと参入市場を拡大、計7か国に進出した。

取り扱い店舗は2年で急増

出典:インポッシブルフーズ

これまでにバーガー、チキンナゲット、ソーセージを発売、今年9月には代替豚肉インポッシブル・ポークを香港、シンガポールで発売した。今回の資金調達に先立ち、同社はインポッシブル・ミートボールもウォルマートの取り扱い商品に追加、今後ほかの小売にも拡大していくとしている。

現在、同社の製品は22,000箇所の小売店と約4万店舗のレストランで提供されている。2020年3月の時点で取り扱い小売店が150箇所だったことを考えると、パンデミックの最中、2年足らずで市場シェアを急速に拡大している。

出典:インポッシブルフーズ

同社CFOのDavid Borecky氏は「今回の資金調達により、製品のイノベーションと国際的な拡大の取り組みをさらに加速できる」とコメントしている。

上場は「避けられない」

出典:インポッシブルフーズ

2021年のアメリカの植物肉市場は2020年に約10億ドル規模だったが、2027年までに約26億ドルに成長すると見込まれる

インポッシブルフーズの創業者兼CEOのパット・ブラウン氏はIPOは「避けられない」とForbesのインタビューに回答、「ある時点で上場する」「タイミングはわからないが、(IPOは)差し迫っている」とコメントしている。

 

参考記事

Impossible Foods Closes $500M in New Funding Amid Record Growth

Impossible Foods Raises $500M, Bringing the Vegan Meat Brand’s Total to a Record $2B

 

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アイキャッチ画像の出典:インポッシブルフーズ

 

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