3Dプリンター

培養肉企業MeaTechが約100グラムの3Dプリントされた培養ステーキ肉の生産に成功

 

イスラエルの培養肉企業MeaTechは今月、バイオ3Dプリンターを用いて104グラムの培養ステーキの生産に成功したことを発表した

このステーキ肉は筋肉と脂肪から構成され、バイオ3Dプリンティングされたもので過去最大サイズとなる。

100g以上の培養ステーキ肉の生産に成功

出典:MeaTech

生産プロセスではまず、牛から採取した組織から独自技術で牛幹細胞を単離、バイオリアクターで栄養を与えて細胞を増殖させる。十分な細胞量に達したら、これをバイオインクとし、同社独自のバイオ3Dプリンターでバイオインクを積層し、ステーキ肉の立体構造を形成する。

次いで、プリントされたバイオインクをインキュベーターに設置して成熟させる。幹細胞は脂肪と筋肉の細胞に成長し、それぞれが脂肪組織と筋肉組織に成長し、ステーキ肉を形成する。

イメージ 出典:MeaTech

同社CEO・CTOのSharon Fima氏は、「今日のブレークスルーは、細胞生物学とハイスループット組織工学プロセス、および高精度なバイオプリンティング技術に当社が注いだ1年以上の努力の集大成です」とコメントし、生きた組織から構成される3.67オンス(104グラム)ステーキをバイオプリントしたことで、同社のコア技術と、プレミアムな培養肉製品を開発する最前線にMeaTechがいることを証明できたと語った。

Sharon Fima氏 出典:MeaTech

畜産による環境負荷の軽減、高まる食料需要へ対応するために、培養肉の開発が加速している。動物の体外で製造される培養肉は、畜産肉よりも温室効果ガスの排出量が少なく、生産に必要な土地・水も少ない。

農場由来のステーキが消費者に届くまでに18カ月かかるのに対し、培養ステーキは、そのごく一部の時間で生産されること、都市部でも生産施設内で生産できることなどのメリットもある。

MeaTechは細胞培養により、従来のステーキ肉の「真の代替品」の開発を目指すイスラエル企業。同社の培養ステーキは本物の生きた筋肉・脂肪細胞から構成され、植物肉に使用される大豆やえんどう豆を一切含まない。

同社はバイオプリンティングと培養技術を引き続き改善し、農場で育てられたプレミアムステーキの主要な特性をよりよく反映した培養肉を開発していく考えだ。

他社の培養肉参入をサポートする培養肉企業MeaTech

ここから先は有料会員限定となります。

読まれたい方はこちらのページから会員登録をお願いします。

すでに登録されている方はこちらのページからログインしてください。

関連記事

アイキャッチ画像の出典:MeaTech

 

関連記事

  1. Mycorenaのパイロット工場、拡張により欧州最大のマイコプロ…
  2. Remilkの精密発酵乳タンパク質がシンガポール当局の認可を取得…
  3. ひよこ豆タンパク質粉末を開発するChickPが約9億円を調達
  4. 牛を手放し「型破り」な転身を実現したイギリス農家と、それを支援す…
  5. 韓国政府、2022年の国家計画に培養肉のガイドラインを追加
  6. 米ビール大手のモルソン・クアーズが植物性ミルク市場へ進出
  7. 細胞培養により持続可能で高品質なカカオを生産するCelleste…
  8. アレフ・ファームズがアジアへの培養肉導入加速に向けてタイ・ユニオ…

おすすめ記事

イート・ジャストがカタールへの培養肉工場の建設でQatar Free Zones Authorityと提携

シンガポールに続き、次に培養肉の販売を承認する国がカタールとなる可能性がでてきた…

米パーフェクトデイがシンガポールに研究開発拠点を設置、2021年4月に稼働を開始

このニュースのポイント●米パーフェクトデイがシン…

誰もが食べられるグルテンを開発するUkko、食品アレルギーにパラダイムシフトを起こす

Beyond Celiacによると、1800万人のアメリカ人がグルテンアレルギー…

ソーラーフーズがフィンランド薬局年金基金から約13億円を調達

フィンランド企業ソーラーフーズ(Solar Foods)は今月17日、フィンラン…

ビヨンドミートが代替鶏肉ビヨンドチキンテンダーを北米で発売

ビヨンドミートが北米で代替鶏肉商品を発売した。そら豆・えんどう豆を原料に…

代替肉のビヨンド・ミートがマクドナルド、ヤム・ブランズとの提携を発表

カリフォルニアを拠点とする代表的な代替肉企業ビヨンド・ミートは、マクドナルドとヤ…

次回Foovoセミナーのご案内

精密発酵レポート好評販売中

培養魚企業レポート好評販売中

Foovo Deepのご案内

▼聞き流しフードテックニュース▼

▼運営者・佐藤あゆみ▼

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(03/30 17:28時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(03/30 21:10時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(03/30 14:42時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(03/31 07:39時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(03/30 17:17時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP