ロボット

800DegreesとPiestroが提携し完全自動のピザ自販機製作を開始

 

自動ピザ製造販売機を製作しているPiestroは昨年8月、大手ピザレストランの800Degreesと連携し、完全自動のピザ自販機を製作することを発表した今後5年間で3600台の製造を計画している。

Piestroの自販機は、ピザ生地にソースやチーズ、様々なトッピングを要望に合わせて乗せていき、3分以内にピザを製造する。今回の提携はPiestroにとって米レストランとの初の提携となった。

従来までのピザ自販機との違いは“自動化された工程範囲”

出典:Piestro

今回Piestroと提携した800 Degrees Pizzaは、アメリカ、シンガポール、日本と世界的に展開するピザレストラン。

昨今、自動販売機メーカーと提携する大手ブランドが増加しており、Yo-Kai Expressは、すでに有名レストランへラーメンの自動販売機を提供している。またChowbotics (DoorDashの一部)はケロッグスと提携し、シリアル&ヨーグルトボウルの自動販売機を、2か所の大学で提供している。

Basil StreetPizzaFornoなどのピザ自販機も登場しているが、これらの企業が出来合いのピザを機械の中で再加熱して提供する一方、Piestroは自販売の中でピザをトッピングから作っている点が異なる。

人通りの多い場所を中心に展開、フランチャイズ化も検討

出典:Piestro

今回の800Degreesブランドで作られた自動販売機には“800 Degrees by Piestro”というラベルがかかれ、大学やホテル、空港など、人通りの多い場所へ設置される。

Piestroのような自販機は、小さな場所でも電源があれば設置でき、テナントを借りて完全な店舗を作らなくても商品や料理を提供することができるため、事業拡大を目指す大手レストランなどにとって、魅力的な販路拡大手法となり得る。

例えば、ホテルのロビーに800Degreesの自販機を設置することで、24時間新鮮なピザを提供することができるようになる。800Degreesの創設者兼シェフのCarron氏によると、今後はこのようなメリットを生かして、完全自販機のフランチャイズ展開ができるような計画をしているという。

労働問題や一貫性の課題へもアプローチ可能

出典:Piestro

800DegreesのCarron氏は今回の取組について、レストランの“自動化”を行うことで、「労働者問題」と「一貫性の課題」という2つの大きな課題にもアプローチができると話している。

自販機は休憩を取ることなく1日中稼働ができ、労働問題の解決に有効だ。また毎回同じクオリティのピザを正確に製造することができるため、商品の一貫性という課題にもアプローチ可能となる。

「PMQピザ」によると、2020年の米国におけるピザの売上高は460億ドルを超えたとしており、Piestroや他の自動ピザ販売機メーカーにとって大きなチャンスがあること示している。

ピザ消費が増加していることに加え、上記で挙げた労働問題、またコロナウイルス感染に敏感になっている状況など、依然として非接触の自販機に人々の興味関心が集まっている。

Piestroのような自動化を外食産業に導入する動きは海外で特に顕著といえる。Basil Streetのピザ自販機は昨年10月、アメリカの国際空港に導入された。

フランスのBolkは、ユーザーの好みに応じてパーソナライズ化された食事を提供する自販機を開発している。イスラエルにはロボットで完全に自動化されたピザハット店舗が登場しており、食品全体でレストランの自動化が進んでいる。

 

参考記事

Piestro Announces Partnership with 800 Degrees Pizza to Deliver a Fully Automated Experience to Customers

800 Degrees and Piestro Partner to Create 3,600 Automated Pizza Kiosks

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Piestro/800 Degrees Pizza

 

関連記事

  1. フランス・パリにPazziによるピザロボットレストランがオープン…
  2. 米サラダチェーンSweetgreenが自動レストランをオープン
  3. トッピングから焼き上げまで3分で完成するピザ自販機Piestro…
  4. 多才な料理ロボットのカナダYPCテクノロジーズが約1億4千万円を…
  5. Moleyが自動調理ロボット「モーレイ・ロボット・キッチン」の販…
  6. 農林水産省が培養肉、CO2タンパク質生産、泡盛粕のアップサイクル…
  7. 3分でサクサクのピザを焼くBasil Streetのピザ自販機
  8. Numilkが家庭用植物ミルクメーカーを発表、クラファンの累計支…

おすすめ記事

ShiruがAIプラットフォームで開発した最初の製品「OleoPro」を商用化

アメリカのバイオテック企業Shiruは今月、AIを活用した最初の食品原料の商用化…

植物の葉緑体を活用して成長因子を開発するBright Biotechが約4億円を調達

分子農業で培養肉用の成長因子を開発する英Bright Biotechはシードラウ…

おがくずと微生物で脂肪を開発するエストニア企業ÄIOが約1.4億円を調達

エストニアの代替油脂スタートアップ企業ÄIOは今月、100万ユーロ(約1億400…

アレフ・ファームズがスイス当局に培養肉の申請を提出、欧州で初

イスラエルの培養肉企業アレフ・ファームズ(Aleph Farms)は欧州連合(E…

ダノンとBrightseedが提携を拡大、AIを活用して植物の隠された可能性を追求

世界大手の食品・飲料企業ダノンはバイオテック企業Brightseedとの提携を拡…

スピルリナ由来の代替肉、スナックバーを開発するインド企業Naka Foods

インドのフードテック企業Naka Foodsは、スピルリナ由来の栄養スナックバー…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(03/29 14:54時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(03/29 00:40時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(03/29 04:35時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(03/28 20:51時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(03/29 13:01時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(03/28 23:53時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP