3Dプリンター

Novameatが約7億円を調達、独自3Dプリント技術による代替ステーキ肉製造の更なるスケール化へ

 

独自の3Dプリント技術を使い植物性の代替ステーキ肉を製造するバルセロナのスタートアップNovameatは、600万ドル(約7億円)をプレシリーズAで調達した昨年1月に行われた約3100万円の出資に続く資金調達となる。

1月には「青いステーキ肉」を独自のプリント技術で製造し注目を集めているNovameatだが、独自の路線で代替肉の市場をリードしている。

“最も本物に近い代替肉”を製造

出典:Novameat

Novameatは2020年に同社が「最もリアルな植物性ステーキ肉」と呼ぶステーキ肉を発表した。同社は、えんどう豆のたんぱく質やビートの根の樹液など、様々な植物性の原料を混合させ3Dプリント肉を製造している。

今回の出資は、Praesidium(投資管理会社)が主導し、 Unovis Asset Managementら複数機関から出資があった。今回の出資を受け、今後はさらに商用機器の製造などをスケール化していく。

Novameatの独自3Dプリント技術

出典:Novameat

今回資金調達をしたNovameatは、独自技術である「微細押出成形技術を用いた産業用3Dプリンター」を開発しており、特許も取得済みである。

NovameatのCEOであるGiuseppe Scionti氏によると、「Novameatの技術では、一般に広く使われている代替肉の15倍の製造スピードで製造が可能である」と述べている

今後はさらに商業用レベルまでスケール化し、毎時500kgの代替肉が製造できるスピードを目指している。

Novameatの今後

CEOのGiuseppe Scionti氏 出典:Novameat

「すばらしい結果が得られた。私たちは自分たちの商品に自信をもっている」とScionti氏は話す。

現在までNovameatは代替の鶏肉、豚肉、牛肉のステーキ肉に焦点を当ててきた。今後は要望に合わせて他の代替肉も開発をしていく予定だという。

Novameatの商品は2022年中にスペイン国内のレストラン(ステーキ店からヴィーガン、ベジタリアン、伝統料理のレストランまで)で試験提供される予定であり、来年中に食品の既存小売企業とパートナーシップを結び、小売業界への進出も狙っている。

2021年のPichBookによるフードテックレポートによると、ベンチャーキャピタルによるフードテック業界への出資は総計393億ドル(=約4.5兆円)に上る。

特に代替肉市場が勢いをつけており、2022年はさらにリアルな代替肉が生み出されると予想されている。

3Dプリント代替肉の進化

出典:Novameat

Novameatは独自の微細押出成形技術を用いて代替肉を製造しているが、他の多くの企業も3Dプリンターでの代替肉製造技術の向上に努めている。

オランダのIKEAは3Dプリントされた代替ミートボールの製造を開始し、イスラエルのSavorEatにいたっては、来店客自身が好みにアレンジした代替肉のハンバーガーを提供している。SavorEatのバーガーでは、客がアプリ上で選択した好みのハンバーガーを、目の前の3Dプリンターで製造されるところを見ることができるという。

日本でもIKEAの代替ミートボールが食べられるようになるなど代替肉の浸透が進んでいる。今後も代替肉市場が進化していくと、日本のスーパーでも3Dプリントでの代替肉が鶏肉や豚肉に次ぐ肉の種類として登場する未来も近いかもしれない。

 

参考記事

Novameat Closes $6 Million Pre-Series A Fund To Scale Its Plant-Based Whole Cuts Production

 

 関連記事

アイキャッチ画像の出典:Novameat

 

関連記事

  1. 培養魚のBlueNalu(ブルーナル)がヨーロッパ進出へ向け冷凍…
  2. チーズ大手のBelグループ、米Superbrewed Foodと…
  3. モサミートが培養肉の工業生産に向けて生産施設を拡大
  4. Kikka Sushiが米ホールフーズで植物性のビーガン寿司を発…
  5. 米The Every Company、精密発酵で作られた史上初の…
  6. 中国の培養肉企業CellXが培養肉のパイロット工場建設を発表
  7. 代替卵「JUST Egg」の欧州導入に向け、イート・ジャストとV…
  8. 培養肉セミナー開催レポート【岡田健成氏講演】-2022年8月-

おすすめ記事

微生物を活用してアニマルフリーなチーズを開発するFormo、年内に試食会を実施

ベルリンを拠点とするスタートアップFormoは微生物を使ってアニマルフリーなチー…

ShiruがAIプラットフォームで開発した最初の製品「OleoPro」を商用化

アメリカのバイオテック企業Shiruは今月、AIを活用した最初の食品原料の商用化…

農業に塩水を活用するRed Sea Farmsが約17億円を調達、北米展開も視野に

作物の栽培に塩水を活用するRed Sea FarmsがシリーズAで600万ドル(…

Moleyが自動調理ロボット「モーレイ・ロボット・キッチン」の販売を開始

調理ロボットを製造するイギリスのモーレイロボティックス(Moley Roboti…

Steakholder FoodsとUmami Meatsが培養シーフード製品開発のための助成金を獲得

イスラエルの培養肉企業Steakholder Foods(旧称MeaTech)と…

細胞農業によるキャビア製造でGeneus Biotechがヴァーヘニンゲン大学と研究提携

細胞農業企業の多くが牛肉や鶏肉、チーズなどの製造に力を注ぐ中、高級食材であるキャ…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

最新記事

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(10/07 16:04時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(10/08 02:29時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(10/08 06:06時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(10/07 22:04時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,980円(10/08 14:03時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(10/08 01:21時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP