代替プロテイン

菌糸体由来肉の米Meati Foodsが約199億円を調達、今年後半に大型工場から出荷を開始

 

菌糸体由来の代替肉を開発する米Meati Foodsは今月、シリーズCラウンドで1億5000万ドル(約199億円)を調達した。

Meati Foodsは、菌糸体由来の代替ブロック肉製品を3種類、アメリカ国内で上市しており、調達した資金で代替ブロック肉の生産を拡大する。昨年に続く大型調達で、大量生産・全国展開が現実味を帯びてきた。

Meati Foods、今年後半に大型工場から出荷を開始

出典:Meati Foods

Meati Foodsは現在、コロラド州ソーントンに10万平方フィート(約9290㎡)を超える生産工場を建設している。

この工場は今年後半には製品の出荷を開始し、最終的に年間数千万ポンドの製品を生産する予定となる。Meati Foodsはこの工場を「メガランチ」と称しているが、今後は年間数億ポンドの生産能力を誇る「ギガランチ」の工場建設も計画している。

キノコの根に相当する菌糸体の95%を使って作られたMeati Foodsの製品は、従来の代替肉より優れた味・食感を提供すると同時に、肉に匹敵する完全なタンパク質を有するという。食物繊維は多く、コレステロールは含まれていない。

今年後半に小売に展開

出典:Meati Foods

2025 年までに「アメリカ市場における植物肉リーダー」になることを目指している同社は、今年春にオンライン・店舗での販売を開始した。

2月に「Meati Classic Cutlet」、「Meati Crispy Cutlet」を 、3月には代替ステーキ肉「Meati Steak Filet」を発売した。

D2Cやレストランなど外食サービスを通じた市場への投入は、初期の段階では理にかなっているが、商品化の主要ルートは食料品店を通じた販売になるとMeati Foodsは考えている。以前の報道では、今年後半に小売での販売を開始することを予定している。

1日で4500頭の牛に相当する代替肉を生産

出典:Meati Foods

Meati Foodsは現在、自社オンラインストアでのD2Cや、コロラド州とアリゾナ州の一部レストランで限られた量しか販売できない段階にある。しかし、前述のメガランチが完成すれば、年間数千万ポンドの生産が可能となり、供給量を増やし、予定している小売での展開を加速するだろう。

大量生産が実現すると、わずか1日で4500頭の牛に相当する量の代替肉を生産できるようになる。一方で、使用される水と土地は従来の畜産の1%未満になるため、持続可能性の面からもさらなる展開が期待される。

今回の資金調達は、昨年7月の5000万ドル(当時:約55億円)の調達に続くものとなった。

ラウンドはRevolution Growthが主導し、Grosvenor Food & AgTechカナダ年金制度投資委員会(CPP Investments)、Wellington ManagementCultivate NextChipotle Mexican Grillの新ファンドが参加した。

 

訂正とお詫び:

当初、本記事ではMeati Foodsの代替ステーキ肉がアメリカ初と記載しておりましたが、The Better Meat Co.が2021年8月に代替ステーキ肉の期間限定提供を実施していました。確認不足で失礼しました。

 

参考記事

Meati Foods Secures $150M in Series C Funding to Expand Operations and Accelerate Production of Whole-Food, Mushroom-Root Meats

Meati launches its first alternative protein steak

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Meati Foods

 

関連記事

  1. ネスレがマレーシアに植物肉工場を建設&乳製品フリー「ミロ」を発売…
  2. スイスのPlanetary、菌糸体スタートアップLibre Fo…
  3. カナダのThe Better ButchersとGenuine …
  4. 英Hoxton Farmsがロンドンに培養脂肪のパイロット工場を…
  5. 天然には存在しない「新しい酵素」を開発するEnzymitが約6.…
  6. New Cultureが世界で初めて精密発酵カゼインでGRAS自…
  7. Redefine Meatが3Dプリントされた植物ステーキ肉を欧…
  8. オーストラリアのAll G Foods、植物肉ブランドを切り離し…

おすすめ記事

Haofoodはピーナツを使用した代替チキンで約4.5億円を調達

上海のHaofoodはピーナツタンパクを用いたビーガンチキンで、350万ドル(約…

2024年1月_Foovoセミナー動画・資料(精密発酵・植物分子農業・代替脂肪)

セミナー当日の様子2024年1月に開催したセミナー動画となります(告知ページ…

分子農業パイオニアの英Moolec Science、SPAC経由の上場を計画

植物を活用して動物由来と同等のタンパク質を開発するイギリスの分子農業スタートアッ…

培養脂肪を開発するMission Barnsが約26億円を調達、パイロット工場の建設へ

シリコンバレーを拠点とする細胞農業スタートアップのMission Barnsがシ…

ノルウェー研究評議会が5年間の細胞農業プロジェクトに出資、培養肉・精密発酵による食品開発強化へ

ノルウェーの国家研究戦略を決める政府系機関ノルウェー研究評議会(The Rese…

幅広い植物肉製品を開発するHungry Planetが約27億円を調達

植物性の代替肉を開発するHungry PlanetがシリーズAラウンドで2500…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(07/26 15:29時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(07/26 01:28時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(07/26 05:26時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(07/25 21:32時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(07/26 13:31時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(07/26 00:38時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP