代替プロテイン

米The EVERY Company、代替肉への精密発酵タンパク質使用で南米の加工食品大手Grupo Nutresaと提携

 

精密発酵で卵白タンパク質を開発するThe EVERY Companyは今月、南米の大手加工食品会社Grupo Nutresaと提携したことを発表した

二社は提携の一環で、EVERYの精密発酵による卵白タンパク質EggWhiteをNutresaの代替肉製品に使用する試験や共同開発を行う。EVERYのタンパク質を活用することで、卵を使用せずに味、食感、口当たりを向上させる製品開発の加速を目的としている。

Grupo Nutresaはコロンビア最大のCPG会社であり、南米の大手加工食品会社の1つ。コロンビアを中心に中南米でコールドカット(スライスした冷製肉など)、ビスケット、チョコレート、コーヒー、アイスクリーム、パスタなどさまざまな食品を展開している。

二社は初期段階では、Nutresaが展開するZenúPietranブランドにおけるベジタリアン製品で、結着剤として使用される卵白をEggWhiteに置き換えるとしている。

出典:The Every Company

EVERYの卵白タンパク質は、アニマルフリーでありながら動物由来と同等のタンパク質であり、食品メーカーは同社のEggWhiteを使用することで、従来の動物性タンパク質に伴う疾患リスク、商品価格の変動、環境への影響を回避できるほか、製品のアニマルフリー化を促進できる。

酵母など微生物を「ミニ工場」として、動物に頼らずタンパク質など特定成分を生産する手法を精密発酵という。EVERYは遺伝子組換え微生物を「作り手」「ミニ工場」とする精密発酵により、鶏に頼らずに卵白タンパク質を開発し、世界で最初に卵白タンパク質を上市した企業となる。

これまでにドリンクやアルコールに添加しても色や味に影響を与えないEVERY Proteinやマカロンの製造に使用できるEggWhiteを開発してきた。

EVERYは公式サイトで自社タンパク質の主要なB2B用途としてベーカリー代替肉の2カテゴリを挙げている。代替肉の場合では、EggWhiteを使用することで、特に「肉らしい食感」をもたらせると述べている

EggWhiteを結着剤として使用することで、Nutresaは「動物性食品や過度に加工された結着剤」を使用せずに、自社の代替肉製品をより本物に近づけられる可能性がある。

出典:The Every Company/Pulp Culture

EVERYの製品はこれまでに、EVERY Proteinを使用したスムージーアルコール飲料や、EggWhiteを使用したマカロンなどの形態で市場に投入されてきた。今年5月には代替肉の共同開発でプラントベースブランドAlpha Foodsとの提携を発表した。Alpha Foodsとの提携でも、代替肉に結着剤としてEggWhiteを使用するとしている。

EggWhiteを使用した製品をAlpha Foodsが販売しているかは確認できていないが、今後もベーカリー、代替肉を中心にEVERYは自社タンパク質を導入していくと予想される。

精密発酵で卵タンパク質を開発する企業には、EVERYのほかにフィンランドのOnego BioEggmented RealityOTROなどが確認されている。

 

参考記事

The EVERY Company and Grupo Nutresa Enter Collaboration Agreement

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:The Every Company

 

関連記事

  1. 英Hoxton Farmsがロンドンに培養脂肪のパイロット工場を…
  2. 代替油脂のパイオニアCUBIQ Foodsが約7.8億円を調達、…
  3. 米パーフェクトデイ、インドで精密発酵タンパク質の認可を取得、イン…
  4. 培養肉未来創造コンソーシアム、大阪万博で培養肉の実物を展示|家庭…
  5. ピーナッツから代替肉を作る中国企業HaoFood、2021年に中…
  6. タイソンフーズが出資するFuture Meatが培養鶏肉のコスト…
  7. 代替脂肪(油脂)セミナー開催のお知らせ
  8. Alt Farmは3Dプリンターで作った植物代替和牛で2023年…

おすすめ記事

細胞農業(細胞培養・精密発酵)で代替母乳を開発するスタートアップ企業9社

健康上の理由、仕事による必要性、母乳が出ないなどの理由により授乳できない母親とそ…

【4/10】代替カカオ・ココアバター最新動向セミナー開催のお知らせ

本セミナーは終了しました。アーカイブ動画はこちらからご覧いただけます。…

The Every Company、アニマルフリーな卵白タンパク質を使ったスムージーを発売

The Every Companyのアニマルフリーな卵白タンパク質粉末を使ったス…

細胞シート工学で培養肉を開発するEvolved Meatsが約2.7億円を調達

細胞シート工学を活用した培養肉開発を進めるカナダ企業Evolved Meats(…

CulNet Systemからイネ、微細藻類を活用した低コストで持続可能な培養液開発の今|第5回細胞農業会議レポート

培養肉の生産コストの大部分を占めるといわれるのが、細胞を育てるために必要な培養液…

バイオミメティクスに着想を得た代替肉企業Plantedが約19億円を調達

スイスの代替肉企業Plantedが今月、シリーズAラウンドで1700万フラン(1…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(06/19 15:20時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(06/19 01:15時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(06/19 05:15時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(06/18 21:22時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(06/19 13:25時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(06/19 00:28時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP