アイスクリームを手軽に購入できる自動販売機といえば、セブンティーンアイスがおなじみだ。駅構内、ショッピングモール、スポーツ施設、観光地などあらゆる場所に設置されている。
では、ソフトクリームの自販機で思いつくものはあるだろうか?メニューからトッピング、決済まで無人で完結し、1分以内にできたてのソフトクリームを提供してくれる自販機。残念なことに、国内では見かけたことがない。
そんなソフトクリーム自販機iCreamがアメリカでは2021年に登場し、これまでに10箇所以上に導入されているという。
トッピングも選べるソフトクリーム自販機
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出典:iCream
iCreamは私が欲しいと思っていたものをほぼ備えていた。
操作は簡単だ。タッチスクリーンからアイスクリームを選び、トッピング、ソースを選ぶ。ソースは無料だが、トッピングは1つあたり0.25ドルの追加費用が必要になる。トッピング付きの金額は4ドル。
注文後に決済画面へ進み、決済が完了するとソフトクリームの準備を進める。ソフトクリームがカップに分注され、ソースがかけられ、最後がトッピング。1分以内に通常お店で提供されるようなソフトクリームができあがる。
公式サイトによると、コーンでの提供はしておらず、カップ提供のみのようだ。
全米で10箇所以上に展開、昨年にはドバイへも
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出典:iCream
Golden Goose Enterprisesが所有するiCreamは、2021年7月、ロサンゼルスのシティモールに初めて設置された。
成長の予測とデータ・統計収集のために南カリフォルニア全土で導入したところ、運営開始から2ヶ月足らずで損益分岐点に達し、利益を出し始めたという。
現在、アメリカで唯一認定されたソフトクリーム自販機事業者として、フランチャイズではなくライセンス事業を進めている。
同社はこれまでにアイスクリーム製造マシンメーカーPASMO Americaや、フローズンヨーグルトブランドのPinkberryと提携している。現在は自社のバニラフレーバーに加えて、Pinkberryのフローズンヨーグルトも提供している。
昨年には5台がドバイに導入された。
今後はビーガン・非動物性に対応したソフトクリーム自販機「iAcai」の導入を目指している。
パーソナライズ化×自動化×アニマルフリー化
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出典:iCream
iCreamのライセンスプログラムでは、10台(1台22,500ドル)を導入し、必要な研修を受けると、ライセンシーとなり運営を始めることができる。損益分岐点は1日約9カップとなる。
たとえば1日15カップ販売すると約11カ月で投資を回収でき、1日20カップ販売すると半年で投資を回収できるという。1ヶ月で見込める収入は1台あたり約400ドルとなるようだ。
iCreamはソフトクリームの製造販売を自動化しただけでなく、トッピングを選べるなどパーソナライズ化している点も魅力といえる。ライセンシーはこれにより有人サービスをそのまま無人化し、省スペースで初期費用を抑えて事業を展開できる。
今後は非動物性アイスクリームに対応したマシンの展開を検討していることは、今後の需要増加を見据えた判断といえる。
アメリカでは植物性乳製品の普及が進んでいるものの、「自販機」という形態では選択肢はまだ十分ではないと思われる。iCream以外でも、大学キャンパスで代替ミルクの選択肢を増やすために、Uprootが独自の植物ミルクディスペンサーの導入を進めている。
国内ではコネクテッドロボティクスがソフトクリームロボットを販売している(ソフトは動物性)。
参考記事
Soft Serve Intelligent Vending, iCream
Golden Goose teams with PASMO America on robotic, soft-serve ice cream machines
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アイキャッチ画像の出典:iCream