代替プロテイン

Profuse TechnologyとGelatexが成果を発表|筋肉組織の成長サイクルを48時間に短縮、筋タンパク含有量を5倍に増加

 

培養肉の生産コストを削減するソリューションを開発するイスラエル企業Profuse Technologyと食用足場を開発するエストニア企業Gelatexは、提携による成果として、培養鶏肉の筋肉組織の成長が改善されたことを発表した

二社は、Profuseの培地サプリメントと、筋肉の分化、融合、成熟を促進するGelatexの植物性足場を使用することで、筋肉組織の成長サイクルが48時間に短縮され、これまでの方法と比較して筋タンパク質含有量が5倍増加したと発表した。

この成果は、培養肉生産においてさらなるコスト削減、生産期間の短縮、収量の増加、栄養価の向上を期待できることを意味している。

イスラエルのインキュベーターFRESH START Foodtechの一部として2021年に設立されたProfuseは、生産プロセスを短縮するための培地サプリメントを開発している。

Gelatexの足場を使用して、Profuseのサプリメントなし(左)とサプリメントあり(右)の場合を比較した画像 出典:Gelatex/Profuse Technology

2022年の報道では、通常1kgの培養肉を生成するのに40日間要するところ、同社技術を使うと27日間で2.5kgの培養肉を生産できるとしていた。

今年9月には、48時間で培養肉を生産できるという技術的ブレイクスルーを発表今月にはイスラエル・イノベーション庁(IIA)から研究開発のために助成金を獲得している

今回、Gelatexとの協業により、筋肉組織の成長サイクルが48時間に短縮されたことを発表した。

Gelatexは、従来のエレクトロスピニング法ではなく、独自のHaloSpin技術を用いて植物性の食用足場を開発している。ナノファイバーは高価で量産が困難だったが、Gelatexは量産可能なナノファイバーのソリューションを開発した

エレクトロスピニング法では毎時360gの生産となるが、Gelatexは生産能力を毎時5kgに増産した。1台の機械で年300トンの培養を生産できる試算となる。

Gelatexで事業開発部長を務めるAthanasios Garoufas氏は以前Foovoによるインタビューで、Gelatexが自社技術をライセンス供与して、企業が足場を自社生産することも可能になると述べている

出典:Gelatex

同社共同創業者兼CEO(最高経営責任者)のMärt-Erik Martens氏は、「当社のHaloSpin足場が持つ独自の特性と、Profuseの特別な培地サプリメントを組み合わせることで、培養肉の商用化への道を大きく加速することができます」と述べている。

GelatexとProfuseは現在、培養肉企業に筋肉の成長を最適化するための包括的なソリューションを提供している。このソリューションは、Gelatexの食用足場、Profuseの培地サプリメントと詳細なプロトコルを活用したものとなる。

 

参考記事

Profuse and Gelatex Announce Significant Advances in Cultivated Meat Production

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Gelatex/Profuse Technology

 

関連記事

  1. スーパーミート、システムのオープンソース化で培養肉の商用化を加速…
  2. イスラエルの精密発酵企業Remilk、アメリカで上市を実現
  3. ネスレも細胞農業による代替母乳産業に参入か?
  4. 精密発酵セミナー開催のお知らせ|2023年4月20日(木)
  5. 二酸化炭素でタンパク質を作るArkeon Biotechnolo…
  6. 連続細胞培養技術を開発する英CellulaREvolutionが…
  7. 菌糸体で代替ステーキ肉を開発する英Adamo Foodsが約2.…
  8. スペイン乳業メーカー、代替乳製品開発に向けた「Mylkcubat…

おすすめ記事

カナダ企業のピザ自販機PizzaFornoが北米3ヵ国に進出

北米初のピザ自販機を開発したカナダ企業PizzaFornoがピザ自販機の導入エリ…

培養肉企業のパイオニア、モサミートがオランダに培養肉工場を開設

オランダを拠点とする培養肉企業モサミートは今月、オランダ、マーストリヒトに2,7…

「ニッポンの魚ビジネスEXPO 2025」2月18日開催|業界の枠を超え、魚ビジネスの可能性を広げる

本記事は、Foovoがメディアスポンサーを務める「魚ビジネスEXPO 2025」の紹介記事です。…

「大食物観」とは何か―中国政策文書の変化から読み解く中国のフードテック戦略

2025年4月5日更新中国では近年、政府が発表する政策文書の中で、培養肉や発酵食品など代替タ…

シンガポールのtHEMEat、卵殻や廃棄野菜から植物性ヘムを開発

シンガポールのスタートアップ企業tHEMEatは、代替肉を本物の動物肉に近づける…

動物を殺さずにコラーゲン・ゼラチンを開発するJellatechが約2億1000万円を調達

動物を殺さずにコラーゲン・ゼラチンを開発するJellatechが、プレシードラウ…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(11/14 16:14時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(11/14 02:51時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(11/14 06:23時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(11/14 22:14時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(11/14 14:15時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(11/14 01:33時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP