Foovo Deep

オレオゲルで代替脂肪を開発するGavan Technologiesが約12億円を調達|オレオゲルを開発する企業まとめ

 

イスラエルのスタートアップ企業Gavan Technologiesは、植物タンパク質と植物油脂を使用した代替脂肪「Fatrix」を開発している。同社は今月、シリーズAラウンドで800万ドル(約12億円)を調達した。

Green queenの報道によると、Gavanは調達した資金で、キプロスに工場を設立し、「Fatrix」で欧州のベーカリー・乳製品業界への参入を目指す。年産200トンを見込む同工場は2025年4月までに稼働開始予定となる。

さらに記事後半では、Gavanを含め、オレオゲル技術を活用した他のスタートアップ企業の動向についてもまとめる。

オレオゲルで代替脂肪を開発するGavanが約12億円を調達

出典:Gavan Technologies

Gavanは「Fatrix」について、植物全体を使用する独自のタンパク質抽出技術で抽出したタンパク質を骨格として、水と植物油脂を閉じ込めたオレオゲルだと述べている。タンパク質が互いに結合し、味に癖がなく、さまざまな食感を作り出せるゲルが作られるため、牛脂、バター、液体クリームなど多彩な用途に対応できるとしている。

オレオゲルとは、ゲル化剤からなる網目構造の中に液状油脂を取り込ませ、全体としてあたかも固体脂肪のような形状をとっている状態をいう。ゼリーや寒天中の水を油に変えたイメージだ。

オレオゲルにすることで、身体に良い不飽和脂肪酸を豊富に含む植物油脂を、動物脂肪のような固体形状にできる。

Green queenの報道によると、Gavanは植物タンパク質としてエンドウ豆タンパク質を使用している。

共同創業者のItai Cohen氏は、「Fatrix」を使用すると飽和脂肪酸を約80%削減でき、カロリーも30~50%削減できるとProtein Production述べている

代替バターとして「Fatrix」を使用したブリオッシュを試した人からは、「(本物のバターを使用したものと)区別できない」との好評なフィードバックも得られているという

Fatrix」は欧州の新規食品には該当しないため、Cohen氏は「生産開始から数ヵ月以内に『Fatrix』使用の製品が店頭に並ぶことを期待しています」とGreen queenに述べている。

オレオゲルを開発するスタートアップ

出典:Paragon Pure

オレオゲルは、飽和脂肪酸を抑え、トランス脂肪酸を含まない固体または半固体の脂肪として、食品用途での応用が期待されている。

Foovoの調査では、オレオゲルに関する論文は近年増えており、2018年には約210件だった論文数は2021年には約3倍となり、2024年は12月中旬時点で1,500件を超えた(Google Scholarで調査)。

Foovo調査・作成 2024年12月18日時点 Google Scholar調べ

これまでに下記のスタートアップ企業が確認されており、判明している情報や特許情報から、次のようなゲル化剤が使用されている。

ここから先は有料会員限定となります。

読まれたい方はこちらのページから会員登録をお願いします。

すでに登録されている方はこちらのページからログインしてください。

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Gavan Technologies

 

関連記事

  1. ユニリーバ、精密発酵アイスクリームをBreyersブランドで発売…
  2. Meweryが微細藻類を活用した最初の培養肉プロトタイプを発表
  3. インドEvo Foodsが代替卵を年内に販売開始、2021年4月…
  4. 発酵技術で代替シーフードに挑むAqua Cultured Foo…
  5. 豆を使わない代替コーヒーを開発するオランダのNorthern W…
  6. MycorenaとRevo Foodsが3Dプリント用マイコプロ…
  7. 菌糸体由来チーズを開発するベルギー企業Bolder Foods、…
  8. 米Apeel Sciencesがアボカドの熟度を即座に把握する新…

おすすめ記事

極限環境微生物で代替パーム油を開発するシンガポール企業Biteback Biotechnology|創業者インタビュー

微生物を活用した代替パーム油の開発が活発化している。今年3月には、油脂酵…

フィンランドの研究チームが細胞培養によるコーヒー生産に成功

フィンランド技術研究センター(VTT)の研究チームは先月、細胞農業によりコーヒー…

イスラエルのChickPがひよこ豆由来のビーガンマヨネーズを開発

イスラエルのChickPが、ひよこ豆を原料とした植物性マヨネーズを開発した。…

フランスのStanding Ovation、味の素と精密発酵カゼインの製造で長期提携

精密発酵でカゼインを開発するフランスのスタートアップStanding Ovati…

ソーラーフーズ、シンガポールでソレインの販売認可を取得

二酸化炭素と微生物を活用して代替タンパク質ソレインを開発するソーラーフーズ(So…

ソーラーフーズがフィンランド薬局年金基金から約13億円を調達

フィンランド企業ソーラーフーズ(Solar Foods)は今月17日、フィンラン…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

リアルセミナー@東京のお知らせ【2025/6/18】

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(05/29 15:12時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(05/30 01:07時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,940円(05/30 05:05時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
2,156円(05/29 21:13時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,980円(05/30 13:17時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(05/30 00:19時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP