精密発酵で甘味タンパク質を開発する米Oobliは今月、モネリンについて、アメリカ食品医薬品(FDA)から「質問なし」のレターを受領し、GRAS認証を取得したことを発表した。
Oobliが精密発酵モネリンでGRAS認証を取得
モネリンは、西アフリカ原産のつる状植物(Dioscoreophyllum cumminsiiという)にできるブドウの房状の赤い実に含まれるタンパク質。1972年、この果実からショ糖の3,000倍の甘味を持つタンパク質が単離され、モネリンと名前が付けられた。モネリンは甘味が強く、1時間以上、甘味が持続すると言われている。モネリンの調達は生育期間が7月から10月の雨季に限定され、大量生産が難しい。
Oobliは甘味タンパク質を従来の砂糖や人工甘味料に代わる健康的な代替品として、遺伝子組換え微生物を活用した精密発酵によりモネリンやブラゼインを開発している。同社は今年3月に精密発酵ブラゼインについてGRAS認証を取得した。
今回、Komagataella phaffiiを使用した精密発酵モネリンについても、食品や飲料の甘味料として安全に使用できることがFDAから認められたこととなる。
Oobliはプレスリリースで4つのタンパク質でGRAS自己認証を取得したと述べているが、詳細は明らかにしていない。
少ない量で十分な甘みをもたらす天然の甘味タンパク質を精密発酵で大量に生産できるようになれば、砂糖の摂取削減につながる健康効果だけでなく、サトウキビの栽培で必要な土地や水など資源を削減する環境効果も期待できる。
Oobliはオンライン販売のほか、自社商品を大学キャンパス、スーパー(Pacific Ranch Marketなど)、カフェ(Harvest Marketなど)といったロサンゼルスの多くの箇所で販売している。
最近の大きな動きとして、今年9月、日本航空(JAL)がOobliと提携し、サンフランシスコ発、東京行きに限定した一部国際便で、ファーストクラスおよびビジネスクラスを対象に精密発酵ブラゼインを使用したチョコレート商品の提供を開始した。
日本国内の販売ではなく、出発国(アメリカ)の食品基準に基づいた導入であったが、国内消費者の反対により、JALは10月8日に提供を中止した。
甘味タンパク質に取り組む企業
ブラゼインやモネリンのように、天然に存在するが大量生産が難しい甘味タンパク質を精密発酵で開発する動きが増えている。
乳タンパク質で業界を牽引してきたパーフェクトデイも、対外的には公表していないものの、精密発酵ブラゼインについてFDAにGRAS通知を提出済みである可能性が高い。
Foovoの調査では、GRASデータベースに記載されている企業名や住所がパーフェクトデイと一致することから推測されるものである。
関連記事
アイキャッチ画像の出典:Oobli