精密発酵で卵白タンパク質を開発するOnego Bioは、最初の商用規模のパイロット生産が完了したと発表した。
同社はまた、ウィスコンシン州ジェファーソンにあるFood and Beverage Innovation Campus(以下、FAB Innovation Campus)に製造施設を建設する計画を発表。
25.9エーカーの土地を77万7,000ドルで購入した。2028年の稼働開始を予定しており、600万羽の鶏が生産するのに相当する卵白タンパク質を供給可能な規模となる。
今回の投資は、キッコーマンやNestlé Purinaといった大手食品企業による進出と並び、ジェファーソン郡がフードテック分野でのイノベーション拠点として注目を集めていることを裏付ける動きといえる。
キッコーマンは昨年6月、FAB Innovation Campusでの約2万平方メートルの大規模工場の建設を着工した。Onego Bioは同キャンパスに施設を建設する2社目の企業となる。
Onego Bio、2028年にアメリカで工場稼働へ

出典:Onego Bio
建設される施設は、フィンランド発のOnego Bioにとってアメリカ初の主要工場となり、精密発酵技術で開発する卵白タンパク質「Bioalbumen」の大規模生産が行われる予定だ。
「Bioalbumen」は、製品の味、栄養、機能性は従来の卵と同等でありながら、供給やコスト面での安定性、さらには環境負荷の大幅な軽減(90%削減)を実現する点が特徴となる。
従来のサプライチェーンに依存せずに卵白タンパク質を生産するOnegoのソリューションはタンパク質供給の多様化に貢献するものとなり、鳥インフルエンザによる供給リスクへの備えとしても期待される。
特に、工業用卵の約3分の1を消費する食品メーカーにとって、価格の変動や供給の混乱を避けられる持続可能な選択肢となりうる。
同社共同創業者兼CEOのMaija Itkonen氏は建設予定地であるジェファーソン郡について、「この地域は、インフラ、物流、主要パートナーへの近接性など、Bioalbumenをスケールアップし、その利点をより多くの顧客に届けるための最適な要素を備えています」と述べている。
ジェファーソン郡への進出は、共同創業者でありCTO(最高技術責任者)を務めるChristopher Landowski氏にとっても特別な意味を持つ。
ウィスコンシン州出身のLandowski氏は、ウィスコンシン大学マディソン校で生化学の学位を取得後、Onego Bioを共同設立した。地元であるジェファーソン郡に初のアメリカ製造拠点を設けることに「個人的にも深い意義を感じています」と語っている。
アメリカ市場における精密発酵卵白の「現在地」

出典:Onego Bio
※本記事は下記のプレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。
Onego Bio Chooses Jefferson County, Wisconsin for Flagship Egg Protein Manufacturing Facility
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アイキャッチ画像の出典:Onego Bio