クリーンラベルの代替カゼインを開発するPuretureが、初の製品上市に向けて動き出した。
Puretureは2025年5月、年産240トンの商用生産施設を完成させ、アメリカで今年第3四半期に最初の消費者向け製品を市場投入する計画を発表した。
非GMO酵母由来の代替カゼイン

出典:Pureture
Puretureは非遺伝子組み換え酵母を通じて、「次世代の機能性タンパク質成分」を開発するニューヨークを拠点とするスタートアップ。Rudy Yoo氏(植物性乳製品企業Armored Freshの創業者)とDaniel Yang氏によって2022年に設立された。
同社が開発した代替カゼインは、遺伝子組換え微生物を用いる精密発酵とは異なり、パン酵母である非遺伝子組換え酵母から抽出されたもので、カゼインと同等の機能・栄養価を有する。ガム、増粘剤、安定剤を不要とする代替カゼインで、タンパク質の体内での利用のしやすさの指標であるPDCAASスコアは、乳製品と同じ1.0となる。
Yoo氏が昨年のFoovoによるインタビューで、最初の製品としてプロテインドリンクを発売する予定だと述べていた通り、年内にプロテインドリンクを上市する予定だ。現在、アメリカの飲料ブランドと製品配合を共同開発しており、製品のブランド名は「Piilk(Pure+Milk)」。Yoo氏は「Piilk」の開発には3年かかったと述べている。
今後の展開として、韓国に年産2,400トン規模の新工場を建設する計画も進めている。今年4月23日、韓国政府の支援を得て、韓国・江原に53,385平方フィート(約5,000㎡)の敷地を正式に確保した。
「私たちは単にクリーンラベルにしたのではなく、タンパク質そのものを再設計しました。乳化の問題を構造レベルで解決することで、企業が添加物を完全に排除できるよう支援しています。消費者はすぐに違いを実感するでしょう」とYoo氏はプレスリリースで述べている。
FDAのUPF定義検討が追い風になるか

Rudy Yoo氏 出典:Pureture
Green queenの報道によると、アメリカ食品医薬品局(FDA)は6月、「超加工食品(UPF)」の定義作成を検討していると報じられた。今後示されるとみられる指針案では、添加物の種類・製品に含まれる原料数・栄養指標などを評価基準とし、企業が「非UPF」表示を行える仕組みづくりを検討している。
定義案では合成着色料、乳化剤、保存剤などが対象に含まれる見通しで、既存メーカーは処方改良を求められる可能性がある。数ヵ月以内に最終決定される見込みとなる。
ガムや乳化剤を使わずに乳化機能を発揮するPuretureの代替カゼインは、この規制強化下で希少な“クリーンラベル”の原料として需要が高まる可能性がある。
焙煎大麦を使用した代替コーヒー開発も

出典:Armored Fresh
さらにYoo氏は代替カゼインに加え、代替コーヒー市場への参入も進めている。
2025年6月、Armored Freshはネスプレッソ対応のカプセル型代替コーヒー「Barley Brew」を発表した。同製品は焙煎大麦を原料に使用し、100%焙煎大麦を使用したカフェインゼロの「Zero-Caf」と、プレミアムコーヒーを一部ブレンドした「Half-Caf」の2種展開で、不眠や胃への刺激といったカフェインによる問題を回避する設計となっている。
Yoo氏は、大麦にはβ-グルカンや食物繊維、ポリフェノールが含まれ、腸内環境や代謝バランスを整える機能性が期待される点を挙げている。
※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。
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アイキャッチ画像の出典:Pureture