「温かい弁当は、いつでもどこでも買える」が当たり前になるかもしれない。
温かい弁当の自動販売機を展開するフードテック企業Wada FoodTech(和田フードテック)は6月3日、プレシリーズA3ラウンドで500万ドル(約7億5,000万円)を調達したと発表した。
調達した資金で、日本・オーストラリアなど既存市場での拡大、新市場としてイギリス・EUへの進出を目指す。
9秒で温かい弁当を提供

出典:Wada FoodTech
香港で2018年に設立され、現在は大阪・東京にも拠点を構えるWada FoodTechは、これまでの実店舗型フードサービスモデルを抜本的に変革する、消費者にわずか9秒で温かい弁当を提供するホットチェーン自販機を開発した。
2021年5月には累計販売数10万食を達成し、2022年7月にベトナムに進出。2023年には日本市場進出・拡大に向けて、2023年度単年で総額4億円の調達に成功した。現在までに100万食を超える温かい弁当の販売実績を誇り、昨年9月には東京にある日本科学未来館7階のレストランに自販機を設置した。
香港、東京、大阪のほか、オーストラリアのパース、マカオに進出しており、今後、新たに欧州市場への進出を目指している。
Wada FoodTechのCEO(最高経営責任者)ジェイソン・チェン氏はプレスリリースで、特に人件費の高い市場における事業展開を強化していると言及。「近日中に、日本製の特許取得済みホットチェーン弁当自販機をイギリス市場へ向けて出荷開始する予定です」と述べている。
出張族の“冷たい駅弁問題”を解決するか

出典:Wada FoodTech
同社のホットチェーン自販機は、オフィス、大学、病院、建設現場など、人通りの多い場所で、従来型の店舗やフードデリバリーに依存することなく、“すぐに”、“できたてのような温かい”食事を享受できる可能性を示している。
飲食事業者にとっては、新規店舗の開設コストやリスクを回避でき、利用者にとっては、時間や場所を選ばず温かい食事を得られる点が魅力だ。
同社のホットチェーン自販機は、新幹線利用者にとっても高いニーズが見込まれるだろう。
筆者自身、以前の会社員時代に東京―大阪を頻繁に往復する出張生活を送っていたが、駅弁が冷たく、温かい食事を求めて駅ナカ店舗を探す手間に悩まされた経験がある。丁寧に調理された料理でも、“温かさ”がないだけで満足度は大きく損なわれることを痛感した。
もし駅ホームや新幹線内にWada FoodTechのような温かい弁当自販機が設置されれば、利便性と満足度は大きく向上し、より快適に、そして効率的に移動時間を活用できるはずだ。
なお、温かい料理を提供する自販機は国内外で多様な展開が進んでいる。
アメリカ発のラーメン自販機Yo-Kai Expressは2023年3月、関東圏以外では初めて阿蘇くまもと空港に設置された。
海外では、カナダ発のピザ自販機PizzaFornoがカナダ、アメリカ、メキシコへの展開を加速している。国内では3分で焼き立てピザを提供するピザ自販機「Pizza Self Japan」が、広島県、長崎県、岩手県、長野県、滋賀県に導入されている。
シンガポールではChef-in-Boxが多くの場所で、ハラール対応の温かい弁当の自販機を展開している。2016年の初展開から、現在はチャンギ空港や大学、病院など販路を拡大している。
※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。
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アイキャッチ画像の出典:Wada FoodTech