Foovo Deep

世界初、ニホンウナギ由来の不死化脂肪前駆細胞株を樹立──“脂の乗った”培養ウナギに挑む|都産技研・北里大が新成果

出典:Establishment and characterization of spontaneously immortalized Japanese eel muscle-derived preadipocyte cell lines for cultured seafood production

2025年12月5日:論文が受理されたことを追記

絶滅危惧種のニホンウナギを持続的に供給するため、細胞培養によるウナギの実現が期待されている。しかし、魚類では自発的に不死化する脂肪細胞株はこれまでになく、脂肪を再現する足掛かりは限られていた。

こうした中、東京都立産業技術研究センター岸野恵理子博士)と北里大学の研究グループ(池田大介准教授)は、ニホンウナギの筋肉組織から自発的に不死化した3つの脂肪前駆細胞株(JE-KRT224JE-EK9JE-F1140)の樹立に成功した。

論文は「Establishment and characterization of spontaneously immortalized Japanese eel muscle-derived preadipocyte cell lines for cultured seafood production」というタイトルで、査読前のプレプリントとして、研究成果公開サイトのResearch Squareに掲載された。その後、論文は受理され、11月20日付けでNatureに掲載された2025年12月5日追記)。

北里大学は昨年8月にも、ニホンウナギの筋肉組織から自発的に不死化した筋芽細胞株JEM1129の樹立に成功している。今回の成果により、「脂の乗った」ウナギの蒲焼きに近い培養肉の実現に一歩近づいたこととなる。

本件について、池田准教授はFoovoに対し、次のようにコメントしている。

「本研究では、ニホンウナギ由来の脂肪前駆細胞株を世界で初めて樹立し、その脂肪蓄積能および脂肪分化能を明らかにしました。既に樹立済みの筋芽細胞株と組み合わせることで、実際のウナギ肉に近い組織構築が期待されます。今後は、商業化に向けて不可欠な大量培養技術の確立に注力し、食用化に向けた研究をさらに推進していく予定です」

脂肪分化・脂質蓄積・脂肪酸取り込み能を備えた3株を樹立

ここから先は有料会員限定となります。

読まれたい方はこちらのページから会員登録をお願いします。

すでに登録されている方はこちらのページからログインしてください。

 

※本記事は、論文(https://www.researchsquare.com/article/rs-6836543/v1)およびメール取材をもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:https://www.researchsquare.com/article/rs-6836543/v1

 

関連記事

  1. Joes Future Foodが中国初の培養豚バラ肉を発表、中…
  2. MISOLA FOODS、日本初のオーツミルク専門メーカーとして…
  3. 精密発酵で食用コラーゲンを開発するスタートアップ企業3社
  4. Vowの培養ウズラ肉、シンガポールのレストランがメニューに導入、…
  5. コンビニで出来立てチャーハン|ローソン、TechMagicの炒め…
  6. MeaTechが低コストな培養脂肪の生産方法で米国仮出願を提出
  7. 中国のJoes Future Foodが豚の培養脂肪のパイロット…
  8. ドイツのMeatosys、農家の培養肉生産を可能にするモジュール…

おすすめ記事

イート・ジャストの代替卵JUST Eggが欧州の安全性承認を取得

米イート・ジャストの代替卵JUST Egg(ジャスト・エッグ)の主要成分が、欧州…

コンビニで出来立てチャーハン|ローソン、TechMagicの炒め調理ロボット「I-Robo 2」を初導入【現地レポート】

2025年7月22日、炒め調理ロボット「I-Robo 2」がついにコンビニに登場…

仏Nutriearth、ミールワーム由来ビタミンD3の商用工場をフランスで開設|輸入依存からの脱却へ

出典:Nutriearth2025年11月4日更新フランスのNutriearthは先月2…

米培養肉UPSIDE Foodsが世界で初めてFDAの安全性認可を取得、上市に向けて躍進

アメリカの培養肉企業UPSIDE Foodsは16日、アメリカ食品医薬品局(FD…

ビーガンチーズを開発するMiyoko’s Creameryが約57億円を調達

植物ベースのビーガンチーズを開発するMiyoko’s Creameryがシリーズ…

英培養肉企業Higher Steaksが約43億円を調達、社名をUncommonに変更

イギリスの培養肉企業Higher Steaksが社名をUncommonに変更した…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(12/25 16:26時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(12/25 03:08時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(12/25 06:43時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(12/24 22:27時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(12/25 14:27時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(12/25 01:50時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP