絶滅危惧種のニホンウナギを持続的に供給するため、細胞培養によるウナギの実現が期待されている。しかし、魚類では自発的に不死化する脂肪細胞株はこれまでになく、脂肪を再現する足掛かりは限られていた。
こうした中、東京都立産業技術研究センター(岸野恵理子博士)と北里大学の研究グループ(池田大介准教授)は、ニホンウナギの筋肉組織から自発的に不死化した3つの脂肪前駆細胞(JE-KRT224、JE-EK9、JE-F1140)の樹立に成功した。
論文は「Establishment and characterization of spontaneously immortalized Japanese eel muscle-derived preadipocyte cell lines for cultured seafood production」というタイトルで、査読前のプレプリントとして、研究成果公開サイトのResearch Squareに掲載された。
北里大学は昨年8月にも、ニホンウナギの筋肉組織から自発的に不死化した筋芽細胞株JEM1129の樹立に成功している。今回の成果により、「脂の乗った」ウナギの蒲焼きに近い培養肉の実現に一歩近づいたこととなる。
本件について、池田准教授はFoovoに対し、次のようにコメントしている。
「本研究では、ニホンウナギ由来の脂肪前駆細胞株を世界で初めて樹立し、その脂肪蓄積能および脂肪分化能を明らかにしました。既に樹立済みの筋芽細胞株と組み合わせることで、実際のウナギ肉に近い組織構築が期待されます。今後は、商業化に向けて不可欠な大量培養技術の確立に注力し、食用化に向けた研究をさらに推進していく予定です」
脂肪分化・脂質蓄積・脂肪酸取り込み能を備えた3株を樹立
※本記事は、論文(https://www.researchsquare.com/article/rs-6836543/v1)およびメール取材をもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。
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アイキャッチ画像の出典:https://www.researchsquare.com/article/rs-6836543/v1