このニュースのポイント
●ビヨンドが中国向けの豚ひき肉Beyond Porkを発表
●上海の一部レストランで期間限定で提供
●競合はグリーンマンデー傘下のオムニフーズ
●中国ではアフリカ豚コレラによる深刻な豚肉不足が続いている
代替肉の代表格の1つビヨンドミートが新作・植物性の豚ひき肉を発表した。中国市場に向けたもので、上海の一部レストランで今月18日―24日までの期間限定で提供される。
新商品Beyond Porkは、餃子、春巻き、ラーメンなど様々な料理に使用できる。
今回の中国市場向け新商品発表に先立ち、ビヨンドからは注目のニュースが続いていた。
●同社は今月、2021年初頭から米国で発売される新製品Beyond Burgerを発表。
●その前にはピザハットと提携。全米700店舗のピザハットでビヨンドの代替肉を使ったピザ「Beyond Italian Sausage」「Great Beyond Pizza」の2つのメニューの販売を開始した。
●さらに、マクドナルドがビヨンドと協業し、代替肉を使ったマックプラントを共同開発している。
中国市場に投入されるBeyond Porkは、上海の提携レストランで発売される。発売期間は18ー24日の期間限定で、小売りやオンラインショップでいつ入手可能となるかは不明だ。
今回リリースされる豚ひき肉は、ワンタン、春巻き、餃子など、中国料理に使いやすく、中国人受けする可能性が高い。競合品として真っ先に思い浮かべるのは、香港グリーンマンデーの傘下にあるオムニフーズが開発したオムニポークだ。
オムニポークはすでに中国大手ECサイトアリババで販売されているほか、上海のレストランでも使用されている。グリーンマンデーは年内で広東に工場建設を予定しており、同社のターゲットは豚肉市場。
9月には約73億円を資金調達しており、香港ではセブンイレブン、マクドナルドと提携済み。アジア発の注目の代替ポークスタートアップだ。
ビヨンドも中国進出を着実に進めている。中国の3300店舗のスターバックスと提携するほか、ヤムチャイナが運営するKFC、タコベル、ピザハットでは期間限定でビヨンドバーガーを販売。
上海の地下鉄スーパーに加え、アリババといった大手小売りとも提携している。さらに注目したいのは、2つの製造工場を中国本土に建設中で、2021年に稼働を開始することだ。
豚肉不足の解決につながる代替肉
中国は世界最大の豚肉消費国。
さらにアフリカ豚コレラの発生により、中国では豚肉不足が深刻な問題となっている。2020年の豚肉輸入量は過去最高を記録する見通しだという。
中国で続く豚肉不足は2021年中頃には解消される見込みであると発表されているが、深刻な豚肉不足を解消できる点で、現在の状況は代替豚肉を開発するプレーヤーにとっては追い風となるだろう。
現在、中国の豚肉価格は前年の同レベルまで下がっており、豚肉価格は2ヵ月連続で下降しているが、まだ高い状態だ。一つ気になるのが、アフリカ豚コレラ発生による他の製品への影響だ。今月中国で開催された鶏卵サミットによると、豚コレラがほかの産業にも影響し、卵の価格も高騰しているという。
既存の畜産産業にとって危機的な状況は、フードテック企業にとってはチャンスでもある。ビヨンドやグリーンマンデーなど代替プレーヤーの活躍に期待したい。
参考記事
Beyond Meat Unveils Plant-Based Minced Pork In Shanghai In Battle Over Chinese Market
Beyond Meat Launches Minced Pork Product in China
官方:明年猪肉消费量将有明显增加,预计2021下半年猪肉供给可恢复正常
アイキャッチ画像の出典:ビヨンドミート