ロボット

最短30秒で調理する自律調理ロボットを開発したRoboEatz、1台目をラトビアに設置予定

 

カナダ、米国、ラトビアに拠点を置くRoboEatzは、自社の調理ロボットを「世界で最も進化した自律調理ロボット」だと自負する。

同社が開発した調理ロボットは確かに優秀といえる。

準備、調理、盛り付けまでをすべて自動で行い、人が介入するのは材料の補充だけだからだ。

材料を補充しておけば、冷たい料理から暖かい料理まで1000の食事を作ることができる。

1つの料理を最短30秒でつくる調理ロボット

出典:RoboEatz

Ark 03と名付けられたこのロボットは、18㎡(110平方フィート)の独立したキオスクタイプ。

18㎡は約11畳なので、大きめの部屋1室に収まるくらいの大きさとなる。

このキオスクロボットの中には、関節アーム、110種の新鮮な材料(うち30種はスープ、サラダ、ドレッシングなど)、電磁調理器、料理を置く棚がある。

注文はアプリかタブレットで行う。

出典:RoboEatz

注文が入ると、ロボットアームが材料を取り出し、回転する電磁調理器の中へ入れる。

電磁調理器にはミキシングアームがついており、回転しながら混合する。完了すると、電磁調理器からロボットアームが持つ受け皿に料理が移され、ロボットアームが料理をいれた容器を棚に置く、という流れだ。

https://twitter.com/i/status/1350412597032595457

調理ロボットArk 03は、1つの料理を最短30秒で作れるという。

公式サイトにはペンネなどパスタ類の料理が掲載されているが、ペンネはあらかじめ茹でたものを材料として使っていると思われる。

Ark 03に材料を補充したら、1000の食事を作るまで補充の必要はない。材料が賞味期限に近くなったり、なくなりそうになったりすると、自動で材料の注文までしてくれるので、人間は材料を補充するだけでよい。

毎回の調理後に自動洗浄する機能がついているほか、個人の好みや食事制限にあわせてメニューのパーソナライズが可能となっている。

ユーザーはアプリ上で材料やボリュームなど自由にカスタマイズできる。アプリにはカロリー、糖質、塩分、タンパク質などの情報が表示される。

新しいメニューのアップロードは5分でおわる。

コロナで活躍の場が広がる調理ロボット

出典:RoboEatz

新型コロナの感染拡大により、Ark 03のような調理ロボットの活躍の場は増えた。

ロボットであれば、材料の取り出しから調理、盛り付けまでを自動でやってくれるので、ヒューマンフリーな料理提供が可能となる。これまで以上に非接触なサービス提供が求められる今、ロボットがもたらすメリットは大きい。

導入コストはかかるが、Ark 03を導入することで、人を雇う必要がなくなる。材料を入れ間違えることもなければ、材料が細菌に汚染されることもない。

何より、24時間、休みなしで働ける。

こうしたニーズをうけて最近では自律型の調理ロボットが増えている。

カナダのYPCテクノロジーズの調理ロボットはArk 03に似ているが、今はまだ最後の味付けで人の介入が必要となっている。

アメリカのBowlton Kitchensは、複数の調理器を搭載したロボットで、1時間に300の料理が可能。材料をセットすればロボットがすべてやる点では、Ark 03に似ている。

増える「共同ブランディング」戦略

出典:RoboEatz

これらのキオスク型調理ロボットは、人通りの多い場所をターゲットとしている。

公式サイトによると、Ark 03は、ファーストフード、オフィスビル、スーパー、コンビニ、空港、病院、学校、介護施設、スタジアム、劇場などさまざまなエリアに導入できる。

こうした人通りが多い場所では、1食あたり最短30秒で準備できる調理ロボットが果たす役割は大きい。

市場参入にあたり、RoboEatzはレストランとライセンス契約する

ライセンスアウトにより、導入したレストランはArk 03を独自のブランドで運営できる。

出典:RoboEatz

こうした共同ブランディング戦略を採用する企業は、特に調理ロボット、次世代自販機の領域で増えている。

ラーメン自販機のYo-Kai Express著名ラーメン店と提携し、ブランド力のあるラーメンを提供している。

スムージーロボットのBlendidは、アメリカでスムージーに特化した食品会社Jambaと共同ブランディングしたキオスクを展開している。

サラダ自販機Sallyを開発したチョボティクスは、ファーストレストランのSalad StationSaladworksなどと共同ブランディングでサリーを展開している。

RoboEatzを知る人はほとんどいないが、有名レストランが運営するキオスク型調理ロボットであれば、初めて見た人にも受け入れられやすい。

得体の知れないロボットが提供する食事よりも、すでに知名度があるレストランが「ロボットで」提供する食事なら安心できる

出典:RoboEatz

こうした共同ブランディングは、提携する飲食店側にもメリットがある。

これまでであれば活躍の場が限られていたものが、装置の導入によって空港や病院など以前はリーチできなかった場所にサービスを提供できるようになる。

RoboEatzは本社を構えるラトビアで最初の1台をまもなく導入するとしている。今年後半には米国の空港(空港名は非公開)にも設置する予定でいる。

RoboEatzの設立は2018年。クランチベースによると、これまでに110万ドル(約1.1億円)を調達している。

 

参考記事

RoboEatz Shows Off Ark 03 Autonomous Robotic Meal Making Kiosk

 

関連記事

 

アイキャッチ画像の出典:RoboEatz

 

関連記事

  1. コカ・コーラ、ペットボトルなど容器を回収するリバース自販機を発表…
  2. 800DegreesとPiestroが提携し完全自動のピザ自販機…
  3. 【参加レポート】第5回フードテックWeek:次世代型綿あめ製造機…
  4. ZIKIがロボットキッチンのBowlton Kitchensを買…
  5. Amazonで圧倒的な高評価を誇る家庭用カクテルロボットのBar…
  6. The Food Robotics Summit2021に登場し…
  7. xRoboticsのピザロボットがピザ店での試験運用を完了、80…
  8. 夕飯の準備は出社前の2分で完了!冷蔵機能のあるスマート調理器具S…

おすすめ記事

培養肉セミナー開催レポート【岡田健成氏講演】-2022年8月-

世界人口の増加に伴う食料需要の高まりにより、2030年にはタンパク質が不足すると…

ドイツ企業Infinite Rootsの菌糸体由来肉が韓国上市へ|マイコプロテインの2024年注目トピック

ドイツの菌糸体スタートアップ企業Infinite Roots(旧称Mushlab…

Motif FoodWorks、分子農業でヘムを開発するためパートナーシップを拡大

アメリカ、ボストンを拠点とするフードテック企業Motif FoodWorksは、…

二酸化炭素、水素から脂肪を開発する米Savorがバター試作品を開発

カリフォルニア州サンノゼに拠点を置くSavorはこれまでと異なるアプローチで代替…

BioBetterはタバコ植物を活用して培養肉用の成長因子を開発、培養肉のコスト削減に挑む

イスラエルのバイオテクノロジー企業BioBetterは、植物のタバコを活用し、培…

培養肉でメキシコ初のスタートアップMicro Meatは量産化段階にはいる

細胞農業の進歩により培養肉がスーパーの棚に並ぶ日も近いのかもしれない。M…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

次回Foovoセミナーのご案内

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(04/02 14:55時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(04/02 00:41時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(04/02 04:36時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(04/01 20:52時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(04/02 13:01時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(04/01 23:55時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP