代替プロテイン

米イート・ジャスト、年内または2022年に30億ドルのIPOを目指す

 

植物卵・培養肉を開発するアメリカのイート・ジャストが、今年第4四半期から2022年始めにかけて新規株式公開(IPO)することが報じられた。

イート・ジャストはIPOで「最低でも」30億ドルの評価額となることを目指している。Forbesが第一報を報じた。

イート・ジャストは代替タンパク質企業の中でも昨今、非常に注目を集めている企業といえる。

同社の植物卵JUST Eggの日本進出を待ち望む声は多い。

出典:イート・ジャスト

緑豆をベースとしたJUST Eggはアメリカのスーパーなど小売で販売されるほか、スターバックスを含むレストランにも導入されており、すでに2万箇所を超える小売、1000の飲食店で販売されるなど、アメリカでプラントベース卵商品の不動のポジションを獲得している。

これまでに販売したJUST Eggは、1億個の卵に相当する。

今年1月には、中国大手ファーストフードのDicosがJUST Eggをメニューに追加。これは中国の大手ファーストフードが動物性食品を植物性食品に切り替える初の事例となった。

3月にはカナダへ進出している。

植物卵で知名度をあげたイート・ジャストだが、最近では培養肉での相次ぐ「世界初」で、業界をリードしている。

同社の培養肉は、昨年12月に世界で初めて販売許可を取得

同月にシンガポールのレストランで培養鶏肉GOOD Meatを使った料理を販売、4月にはデリバリー企業フードパンダ(foodpanda)と提携し、世界初となる培養肉料理の宅配サービスを実施した。

イート・ジャストの培養チキン 出典:Eat Just

同社は2030年までに畜産肉と同等価格にすることを目指すとともに、鶏肉以外の肉にも取り組む考えを明らかにしている。

5月には、シンガポールのレストランが動物肉を同社の培養肉に完全に置き換えることを発表。イート・ジャストは現在、シンガポールに工場を建設している。

これまでの調達総額は、4億4000万ドル(約488億円)。

この中には、3月の219億円、5月の培養肉部門GOOD Meatが調達した約184億円が含まれる。

ジョシュ・テトリック氏 出典:イート・ジャスト

ジョシュ・テトリック氏は、今後半年から1年以内にアメリカで培養肉を販売するための規制をクリアできると考えている。

そして、アメリカに続く国は中国となると予想。中国には植物卵JUST Eggが小売・ファーストフード店Dicosですでに導入されている。

テトリック氏はForbsのインタビューに次のようにコメントし、培養肉がいずれは主流になるという見方を示している。

「まず忘れてはいけないのは、一見して突飛に思えることは、いずれ当たり前になるということです。

仮に僕が2002年に、音楽のほとんどは売れなくなって、ストリーミング配信されると言っていたら、おかしいと思ったはずです。

誰もが食べる肉になりますので、培養肉はいずれ話題にされることもなくなるでしょう」(共同創業者・CEOのジョシュ・テトリック氏)。

 

参考記事

Eat Just Mulls $3 Billion IPO To Eventually Make Cruelty-Free Food Mainstream

Report: Eat Just Aiming for $3B IPO in 2021

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:イート・ジャスト

 

関連記事

  1. 【現地レポ】Perfect Dayの精密発酵乳タンパク質を使用し…
  2. 代替油脂の米Lypidが台湾大手コーヒーチェーンと提携、500店…
  3. Meweryが微細藻類を活用した最初の培養肉プロトタイプを発表
  4. 細胞を培養して代替母乳を開発するTurtleTreeが約6億3千…
  5. 微生物でタンパク質を作るNature’s Fyndが約46億円を…
  6. ケンタッキー、ビヨンド・ミートの代替フライドチキンを全米で販売
  7. ドイツのInnocent Meatが約4.8億円を調達、食肉生産…
  8. 代替肉の「テスラ」を目指す上海の代替肉企業YouKuaiが約7.…

おすすめ記事

【2024年】培養魚企業レポート販売開始のお知らせ

更新日:2024年3月13日最新版を2024年3月13日に発売しました。…

ビヨンドミートとペプシコの合弁会社Planet Partnershipが、最初の製品であるビヨンドミートジャーキーを全国規模で発売

ビヨンドミートとペプシコは先月、ビヨンドミートジャーキーの発売を発表した。この「…

GOOD Meat、世界最大の培養肉用バイオリアクターの製造へ

イート・ジャストの培養肉部門GOOD Meatはバイオプロセス機器のリーディング…

Yali Bioが植物由来の培養脂肪生産のためにシードラウンドで約4.5億円を調達

カリフォルニアを拠点として植物代替肉や乳製品向けにデザインした脂肪の生産に取り組…

レタスを活用して乳タンパク質を開発するイスラエル企業Pigmentum

植物を使った代替乳製品や、微生物を活用した精密発酵による代替乳製品の開発が進むな…

豆を使わずに合成生物学でコーヒーを開発するCompound Foodsが約5億円を調達

コーヒー豆を使わずにコーヒーを生産する米Compound Foodsがシードラウ…

精密発酵レポート・予約注文開始のお知らせ

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovo Deepのご案内

精密発酵レポート・予約注文開始のお知らせ

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovoの記事作成方針に関しまして

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(11/21 14:06時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(11/20 23:44時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(11/21 03:26時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(11/20 20:01時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(11/21 12:17時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(11/20 23:02時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP