代替プロテイン

イスラエルのChickPがひよこ豆由来のビーガンマヨネーズを開発

 

イスラエルのChickPが、ひよこ豆を原料とした植物性マヨネーズを開発した。

ChickPは食品会社との共同開発により、マヨネーズやサラダドレッシングなど、卵を使わないレシピを考案した。

ChickPは独自技術でひよこ豆から苦み、非栄養成分を取り除き、タンパク質を90%含む、本物の卵と同等の風味、外観、機能性を備えたひよこ豆単離物を開発している。

現在までにChickP G910ChickP S930を商用化している。ChickP G910はゲル化、乳化し、ChickP S930は発泡、乳化する特性を持つ。

同社のひよこ豆単離物は、マヨネーズを始め、ドリンク、焼き菓子、肉、スナック、シリアルなどさまざまな食品の用途として活用できる。

出典:ChickP

同社によると、代替タンパク質の原料としてひよこ豆に対する需要が高まる理由には2つある。第一に効果があること、第二に期待を上回っていること。

ひよこ豆が卵のような特性をもつことは、数年前からビーガンや卵アレルギーを持つ人々に注目されていた。

2014年、ひよこ豆から出る煮汁を使ってメレンゲを作った記事がインターネットに投稿された。これにより、ひよこ豆には卵白の代替品となる「アクアファバ(ひよこ豆から出る煮汁を指す)」効果があると期待されるようになった。

「ひよこ豆のアクアファバ効果は、多くのビーガンにとって料理のゲームチェンジャーになるものでした」(CEOのRon Klein氏)

しかし、当初のアクアファバには卵のタンパク質のごく一部しか含まれておらず、代替卵としての活用には不十分だった。

ChickPは、ひよこ豆から抽出可能なすべての成分を利用し、90%という高いタンパク質含有量を実現した。

出典:ChickP

ChickPのひよこ豆単離物を使った製品は、長い保存期間と優れた熱安定性を示し、高温・低温の用途に適しているという。

高い溶解性と滑らかな質感により優れた発泡能力を有するため、合成増粘剤、マスキング剤などを使用しなくてすむ。

ChickPは現在、大規模なパイロット生産に移行している。

代替タンパク質の植物原料としては、大豆、えんどう豆が主流だが、ChickPは大豆を使いたくない企業やえんどう豆に不満を持つ企業からの需要が伸びていくとみている。

ひよこ豆は既存のプラントベース食品には欠けていた機能性を提供し、「結合剤、乳化剤として機能し、食感と保存期間を改善」できるという。

ChickPは今年5月、シンガポールにオフィスを開設した。2月にはひよこ豆単離物の生産をスケールアップし、アメリカへ進出することを発表した。

ひよこ豆を原料に代替タンパク質を作る試みとして、イスラエルのInnovoProもひよこ豆由来のタンパク質粉末を開発し、イスラエル、欧州、アメリカで販売している。欧州ではスイスの小売大手ミグロスがInnovoProのタンパク質粉末を使用したヨーグルトを販売している。

ChickPは2016年にRam Reifen教授によってイスラエル、レホボトに設立されたスタートアップ企業。これまでの調達総額は非公開となっている。

 

参考記事

ChickP Develops Plant-Based Mayo with its Proprietary Chickpea Isolate

ChickP shakes up condiments space: 90% protein isolate for plant-based mayonnaise and dressings

 

おすすめ記事

アイキャッチ画像の出典:ChickP

 

関連記事

  1. Shiruが「見た目も挙動も動物油脂のような」植物性代替脂肪「O…
  2. 空気と電気からタンパク質を作るSolar Foodsが約5億4千…
  3. ダノンが精密発酵企業Imagindairyに出資、細胞農業企業で…
  4. Alpro(アルプロ)の植物性ヨーグルト2種を食べてみた@フィン…
  5. 細胞を培養して代替母乳を開発するTurtleTreeが約6億3千…
  6. Gelatex、年間300トンの培養肉生産を可能とする足場生産の…
  7. 培養肉企業アレフ・ファームズ、培養コラーゲン事業への参入を発表
  8. ImpacFatが世界で初めて培養魚脂肪の試食会を実施

おすすめ記事

フードテック現地レポート会・セミナー動画|2024年10月開催

2024年10月に開催した第15回Foovoセミナーの動画です。たくさんの方にご…

米Atlantic Fish Co、世界初の培養ブラックシーバスを発表

アメリカの培養シーフード企業Atlantic Fish Coは今月、世界で初めて…

独GoodBytzが開発した1日3,000食を調理できるロボットキッチン

ドイツのスタートアップ企業GoodBytzは、1日最大3,000食を調理できるロ…

代替肉ビヨンドミートが初の海外工場となる中国生産施設をオープン

アメリカの代表的な代替肉スタートアップ、ビヨンドミートが中国現地の生産工場の開設…

代替肉の「テスラ」を目指す上海の代替肉企業YouKuaiが約7.9億円を調達

「10年前にテスラが登場したとき、テスラは車を持つ人すべてをターゲットにはしていませ…

ピザハットのロボットレストランがイスラエルに登場

イスラエルのピザハットが完全に自動化されたロボットレストランを発表した。…

精密発酵レポート・予約注文開始のお知らせ

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovo Deepのご案内

精密発酵レポート・予約注文開始のお知らせ

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovoの記事作成方針に関しまして

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(11/21 14:06時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(11/20 23:44時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(11/21 03:26時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(11/20 20:01時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(11/21 12:17時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(11/20 23:02時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP