フランスを拠点とする食品スタートアップのPazziが、フランス、パリにピザロボットレストランをオープンした。
Pazziによると、ピザ生地のならしからピザの受け取りまで、ほぼ完全に自律化された世界初のピザロボットレストランとなる。
世界初のピザロボットレストランがパリにオープン
「Pazziria」という名前のレストランは120㎡で、1時間あたり約80枚のピザを作ることができる。
45秒ごとに1枚のピザを作り、一度に6枚焼くことができる。1枚のピザが焼きあがるまでかかる時間は5分。
ロボットピザレストラン「Pazziria」はほぼ完全に自律化されている。
ピザ生地を平らにならし、ソースとトッピングを施し、オーブンにピザを置いて、スライスして箱に入れるところまでをロボットが担当する。
注文からピザの受け取りまでも完全にデジタル化されている。顧客はレストランで注文しても良いし、アプリで注文しても良い。必要に応じて、トッピングの量もパーソナライズ化できる。
ピザが顧客に届くまでに、ピザに触れる人はいない。
フランス文化中心の地に設置
ピザロボットレストランが設置されたのは、パリの中心地区ボーブール。
ボーブールには国立近代美術館など、芸術活動を担うポンピドゥー・センターがあり、フランス文化の中心の地に、30人の専門家・エンジニアによって開発されたAI搭載型のロボットレストランを設置したことは独創的かつ挑戦的な試みといえる。
Pazziriaは、Cyril Hamon氏とSébastien Roverso氏が7年間の研究開発と5つの特許出願後に実現したロボットレストランとなる。
2019年にパリのヴァルデューロップショッピングセンターで実施したパイロット運用の成功を経て、このほどボーブールに最初のロボットレストランをオープンした。
Pazziは、高品質でおいしい手頃な価格のピザに、誰もがいつでもアクセスできることを目指している。
ピザのレシピは世界ピザ選手権で3回優勝したシェフコンサルタントのThierry Graffagnino氏が考案したものとなっている。
「難しいのは生地です。生地は生きているので、冷凍生地を扱うことはありません。生地の進化に、機械は常に適応しなければなりません」(Thierry Graffagnino氏)
エンターテイメント性も取り入れたロボットレストラン
Pazziのピザロボットレストランは、顧客に「見せる」ことも意識している。顧客はピザが出来上がるまで、ショーウィンドウの外からロボットの動く様子を見ることができる。
レストランに導入するピザロボットの開発が進んでいるが、Pazziはエンターテイメント性を取り入れつつ、自動化率を高めている点で、これまでのピザロボットの失敗を取り入れていると思われる。
ピザロボットのZumeがピザ事業から撤退したのは、ピザ店に収容できないほどの精密機械を使用し、スタッフの大部分の時間を占めるトッピングを自動化しなかったためといわれる。
ピザロボットに取り組むスタートアップのxRobotics、Picnicは、装置からロボットらしい形状を取り除き、手間と時間のかかる工程の「自動化」に焦点をあてている。
実際に、2社のピザロボットは大型の筐体が並んでいるようにしか見えない。
これに対し、Pazziは生地をのばすところからロボットが担当し、エンターテイメント性を保持しつつ、トッピング、ソースがけなど手間と時間のかかる工程も自動化している。
収益性が気になるところだが、「すべての人にとって手の届くピザ」を重視するPazziは、1枚7~14ユーロで販売している。
Pazziは年末までに新しいレストランをオープン、2022年第1四半期にはスイスでのレストランオープンを目指している。
Pazziは2012年に設立されたスタートアップで、これまでに1380万ドル(約15億円)を調達している。直近の資金調達は2019年のシリーズA(1120万ドル)となり、シンガポールのベンチャーキャピタルQualgroが主導した。
2022年10月追記:Pazziはその後、操業停止を発表した。
参考記事
Pazzi ouvre à Paris le premier restaurant robotisé au monde
Pazzi Opens Robotic Pizza Restaurant in Paris
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アイキャッチ画像の出典: Pazzi