日本のフードテック企業ネクストミーツがアメリカに本格進出する。
同社は焼肉用代替肉の「NEXTカルビ」「NEXTハラミ」、プラントベース牛丼の「NEXT牛丼」を今月よりアメリカで本格展開する。
ネクストミーツが代替肉でアメリカに本格進出
ネクストミーツは「地球を終わらせない。」を理念に、代替肉をはじめとする代替タンパク質の開発で気候危機への対応を目指している。
2020年6月に設立された同社は、スタートアップならではの即断即決を武器に、国内ではイトーヨーカドー、ライフ、ダイエーなどのスーパー、焼肉ライク、IKEAなどのレストランへの導入を実現、今年1月にはSPACスキームで米国のOTCBB上場を果たした。内閣府食堂や気象庁食堂などでも期間限定で導入されている。
「気候変動問題は日本だけでは解決できない」との考えから、アメリカ、シンガポール、ベトナム、台湾、香港、インドなど10を超える国・地域に進出している。
同社は今月、世界最大の代替肉市場であるアメリカでの本格展開をスタートした。まず自社ECサイトを通じて「NEXTカルビ」、「NEXTハラミ」、「NEXT牛丼」を販売する。併せて、ニューヨーク州、コネチカット州、マサチューセッツ州の日系スーパー計6店舗でも上記商品の販売を開始する。
設立から1年半で代替肉の本場市場への進出を実現したネクストミーツ。同社は来月、国内の代替肉企業としては初めて、ラスベガスで開催される世界最大のテクノロジーの祭典CES2022に出展する。CES出展により、アメリカをはじめとする世界市場へのさらなる進出を目指す。
2022年1月8日追記:オミクロン株感染拡大を受け、同社は直前で会場出展中止を決定、代わりにアメリカでラーメンバーガーを開発、成功させた島本敬三シェフをはじめとする4名のシェフが登壇するオンラインクッキングLIVEを開催することに変更した。
ネクストミルク「NEXTミルク1.0」のD2Cも開始
動物製品の環境負荷では、牛肉による温室効果ガス排出量が最も多いが、畜産肉ではない牛乳、チーズなど乳製品による環境負荷も無視できない。
牛乳の温室効果ガス排出量は200mlあたり0.63kg、水使用量は125.6L、必要となる土地は1.79㎡となる。
ネクストミーツは環境負荷を軽減するため、卵やミルク、チーズの開発を進めており、今月、オーツ麦を使用した「NEXTミルク1.0」の販売を開始した。同社によるとオーツ麦を原料とした代替ミルクでは、温室効果ガス排出量を約72%、水使用量を約93%、必要となる土地を約92%削減できる。
「NEXTミルク1.0」は食塩・香料・植物油・保存料・乳成分を使用しない、国内で製造されたもので、乳糖不耐症の人や牛乳アレルギーのある人でも摂取できる。現在、自社ECサイトで販売されている。
インドにも進出
ネクストミーツは今月、インドにも進出した。
同社は代替肉を発売するためインドのフードテック企業Vegan Meat Indiaと提携した。インド消費者向けに代替チーズ、ミルク、ツナなどのプラントベース食品の導入も計画している。
将来的には、インドに研究所と生産施設を開設し、インド風製品の開発も計画している。同社は来年度にはインドで実店舗を立ち上げる予定だ。
創業から7カ月でアメリカ上場を達成し、来年にはナスダック上場も予定するネクストミーツ。
海外への進出を急速に進める背景には、環境問題の解決には日本国内の取り組みだけでは限界があるとの考えがある。だからネクストミーツは世界のマーケットを優先する。
驚異のスピード感、メディアを巻き込む巧みな広報戦略、そしてアジアンテイストかつスライスタイプの代替肉という独自性を武器に、ネクストミーツはさらなる市場拡大を目指す。
参考記事
代替肉のネクストミーツ、アメリカ市場で本格展開。自社ECサイトで販売開始
【第三のミルク定着へ】フードテックベンチャーのネクストミーツが100%植物性の飲料「NEXTミルク1.0」を発売
Japanese plant-based company Next Meats forays in Indian market
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アイキャッチ画像の出典:ネクストミーツ