海外では動物に頼らずに食品成分を作る手法として、精密発酵が人気の手法になりつつある。
精密発酵では、酵母などの微生物に特定の遺伝子を挿入し、発酵により微生物に目的のタンパク質を生成させる。2021年には新たに9社の精密発酵企業が設立され、計39社になった。
しかし、スタートアップがゼロから精密発酵技術を用いて食品成分を開発・生産するには、設備や知見が必要になる。ノウハウや資金のないスタートアップにとって、すでにノウハウ、プラットフォームのある大手と協業することは、商品開発・市場投入を加速するうえで有望な手段となる。
バイオテクノロジーのユニコーン企業ギンコ・バイオワークスは11日、インドのフードテック企業Evo Foodsとアニマルフリーな卵タンパク質の開発で協業することを発表した。
Evo Foodsはこれまで植物性代替卵を開発・販売してきたが、二社の提携では、Evo Foodsの製品に使用するための卵タンパク質を開発する。
Evo Foodsとギンコが卵タンパク質の開発で提携
Evo Foodsは先月、サンフランシスコで液状・ゆで卵タイプの植物性代替卵の試食会を実施した。これはEvo Foodsにとって初の海外展開となる。今年10月にはニューヨークやロサンゼルスで同社製品の導入を計画している。
Evo Foodsの現在の植物性卵には肯定的なフィードバックが寄せられているが、「本物の」卵タンパク質を製品に追加するとなると、製品の品質は別レベルのものとなる。
国内外で植物成分を使って代替卵製品を作る企業は増えているが、現在までにアニマルフリーな卵タンパク質を原料として市販化したのはアメリカのThe Every Companyに限られる。
The Every Companyは昨年、世界初となる卵白粉末「ClearEgg」を発売した。精密発酵により開発された「ClearEgg」は無味無臭で、高い溶解性を備えた卵白粉末で、ビール、ミルク、炭酸飲料などに添加できる。同社は今年3月には、本物の卵白のように泡立つ卵白の味と機能を再現した「EggWhite」を発売した。
Evo Foodsはギンコとの協業により、「特性を大幅に改善した次世代代替卵」を開発する。
タンパク質生産・上市を簡素化、短縮化するギンコのCDK
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アイキャッチ画像の出典:Evo Foods