Foovo Deep

豆を使わずに細胞培養コーヒーを開発するフランス企業STEM

 

昨今、細胞培養による代替肉、代替乳製品、代替魚、代替コラーゲン、代替チョコレートを開発するスタートアップ企業が次々と登場する中、細胞培養コーヒーを開発するフランス企業STEMは、自社を「世界で最初に細胞由来コーヒーを開発する企業」だと述べている。

STEMは気候変動、耕作地の問題で供給不足が懸念されるコーヒーを、豆ではなくコーヒーの葉から代替生産する企業として2022年に設立された。

コーヒー生産が直面する課題

イメージ画像

STEMはなぜ細胞からコーヒーを開発するのか。

コーヒー生産は現在、気候変動、害虫による病気、耕作地の減少などの問題に直面している。

気温上昇は、さび病などコーヒー生産にとって深刻な病気の原因となり、2050年にはアラビカ種の生産地が現在の半分になる可能性が指摘されている

STEMは近い将来、コーヒー需要と、持続可能な方法で生産する自然の能力との間に生じる大きなギャップに直面すると警笛を鳴らしている。特に、世界のコーヒー豆の7割を占めるアラビカ種はその危機的段階に達していると同社は指摘している。

また、食品サプライチェーンにおいてコーヒーは、6番目に温室効果ガスを排出する食品・飲料となり、生産に伴う環境負荷も無視できない。

STEMの共同創業者であるTom Clark氏は、「資源を大量に消費し、生態系に損害を与え、かなりの温室効果ガスを排出する従来のコーヒーを生産することに意味があるか、本当に疑問です」とFoodnavigatorのインタビューで述べている。

こうした背景から、コーヒー生産から農業を取り除くため、細胞培養コーヒーのSTEMが設立された。

コーヒーの葉から細胞培養コーヒー粉末を生成

出典:STEM

STEMは一般に消費されるアラビカ種、ロブスタ種のうち、特に消費量の多いアラビカ種を開発している。

ここから先は有料会員限定となります。

読まれたい方はこちらのページから会員登録をお願いします。

すでに登録されている方はこちらのページからログインしてください。

関連記事

アイキャッチ画像はイメージ

 

関連記事

  1. 大手食品メーカーの精密発酵食品への参入・販売状況【Foovo独自…
  2. チョコレート大手のマース、精密発酵由来の乳タンパク質を使ったチョ…
  3. ダノンが細胞培養母乳を開発するイスラエル企業Wilkに出資
  4. フィンランドの研究チームが細胞培養コーヒー生産に関する論文を発表…
  5. Fooditiveが精密発酵カゼインの工業生産の実現性を実証、欧…
  6. コーヒーかすを油脂に変換|英Revive Eco、廃棄物から持続…
  7. 藻類で培養肉用培地のコストダウンを図る東京女子医科大学、培養廃液…
  8. 培養肉シンポジウム「CMS Japan」初開催|細胞農業スタート…

おすすめ記事

インテグリカルチャーが培養フォアグラの開発に成功、試食を実施

培養肉を開発する日本のインテグリカルチャーは今月、アヒル肝臓由来細胞を培養した培…

米Jellatech、細胞培養によりヒトコラーゲンの開発に成功

細胞培養によるコラーゲンを開発する米Jellatechは今月、独自の細胞株から、…

使用済みビール酵母から代替タンパク質を開発するYeastupが約15億円を調達、スイスで生産工場立ち上げへ

ビールの醸造で生じる使用済みビール酵母をアップサイクルするスイス企業Yeastu…

精密発酵カゼイン、シンガポールで初の新規食品申請|オーストリアのFermifyが提出

精密発酵でカゼインを開発するオーストリアのFermifyは、先月シンガポール食品…

【現地レポ】精密発酵CDMOのScaleUp Bioが最初のクライアント企業を発表、食品特化の施設でスケールアップを支援

食品に特化した精密発酵・液中発酵施設を開設して、スタートアップ企業の支援を目指す…

中国の植物肉HEROTEINが米培養油脂Mission Barnsと培養ハイブリッド肉の共同開発で提携

中国の植物肉企業HEROTEINが、アメリカの培養肉企業Mission Barn…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(07/05 15:26時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(07/06 01:25時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(07/06 05:20時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(07/05 21:29時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(07/05 13:29時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(07/06 00:35時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP