イスラエルの分子農業スタートアップPoLoPoは先月、プレシードラウンドで175万ドル(約2億3000万円)を調達した。
PoLoPoはジャガイモを使用して動物タンパク質を生産する独自技術を開発している。調達した資金で、今後1年半以内のプロトタイプ開発に向けて研究開発を加速する。
ラウンドはドイツのベンチャーキャピタルFoodLabsが主導し、CPT Capital、Siddhi Capital、Plug and Play、Milk & Honey Ventures、HackCapitalが参加した。
PoLoPoは費用対効果が高く、拡張可能な方法でジャガイモにタンパク質を発現させる独自技術を開発した。ジャガイモや大豆など植物を「工場」として、太陽エネルギーの力で植物に有用物質を作らせる方法を分子農業といい、PoLoPoは最新の分子農業スタートアップとなる。
PoLoPoは、卵白タンパク質であるオボアルブミンの生産から着手し、タンパク質生産のための技術プラットフォームを構築している。プレスリリースによると、PoLoPoのオボアルブミンは機能性、栄養価、タンパク質配列の点で本物の卵と同等だという。
100ヵ国以上で生産され、世界で3番目に重要な食用作物であるジャガイモは、豊富で、適応力があり、安価で用途の広い作物だが、十分に活用されていないとPoLoPoは考えている。PoLoPoによると、ジャガイモによるタンパク質生産は、栽培に必要な投資が少なくすみ、スケールアップがしやすく、商用的な拡張性がある。
分子農業スタートアップのCore BiogenesisでCEOを務めるAlexandre Reeber氏は、PoLoPoがジャガイモを使用する利点として、「ジャガイモは水とデンプンを豊富に含み、タンパク質合成に十分なスペースがある」ことに言及している。
そのうえで、「成功すれば、動物に頼らずにジャガイモで他の動物タンパク質を発現する可能性が開かれます」と述べ、ジャガイモを「工場」とするタンパク質生産の可能性に注目している。
代替タンパク質分野においてPoLoPoのような分子農業スタートアップは増加傾向にある。
最近では米Motif FoodWorksがヘム開発に分子農業技術を取り入れるため、IngredientWerksと提携した。培養肉の成長因子を生産することを目的としたBioBetter、Core Biogenesis、Bright Biotech、乳タンパク質を開発するMiruku、乳タンパク質の1つであるカゼインをターゲットとするPigmentumなどさまざまな企業が登場している。
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