米スタートアップ企業Strellaは、リンゴなどを保管するCA貯蔵庫の熟成度をリアルタイムで表示し、どのCA貯蔵庫から開放するのが最適かを梱包業者に提示するソリューションを提供してきた。
温度を低くし、貯蔵庫内を低酸素・高二酸化炭素の状態に調整することで、保管する野菜や果物の呼吸を抑え、鮮度を長期間維持する貯蔵方法のことをCA貯蔵という。私たちが冬だけでなく夏にもリンゴを食べられるのはCA貯蔵のおかげだ。
しかし、CA貯蔵庫をオープンにする順序を決めるデータはほとんどないとStrellaは指摘する。梱包業者は経験と少量のサンプルに基づいて梱包スケジュールを立てるが、熟成により梱包品の最大60%が失われる可能性があるという。
Strellaのセンサーは、貯蔵庫内のエチレン、二酸化炭素、酸素、温度、湿度をモニタリングする。このセンサーデータを使用して貯蔵庫の熟成度を予測し、梱包業者が適切なタイミングで適切な貯蔵庫をオープンできるよう支援してきた。
人の技術に頼るバナナの追熟をAIで予測
Strellaは過去5間、業界ではリンゴのモニタリング技術で認知されてきたが、現在はバナナにも照準をあてている。同社のAI搭載モデルはバナナが発する信号を解読するのに役立つという。
Strellaによると、バナナの追熟は現在も「芸術」とされ、施設間での不一致を生じ、追熟者に多大な負担をもたらしている。バナナの入荷状態と出荷予定を合わせるには、長年の熟練された技術者の経験が必要だとされている。
追熟サイクルの長いリンゴや梨、追熟サイクルの短いバナナやアボカドであっても、追熟の重要な信号は、青果物から放出されるエチレン、二酸化炭素となる。Strellaは「バナナを毎回緑色から完璧な黄色へ変えるのに役立つ機械学習モデルを構築した」とThe Spoonに述べている。
この新しい機械学習アルゴリズムは、追熟サイクルを調整して望ましい生産量を得るために、必要な温度、エチレンガス、二酸化炭素を正確に把握するのに役立つという。
公式サイトによると、Strellaの独自センサーは追熟室に設置され、追熟室のエチレン、二酸化炭素、酸素、温度、湿度の情報から、バナナの追熟段階を予測して追熟に関する推奨事項を提示する。
これにより、長年の経験・知識が求められた追熟管理業務の負担が軽減される可能性がある。
今年4月にはアグテック会社のAgroFreshが、自社のリンゴ・梨の熟成段階をリアルタイムで確認するためにStrellaと提携した。
The Spoonの報道によると、Strellaはアメリカ市場のリンゴ・梨供給業者85%と協力しているという。今後はリンゴ、梨での成功をバナナでも再現しようとしている。
参考記事
Strella Believes Its Machine Learning Tech Will Help Deliver The Perfectly Ripened Banana
https://www.strellabiotech.com/for-packers
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アイキャッチ画像の出典:Strella