Foovo Deep

チェコのBene Meat Technologies、培養ペットフードで欧州当局に登録

2024年7月18日 修正

当初、販売認可と記載していましたが、その後の報道で市販前承認を必要としない登録であることが判明したため、修正しました。

 

細胞培養によるペットフードを開発するチェコ企業Bene Meat Technologiesは、欧州市場で初めて培養ペットフードの登録を発表した。

ロイター通信Green queenなどが報じた。

チェコ企業が培養ペットフードで欧州当局に登録を発表

出典:Bene Meat

2020年に設立されたBene Meatは当初、ヒト用の培養タンパク質の開発・商用化を目指していたが、開発の過程で別の市場であるペットフード市場に培養肉の大きなチャンスがあることに気づく

同社のホームページには現在、「ÚKZÚZ(チェコ共和国の国家組織)による承認と欧州飼料材料登録局(European Feed Materials Register)への登録により、当社はペットフード用に培養肉を製造・販売できる世界初の企業となりました」と書かれている。

Bene Meatは現在、最初の生産ラインの建設を完了しつつある。2024年に最初の製品を欧州市場へ投入するため、動物飼料メーカーと協業しているが、自社ブランド製品の開発も計画している

長期的には、ペットフードメーカーが自社で培養ペットフードを製造できる技術の提供を目指している

ロイター通信によると、Bene Meatの現在の生産能力は日産数キログラムだが、来年には日産数百キログラムから数トンへ増産する見込みだという。ペットフード製品だけでなく、当初目指していたヒト向けの培養肉開発も目標にしている。

米国で消費される肉の25%がペットフード

出典:Bene Meat

ペットフード業界の市場規模は2023年の1,033億ドルから、2030年には1,392億ドルになると予想されており、成長しているカテゴリーだ。しかし、ペットフード生産による環境への影響はあまり知られていない。

ペットフードはアメリカで消費される肉全体の4分の1を占めると指摘されている。アメリカだけでも、犬猫用のペットフードは6400万トンの二酸化炭素に相当するメタンや亜酸化窒素の原因だと推定されている

さらに、ペットを飼う世帯数は増加しており、同時にペット製品の「人間化」が進む傾向にあるため、ペットによる動物食品の消費は今後さらに増えると予想されている

培養肉は、動物を飼育、屠殺することなく細胞に栄養を与えて動物の体外で生産されるため、ペットフードへの応用が進めば、環境への影響をさらに低減できる可能性を秘めている。

持続可能なペットフード開発の競争

出典:Bond Pet Foods

こうしたペットフード生産の課題に着目し、持続可能な代替ペットフードを開発する企業は増えている。

ここから先は有料会員限定となります。

読まれたい方はこちらのページから会員登録をお願いします。

すでに登録されている方はこちらのページからログインしてください。

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Bene Meat

 

関連記事

  1. 発酵タンパク質投資が復調:欧州での上半期投資額が前年超え
  2. 塩生植物からルビスコタンパク質を抽出するThe Leaf Pro…
  3. 【世界初】Shiok Meatsが試食会で培養カニ肉料理を発表
  4. 培養羊肉のMagic Valleyがパイロット施設へ拡張、年産1…
  5. イスラエルのImagindairy、精密発酵乳タンパク質を生産す…
  6. 代替肉ブランドTiNDLEを開発するNext Gen Foods…
  7. スイスの小売大手ミグロスがビーガンゆで卵を発売
  8. オランダ、培養肉の承認前試食の実施を認める 年内に試食会実施へ

おすすめ記事

CellMEATが約10.3億円を調達、培養エビや培養甲殻類製品の開発を加速

魚介類の培養肉スタートアップCellMEATは今回、シリーズAの投資ラウンドを終…

イスラエルの精密発酵企業Imagindairyが米国でGRAS自己認証を取得、乳製品では3社目

イスラエルの精密発酵企業Imagindairyがアメリカ食品医薬品局(FDA)の…

おがくずと微生物で脂肪を開発するエストニア企業ÄIOが約1.4億円を調達

エストニアの代替油脂スタートアップ企業ÄIOは今月、100万ユーロ(約1億400…

Remilkがイスラエル食品大手CBCグループと提携、1年以内のイスラエル上市を目指す

精密発酵でアニマルフリーな乳タンパク質を開発するRemilkは、イスラエル食品最…

精密発酵スタートアップ9社が精密発酵組合を設立

精密発酵企業9社が今月、精密発酵組合(Precision Fermentatio…

精密発酵でアロマを開発するEvodiaBioが約8.6億円を調達

デンマークのスタートアップ企業EvodiaBioは、食品・飲料業界に向けた持続可…

精密発酵レポート・予約注文開始のお知らせ

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovo Deepのご案内

精密発酵レポート・予約注文開始のお知らせ

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovoの記事作成方針に関しまして

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(11/21 14:06時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(11/20 23:44時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(11/21 03:26時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(11/20 20:01時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(11/21 12:17時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(11/20 23:02時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP