Foovo Deep

チェコのBene Meat Technologies、培養ペットフードで欧州当局に登録

2025年4月11日 更新

当初、販売認可と記載していましたが、その後の報道で市販前承認を必要としない登録であることが判明したため、修正しました。

 

細胞培養によるペットフードを開発するチェコ企業Bene Meat Technologiesは、欧州市場で初めて培養ペットフードの欧州飼料原料登録簿(EU Feed Material Register)への登録を発表した。

ロイター通信Green queenなどが報じた。

チェコ企業が培養ペットフードで欧州飼料原料登録簿への登録を発表

出典:Bene Meat

2020年に設立されたBene Meatは当初、ヒト用の培養タンパク質の開発・商用化を目指していたが、開発の過程で別の市場であるペットフード市場に培養肉の大きなチャンスがあることに気づく

同社のホームページには現在、「ÚKZÚZ(チェコ共和国の国家組織)による承認と欧州飼料原料登録簿への登録により、当社はペットフード用に培養肉を製造・販売できる世界初の企業となりました」と書かれている(注:現在の記載は変更されている 2025年4月11日追記)。

Bene Meatは現在、最初の生産ラインの建設を完了しつつある。2024年に最初の製品を欧州市場へ投入するため、動物飼料メーカーと協業しているが、自社ブランド製品の開発も計画している

長期的には、ペットフードメーカーが自社で培養ペットフードを製造できる技術の提供を目指している

ロイター通信によると、Bene Meatの現在の生産能力は日産数キログラムだが、来年には日産数百キログラムから数トンへ増産する見込みだという。ペットフード製品だけでなく、当初目指していたヒト向けの培養肉開発も目標にしている。

米国で消費される肉の25%がペットフード

出典:Bene Meat

ペットフード業界の市場規模は2023年の1,033億ドルから、2030年には1,392億ドルになると予想されており、成長しているカテゴリーだ。しかし、ペットフード生産による環境への影響はあまり知られていない。

ペットフードはアメリカで消費される肉全体の4分の1を占めると指摘されている。アメリカだけでも、犬猫用のペットフードは6400万トンの二酸化炭素に相当するメタンや亜酸化窒素の原因だと推定されている

さらに、ペットを飼う世帯数は増加しており、同時にペット製品の「人間化」が進む傾向にあるため、ペットによる動物食品の消費は今後さらに増えると予想されている

培養肉は、動物を飼育、屠殺することなく細胞に栄養を与えて動物の体外で生産されるため、ペットフードへの応用が進めば、環境への影響をさらに低減できる可能性を秘めている。

持続可能なペットフード開発の競争

出典:Bond Pet Foods

こうしたペットフード生産の課題に着目し、持続可能な代替ペットフードを開発する企業は増えている。

ここから先は有料会員限定となります。

読まれたい方はこちらのページから会員登録をお願いします。

すでに登録されている方はこちらのページからログインしてください。

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Bene Meat

 

関連記事

  1. イート・ジャストがシンガポールにアジア初の生産拠点を建設、培養肉…
  2. 日本のプラントベース市場は“選択肢”になれるか─展示会から見えた…
  3. 高級培養肉Orbillion Bioが日本初登壇|Food-Te…
  4. 培養肉企業モサミートが約66億円を調達、新たに食肉メーカーからの…
  5. 米ColdSnap、常温ポッドから2分で作れるソフトクリームマシ…
  6. 精密発酵でラクトフェリンを開発する米De Novo Foodla…
  7. 乳業副産物を精密発酵カゼインに─Bel Goup×仏Standi…
  8. Novameatがスペイン政府から約3100万円を調達、世界トッ…

おすすめ記事

【現地レポ】シンガポール・スーパーマーケットでの精密発酵食品の販売状況を調査

微生物を工場として特定成分を生成する精密発酵に対する関心は国内でも高い。最近では…

家庭生ゴミを鶏の飼料に変える米Millが開発したキッチンデバイス

アメリカのスタートアップ企業Millは、家庭で発生する食品廃棄物を鶏の飼料に変換…

Nature’s Fyndが菌類由来の代替肉を米ホールフーズで発売、来年には大規模工場を稼働

微生物発酵により代替肉や代替乳製品を開発するアメリカ企業Nature's Fyn…

Alt Farmは3Dプリンターで作った植物代替和牛で2023年の上市を計画

香港科技大学からうまれたAlt Farmは3Dプリンター技術の活用を進める会社で…

Novameatが約7億円を調達、独自3Dプリント技術による代替ステーキ肉製造の更なるスケール化へ

独自の3Dプリント技術を使い植物性の代替ステーキ肉を製造するバルセロナのスタート…

MeaTech、3Dプリンターによる培養シーフードの開発でUmami Meatsと協業

バイオ3Dプリンターで培養肉を開発するイスラエルのMeaTechは、3Dプリンタ…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

リアルセミナー@東京のお知らせ【2025/6/18】

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(05/29 15:12時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(05/30 01:07時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,940円(05/30 05:05時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
2,156円(05/29 21:13時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,980円(05/29 13:17時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(05/30 00:19時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP