Foovo Deep

アメリカミズアブ由来のタンパク質・油脂を開発するVolare、今年大型工場の建設を開始

 

フィンランドのスタートアップ企業VolareアメリカミズアブBSF)を活用し、食品業界で生じる副産物をアップサイクルして、動物飼料・ペットフード・農業・化学用途向けの代替タンパク質・代替油脂に変換している。

すでに欧州で上市を実現している同社は今年、フィンランドに工業規模の工場建設を開始する。

Volare、アメリカミズアブ由来のタンパク質・油脂を開発

出典:Volare

Volareは、フィンランド技術研究センターVTT)からのスピンオフとして2021年に設立された。同社は食品業界の副産物をアップサイクルするリーディングカンパニーになることを目指している。

Volareが「生産工場」に選んだのは「世界で最も効率的なバイオリアクター」と同社が呼ぶアメリカミズアブだ。アメリカミズアブを使用する理由は、その驚異的な物質転換能力と、成長の速さにある。

地球上に存在する550万種の昆虫の中で、アメリカミズアブは有機バイオマスの変換効率が最も高い種に属するという。既知の他種のハエよりも効率的に食品廃棄物を消化し、1日に体重を5倍にできる。完全に成長するまでの期間は14日間

出典:Volare

アメリカミズアブが食品の副産物を食べて成長すると、タンパク質と油脂の混合物を生成する。最終的なアミノ酸組成は動物飼料用にバランスのとれたもので、ラウリン酸を豊富に含む油脂は、パーム油やココナッツオイルの代替品になるという。成虫はイエバエのように食品に誘引されることなく、人畜・作物へ病原体を汚染させる危険も少ないとされる

アメリカミズアブのもう1つの利点は飼育のしやすさにある。

「多くの昆虫は、大量飼育すると病気にかかりやすくなりますが、この種には既知の病気がないため、飼育時に化学薬品や抗生物質を使用する必要がありません。まさにスーパー種です」と共同創業者兼CEO(最高経営責任者)のTuure Parviainen氏述べている

拡大するパートナーシップ、大規模工場の建設

Volareの開発したタンパク質、油脂、肥料(左から) 出典:Volare

ここから先は有料会員限定となります。

読まれたい方はこちらのページから会員登録をお願いします。

すでに登録されている方はこちらのページからログインしてください。

 

関連記事

アイキャッチ画像:Volareの画像をもとにFoovoが加工

 

関連記事

  1. ドイツのBettaF!sh、海藻と植物を使用した代替サーモンSA…
  2. 培養ロブスターを開発する米Cultured Decadenceが…
  3. Mirai Foodsが厚さ1.5cm以上の培養テンダーロインス…
  4. エリンギ由来のジャーキーを作るハワイ発のMoku Foods
  5. ビル・ゲイツも出資|細胞培養により代替母乳の開発を目指すBiom…
  6. ソーラーフーズ、米レストランでCO2由来の微生物タンパク質「ソレ…
  7. フューチャーミートが世界で初めて培養羊肉を生産、年内に米生産施設…
  8. チョコレート会社創業者が立ち上げたNukoko、そら豆由来のカカ…

おすすめ記事

Oishii Farmが進める植物工場のパッケージ化|年内に国内イノベーションセンター設立へ【セミナーレポ】

2025年5月19日更新(Oishii社確認のもと、一部修正)アメリカ・ニューヨークから1時…

スペインのRemy Robotics、ロボットによるバーチャルレストラン「Better Days」を米国で立ち上げ

ロボット工学、AI、調理工学を組み合わせてレストラン業界の変革を目指すスペイン企…

Yali Bioが植物由来の培養脂肪生産のためにシードラウンドで約4.5億円を調達

カリフォルニアを拠点として植物代替肉や乳製品向けにデザインした脂肪の生産に取り組…

GOOD Meatがシンガポールで培養鶏肉の販売を一時停止、再開に向けて準備中

世界で最初に培養肉を販売したイート・ジャストの培養肉部門GOOD Meatが、シ…

Steamboxの蒸気で温められるランチボックスで職場の電子レンジが不要になる?

会社、学校で温かいお弁当を食べようと思ったら、選択肢は3つくらいしかない。デリバ…

クリーンラベルの代替カゼインを開発する米Pureture、年内にアメリカで上市へ【創業者インタビュー】

ニューヨークに拠点を置くバイオテクノロジー企業Pureture(旧称Armore…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

リアルセミナー@東京のお知らせ【2025/6/18】

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(05/28 15:12時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(05/29 01:06時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,940円(05/29 05:05時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
2,156円(05/28 21:13時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,980円(05/29 13:17時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(05/29 00:19時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP