代替プロテイン

微細藻類からタンパク質を開発するBrevelがイスラエルに商用工場を開設

 

微細藻類由来のタンパク質を開発するイスラエルのBrevelが、イスラエル南部に27,000平方フィート(約2500㎡)の商用工場を開設した。工場には5,000Lのバイオリアクターが設置され、ビーガンチーズや代替乳製品用に数百トンの微細藻類タンパク質を生産できるという。

AgFunderの報道によると、この工場では微細藻類由来の白色粉末のタンパク質濃縮物や高価値な副産物が生産される。初期ではエンドウ豆や大豆よりコスト高になるものの、長期的にはエンドウ豆や大豆と同等価格で販売できる見込みだという。

Brevelは2025年初頭にアメリカで最初の製品の上市を目指している。

微細藻類タンパク質のBrevelが商用工場を開設

出典:Brevel

2017年設立のBrevelは、非遺伝子組換えクロレラ株を使用して、ニュートラルで白色のタンパク質粉末を開発している。色や味に影響を与えないタンパク質を開発できるため、チーズなど代替乳製品の分野に注力している。

クロレラ株はアメリカではGRASに該当し、EUでは新規食品には該当しないものの、抽出された成分には規制プロセスが必要になるという。

Brevelは自社技術について公式サイトで、高度な発酵プロセスと高濃度の内部照明を組み合わせたもので、光合成により高収量かつ安定した生産量を実現できると述べている。これにより、光を使用する培養よりも100倍以上高い収率でバイオマスを生産できるとAgFunderに述べている。

出典:Brevel

同社プロセスではタンパク質だけでなく、カロテノイド、食物繊維、極性脂質なども生産できる。現在は、乳化剤用に極性脂質の抽出・精製に向けた研究開発を行っているという。

同社は90万Lの工場建設に向けて2022年9月にKibbutz Yotvataと基本合意書(MOU)を締結した。当時の発表では本格稼働すると、年間3,000トンの乾燥製品を製造する見込みで、生産量の25%を輸出にあてる予定だとしている。

独自のフォトバイオリアクターで特許を出願済み

出典:Brevel

Brevelは内部照明能力を改善したフォトバイオリアクターについて特許を出願している(US2023/0051997A1)。

光合成細菌や藻類の培養では微生物を光源にさらす必要があるが、照明システムが熱に敏感な微生物に影響を与える可能性があるため、冷却手段が必要になる。Brevelは特許明細書で、内部照明機能と効率的な冷却手段を備えた、大規模かつコスト効率が高い効果的なフォトバイオリアクターとシステムの必要性に言及。

現在使用しているバイオリアクターがこの特許のものかは定かではないが、照明と密閉環境の両方を必要とする糖を消費する微生物の培養において、自社のバイオリアクターは既知のフォトバイオリアクターに存在する課題を解決できるものだと述べている。

微細藻類で代替タンパク質を開発する企業では、日本のタベルモ、デンマークのAliga Microalgae、シンガポールのSophie’s BioNutrients、カナダのSmallfood、ニュージーランドのNewFish、ドイツのQuazy Foodsなどが確認されている。Sophie’s BioNutrientsは昨年、乳白色のクロレラ由来のアイスクリームの開発を発表した。

 

参考記事

Brevel unveils commercial algae protein plant with focus on alt-dairy: ‘Our protein is superior to soy and pea…’

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Brevel

 

関連記事

  1. Leaft Foods、葉由来のルビスコタンパク質を使用したドリ…
  2. 代替マグロの切り身を開発する米Impact Food、年内の市販…
  3. Yコンビネーターが支援する米培養肉企業Orbillion Bio…
  4. ドイツ企業Kynda、食品副産物を活用した「廃棄物ゼロ」の菌糸体…
  5. スペインNovameatが3Dプリンター製培養肉の試作品を発表
  6. Oobliが精密発酵モネリンでGRAS認証を取得|ブラゼインに続…
  7. ネスレが精密発酵ホエイを使用したプロテインパウダー製品を発売|2…
  8. Planetaryのマイコプロテイン製品、ALDI SUISSE…

おすすめ記事

レタスを活用して乳タンパク質を開発するイスラエル企業Pigmentum

植物を使った代替乳製品や、微生物を活用した精密発酵による代替乳製品の開発が進むな…

世界の精密発酵タンパク質の認可状況まとめ【2024年11月】|Foovo独自レポート

2024年12月23日:この記事の情報は2024年11月11日時点の情報となります。また、記事中の画…

イスラエルのBELIEVER Meats、アメリカで世界最大の培養肉工場を着工

イスラエルの培養肉企業BELIEVER Meats(旧称Future Meat …

イスラエル・イノベーション庁が精密発酵の施設設立へ

イスラエル・イノベーション庁(IIA)は、精密発酵で代替タンパク質を開発するため…

米と麹で“食”と“エネルギー”問題の解決へ──アグロルーデンスが挑む、米の新たな価値創出【セミナーレポート】

入本慶宣氏(Foovo佐藤撮影)日本の伝統技術である「麹」を用いて、新たな発酵タンパクの国産化に…

【現地レポ】シンガポールの精肉スーパーHuber’s Butcheryが来月から培養肉を販売

2024年5月16日更新シンガポールで培養肉が販売されてから2年。これま…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

最新記事

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(11/05 16:13時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(11/05 02:47時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(11/05 06:20時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(11/05 22:12時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(11/05 14:13時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(11/05 01:31時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP