スウェーデンのOATLY、シンガポールのOATSIDEなど海外のオーツミルク製品が日本で展開されるなか、日本初のオーツミルク専業メーカーが登場した。
東京を拠点とするMISOLA FOODSは今月3日、オーツ麦ミルク由来の「自然な甘さ」を再現した植物性ミルク『塚越さんがつくったおいしいオーツミルク』の販売開始を発表した。
同製品は甘味料を使用せずに素材から生まれる自然な甘さを再現。大人も子どもも飲みやすい味わいを意識し、世界中のオーツ麦から取り寄せて試作品を作製、北米産オーツ麦を選定した。国内の工場で全プロセスを完結した国内産オーツミルクとなる。
子どもも飲みやすいオーツミルク
MISOLA FOODSは味の素グループ出身の塚越翔五氏と堀和也氏が2022年に設立したオーツミルク事業に特化したスタートアップ。
国内産のオーツミルクブランド立ち上げに向けて重視したことが、「自然な甘さ」「飲みやすさ」「まろやかさ」。オーツ麦に含まれるデンプンを酵素で分解することで、甘味料を使用せずに甘さを再現した。
製造工程では原料の粉砕、酵素処理、調味、殺菌、包装まで、手作りの工程を再現することに努めた。
MISOLA FOODSによると、粉砕という1つの工程でも、乾式、湿式にするか、粉砕方法をミルと気流どちらにするか、粉砕粒度の程度など、検討すべき項目が多くある。子供にも飲んでもらえる味わいを実現するため、納得いくまで検証を続けて開発されたのが本製品だ。
本製品は、オーツ麦、なたね油、食塩等の少量原料というシンプルな原料で作られている。
タンパク質含有量は2.3g/195gと、牛乳(6.6g/200g)には及ばないものの、カルシウムは215mg/195gと牛乳(220mg/200g)と同等量を摂取できるなど、特に子どものいる家庭が牛乳に期待する栄養素をカバーしている。
カルシウム含有量が高いことから、子どもが美味しさ、飲みやすさを感じれば、乳糖不耐症やアレルギーの心配のないミルクとして家庭の新たな選択肢となりうる。
参入相次ぐ日本のオーツミルク市場
MISOLA FOODSは公式販売に先立ち、昨年クラウドファンディングを実施した。公開初日に目標を達成し、試飲した人(105名)の94%から高評価のフィードバックを得た。現在、オンラインストアで24本入り5,832円で販売している。
日本のスーパーではダノンのアルプロ、OATSIDE、OATLYなど海外のオーツミルク製品が店頭に並ぶ。スーパーによって取扱い製品は異なり、海外ほど導入が進んでいるとは言えないものの、選択肢は着実に増えている。
豆乳で知られるマルサンアイは、2021年3月、国内では比較的初期にオーツミルク製品『オーツミルク クラフト』を発売した。
大塚食品は2022年4月、『スゴイオーツミルク』『スゴイひよこミルク』を全国で発売。コカ・コーラシステムも国産の『おいしいオーツ麦ミルク by GO:GOOD』シリーズを2022年9月に発売した。
今年になってからは明治、森永乳業も参入。今年4月、明治は全粒オーツ麦をまるごと使用した『明治まるごとオーツ オーツミルク』を関東エリアで発売した。
森永乳業も同月に新製品を発売。オーツ麦、ひよこ豆、大豆、アーモンドなど5種の素材をブレンドした植物性ミルク『Plants&Me』シリーズを全国で発売した。
一方、最初から日本を第一のターゲットとしてきたフィンランド企業Ave-Naturは昨年12月、日本進出を実現。イオンモールのスーパーや信濃屋のスーパーなど全国で同社製品は販売されている。創業者のJanis Arbidans氏は、アジアの中でも代替ミルクの選択肢が少ない日本を第一のターゲットとしていると、昨年開催されたシンガポールの展示会でFoovoに述べていた。
クラウドファンディングで昨年購入したMISOLA FOODSのオーツミルクは、こく、まろやかさをうまく再現した完成度の高いものだと感じた。参入企業の増加は、競争の激しさが増すことを意味するが、市場の拡大にもつながる。国内外の企業が参入するオーツミルク市場において、MISOLA FOODSの今後の動きに注目したい。
参考記事
オーツミルク専業メーカーが作る!大人も子供も飲みやすい、自然な甘さ、だけど甘味料不使用の『塚越さんがつくったおいしいオーツミルク』 新発売
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アイキャッチ画像の出典:MISOLA FOODS